第二章

「真理さん、あの娘はどうなったの?」

昨夜みた光景が頭の中から離れなくなった私は、朝食の後、思い切って、

お付きの女性に尋ねました。

「詳しくは知りませんが、手術室に運ばれて、縫合されたそうです..」

「縫合?」

「・・・」

真理さんは、救いを求めるように、もう一人のお付きの女性を見ます。

「由紀さん、何か知っているの?」
「本来でしたら、会陰裂傷の縫合を行うのですが...」

由紀さんは、言いにくそうに目を伏せます。

「拒んだの?」

「・・・」

由紀さんは黙って頷きました。女性器調教委員会や女性器拷問委員会の

命令を拒めば、契約の内容に関わらず、直ちに、女性器処刑委員会に

回されて、性器を処刑されることは、以前、オーナーから聞かされていました。



翌朝、女性器処刑委員会から、土曜日に行われた処刑内容を記録した

テープが回って来ました。そこには、処刑前の生々しいやり取りが

収められていました。



「お、お願いがあります...」

無機質な手術台の上に、両脚を拡げた状態で固定された女性は、

鋭いメスを持った執刀者が近付くと大声で叫びました。

「言ってみろ」

オーナーの声が手術室に響きます。

「しょ、処刑されるのはかまいません...でも...」

「でも、どうした?」

「このままでは、あ、あまりにも...惨めです」

「・・・」

「私をレイプした犯人に復讐してやりたい...」

女性はそう言うと静かに目を閉じました。



テープには、この後、局部麻酔をされた女性が、子宮を摘出されて、

絶望の声を上げるまでの光景が収められていました。



「香月!」

「は、はい」

いきなり、名前を呼ばれた私は、慌てて立ち上がると後ろを振り向きました。

そこには、オーナーが一人で立っていました。

「ようこそ、いらっしゃいました」

台所にいた真理さんと由紀さんもオーナーに向かって、深々とお辞儀をします。

「今回の処刑には時間がかかった」

オーナーの声には、心地よい疲労感がこもっていました。

「摘出したものを元に戻す為には仕方がありませんわ」

私は、そう言うと、由紀さんから受け取ったお手拭きをオーナーに手渡しました。

「気付いていたのか?」

「はい...」

「ところで、この娘だが...」

「はい...」

「どうしたものか...」

「復讐のことでしょうか?」

「そうだ」

「切り取ったものは元に戻せますよね?」

「そうだな、それしかないか...」

オーナーは満足そうに頷くと、いきなり、スカートの中へ手を入れてきました。

オーナーが弄りやすいように、慌てて、脚を開きます。

「少し、湿っているな」

オーナーはそう言うと、真っ赤になっている私を笑いながら、部屋を

出て行きました。



「どうしておわかりになられたのですか?」

オーナーが出て行った後、真理さんが不思議そうに尋ねて来ます。

「本当に、自分の女の部分を憎んでいるのだったら、子宮を摘出されたとしても、

あんなに、悲しまないと思うわ。オーナーはその事を確かめ為に、態と子宮を

摘出したんじゃないかって思うの。それに、普通だったら、局部麻酔なんかしないでしょ?」


「あの娘、早く、立ち直るといいですね」

真理さんは、そう言って、昼食の準備に取りかかりました。




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