一夜明けて

翌朝香織は、柱を背に縛られたまま、薄暗い浜谷の寝室に放置されていた。 

天井からはイルリが下がり、床の上にはガラス浣腸器や熊ん子等の、夜を徹して

使われた責め具が散乱している。 


昼間は、観衆の前で女であることを呪いたくなるような羞恥責めと想像を絶する

浣腸責めの末に、電気ショックで止めを刺され、夜には、浜谷の執拗で変態的な愛撫により

数えきれない程の絶頂を極めさせられた上、更に荒々しく犯されて、香織は全身の生気を

吸い取られたかのように憔悴しきっていた。

香織の股間には、浜谷の巨大なものに貫かれた痕跡と思われる赤黒く凝固した血が付着し、

床には、浜谷の放出した欲情が流れ出して染みを作っている。 そこへ突然寝室のドアが

ノックされ、篤の声で

「浜谷の親分さん、社長の命令で香織を今朝処刑することになりました。  渡辺組がここを

襲撃するとの情報です

それを聞いた香織の顔から、見る見る血の気が引いていった。

 

早速処刑の準備が、あわただしく始まった。 磔用の十字柱を組み立てる金づちの音が

聞こえてくる。 追い立てられるようにして、香織は檻の中へ戻された。

浜谷の蹂躙によって乱れていた縄が一旦解かれ、改めて両腕が背中にねじ上げられて

厳しい縄掛けがされて行く。 やがて、刑場へ引き出されるための死化粧とも言うべき

全裸で高手小手、それに股縄という姿に縛り上げられた

 


香織さん、あの金づちの音が聞こえるかい。 あんたのための磔柱を作っている音だよ」 

この3日間の運命の激変がまだ理解できていないためか、香織の顔には涙が流れることもなく、ただ呆然とした表情が浮かんでいた。

 

早朝の処刑

ビル裏の広い庭の真ん中に、作られたばかりの白木の磔柱が横倒しに置かれ、そのまわりに  並べられた椅子には、浜谷や源三をはじめ悪鬼達が観客として座っている。

「浜谷の親分さん、香織との夜は如何でしたか? 今朝は、お顔の色が本当に良いようで」

「うん、久しぶりに濃厚なセックスを楽ませてもらったよ」 浜谷はニヤニヤしながら昨夜の

顛末を話し始める。

「縛りあげたまま最初に熊ん子と浣腸器とを並べて、『好きな方で責めてやるから道具を選べ』

と言ったら、しばらくモジモジしていたが、やがて『人形で前の方にして下さい』と答えたので、

『それなら嫌いな方の浣腸責めにしよう』と言ってやった。 そしたら、ひきつったような顔で

俺を睨んでいたよ。 浣腸がよほど辛いと見えるね。

 


 臀をつき出させて挿し込もうとしたら、すすり泣きながら抵抗の姿勢を示していたけれど、

俺が液を入れ始めたら、もう抵抗しても無駄だと観念したのだろうね、急におとなしく

なってしまった。 腹の中のものを出してやがて俺のテクニックで女の官能に火が付くと、

こちらも驚くほど濡れて来てすっかり従順になって、後は思うままだったよ。 そして

最後にもう一度イルリで十分に浣腸して、ジョーのように俺も後ろから香織の別の孔の味を

試してみたよ」

浜谷がその時の様子を身ぶり手ぶりを混えて説明すると、悪鬼達は「わっ」とはやし立てた。

しかし浜谷は

「それにしても、この世の宝のようなあの女の身体が、間もなく死体になってしまうとはね」

と、急にしんみりとした口調になってしまった。

 

「おっ、お出ましだ」

みんなが裏庭に続く路地の方に目を向けた。 に縄尻を持たれた香織が、引き出されてきたのだ。 股間には縦縄が食い込んでいる。 朝陽に照らされた香織の裸体は悩ましく光り、男達の目を

釘付けにした。 後ろから眺めると、深く切れ込んだ谷間の最奥には縄の結び目が作られ、

一歩毎に肛門を圧迫している。 香織は羞恥と屈辱に唇をきつく噛み締めるのだった。 

 

香織はすっかり観念した様子で目を伏せて男達の前を歩いていたが、行く手に横たえ

られた十字架に気付くと思わず立ちすくんだ。 約2メートルの柱に、直角に2本の

横木が打ち付けられている。

刑場へ引き出される前には、ようやくこの淫虐地獄が終わるのだという安堵感のような

ものが心の中に芽生えて来た香織だったが、こうして死を目前にすると、若い女の身では

冷静で居られるわけがない。 恐怖感から、取り囲む悪鬼たちの顔も殆ど目に入らない

状態になって意識も薄れかかったが、篤に背中を押されて再びよろめきながら歩き始める

のだった。 厳しく縛り上げられた後ろ手と揺れ動く豊かな双臀を見て、男達はゴクリと

唾を飲み込んだ。 

 

男達が取り囲む輪の真ん中に香織が立たされると、落合が得意げに

「みなさん、よく見てやって下さい。 これが渡辺組組長の妻・香織でございます。 

今日は皆様の前で、この26才の身を天国に送ってやることになりました。 股の間から

串刺しにして、渡辺組への贈り物とします。 そして、処刑の様子を撮った8ミリフィルムも、

渡辺組へ贈ってやることにします。 見事処刑が終わりましたら、盛大な拍手をよろしく

お願い致します」

と、死刑の宣告をした。 

後ろ手の縄が一旦解かれると、香織は、落合に無理やり引きずられるように十字の磔柱に

俯せに横たえられ、両腕が左右に引き伸ばされ手首が男達によって横木に縛りつけられていく。 

足の付近にあるもう一本の横木は、香織の足を広げて縛るためのものであろう。

「磔とは向きが違わんですか」

不審げな浜谷に答えて、落合はニンマリと笑うと

「本日は、もう一つの趣向が有ります」

落合は、カメラをスタートするように目で合図し、「では、始めよう」とに声を掛けた。 

は持っていた日本刀を引き抜き、刃先を香織の股縄の間に差し込むと、一気に切り取った。

 

 そこに、を一杯に吸い上げた浣腸器を手にした峰子が姿を現わした。

「みなさん、香織にはこれから浣腸をいたします。 香織は、浣腸された後がどうなるかを

すでに知っていますが、今回は命を賭けた浣腸ということになります。 もし我慢できずに

便をひり出せば、その時に死刑執行ということに致します。 さていつまで我慢できるか、

ゆっくりお楽しみ下さい」

 

「さあ香織さん、浣腸だよ」

死の宣告のあまりの衝撃に茫然自失したのか、抗がう様子も見せない香織は、磔柱の上で

剥き出しになった双臀の谷間に峰子の鉾先を易々と受け入れた。


 

峰子が一気にポンプを押すと、香織は「うっ」と顔をしかめた。 腸内に灼熱感が浸透すると

ともに、息をつく間もなく腹痛が始まったからだ。

「この世にお別れの浣腸の味はどんなかしら。  一本だけで香織さんが確実に天国へ行ける

ように、少しグリセリンを濃くしてあるのよ。 ホッホッホ」

急激に高まってきた便意を我慢するのに精一杯の香織には、峰子の哄笑も耳に入らなかった。 

 

 「香織、今度は足だ。 股を広げるのは辛いだろうが、槍がしっかりと突き刺さるように、

思いきり広げさせてもらうぜ」

落合は香織の足首や太ももをつかみ、無理やり左右に広げた。 香織は抵抗したが、到底

男の力に勝てるわけはない。 脚が大きく広げられ、両足首が縄で横木に固定されて、磔柱が

あらかじめ掘ってあった穴に真直ぐに立てられた。 香織の身体は地面より2メートル程の

高さで大の字となり、形の良い尻がいやが上にも強調され、 さらにその奥には、たった今

浣腸液を注入されたばかりの肛門が、堅く引き締められている。 その姿を肴に酒盛りが

始まった。

磔柱の脇には、日本刀を何やら時代物の槍に持ち換えたが立った。  磔柱の上では、

堪え難い便意をこらえている香織の顔や、必死に引き締められている臀部の微妙な動きの

一つ一つを、カメラは執拗に追い続けている。 落合は、香織の広げられた股間を見上げて

「何回見ても見飽きない綺麗な割れ目だねぇ、串刺しにするのが惜しくなってきたよ」

と笑うのだった。

 

浣腸されてから、もうどれだけ時間が過ぎたろう。  香織の顔からは血の気が引き、

横木に縛り付けられた手の拳は堅く握られて、細かく震える太ももには鳥肌が立っていた。 

限界はもう過ぎているのだ。 生への執念と救出への一縷の望みだけが、香織を辛くも

支えている。 

香織は、(渡辺組が間もなくここに駆け付けて来る。 そうすれば必ず助かるはずだ。 それまで

なんとか我慢しなくては) と、必死に耐えていた。 

(無理かもしれない) それでも、最後の望みに賭ける香織だった。

 

頃合は良しと見た落合は 「いよいよ最期だ。 覚悟は出来ているか、香織。 きのうは女と

して、あんなにいい思いをさせてもらったんだ。 もうこの世に思い残すことはないだろう。

やくざの女房となったのが不運と諦めて、早く楽になるのだな」と、非情にも香織の腹部を

槍の柄で強く圧迫した。

その瞬間、「ああっ」という悲痛な叫びと共に臀部で破裂音がし、香織の肛門から噴出した

ものが流れ落ちた。

「ヒャー、やったぞ」と、観客がはやしたてた。  

香織は朦朧とした意識の中で、「ああ、これでおしまいね」と叫ぶのだった。

 

その時、「ギャーッ!」という男の悲鳴が轟いた。 

木戸を蹴破り、見張りの手下を血祭りにあげて裏庭になだれ込んで来たのは、組長を

先頭とした渡辺組の身内の一団であった。

 

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