畜 生 妊 婦



小説・<山寺の女地獄>




女がいったい、いつこの山深い寺院に迷い込んだのか、ここがどこなのかもはや誰もわからなかった。

都会のドロドロした夜から逃れるようにやってきた女は、頭を丸め、仏に身を捧げる日々を送ることを

願っていたのではなかったか。



身を寄せてから、女は昼夜を問わず僧侶たちの慰み者になった。


う、うぅ

全裸のまま高い天井の梁から吊り下げられた一本の太い紐をつかみ横たわる女の口から、


陣痛の苦しみの短い悲鳴があがる。背後には巨大な千手観音が置かれている。


“はぁ、はぁっ”


陣痛と陣痛の合間に息を整える。再び収縮が、


“うぅっ、くっ”


必死で痛みをこらえ、苦悶に顔をゆがませる。真一文字に結ばれた唇から漏れ出る呻き声が堂内に響く。

低く短い呻きが続く。硬く張った腹部を抱えるようにして身をよじり、苦痛に耐える女。

荒い息遣いと苦悶の呻きが何度となく続いた。


うううぅっ、い、痛いっ


必死で痛みをこらえ、声を漏らすまいとしていた女の口から悲鳴とも懇願ともつかない声があがる。

子宮の収縮は相変わらずで、女は腹を抱えてのけぞり、痛みを逃そうとしていた。時がたつにつれ、

収縮が激しくなり、間合いも狭まってくる。


はっ、あぁっ、あーーーーー


腹の子が一体誰の子供なのか、女にも座敷で整然と座禅を組んでいる僧侶たちにもわからなかった。

広げた両足の白い足袋が奇妙な艶かしさをかもし出している。剃髪された頭に脂汗が浮かぶ。

大きくせり出し、まさに臨月のそれとわかる腹、妊婦特有の黒ずんだ乳輪に突起した乳首。

俗世を捨てたはずのしるしである丸めた頭の首から下は、性にまみれた果ての女の姿だった。


あぁっ、あうあぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー


必死に紐を握り締め、陣痛に喘ぐ。俗世で、何度となく妊娠と中絶、流産を繰り返した女の子宮が

容赦のない収縮を繰り返す。



僧侶たちの手がついてからすぐに女は孕んだ。半ば監禁状態の身で中絶することもままならず、

日ごとに肥大する腹部。そして、今朝方女は産気づいたのだ。初めての出産であった。

産婆もいない、男でしかないこの寺で女は一人、出産の苦しみに悶え苦しんでいる。



僧侶たちの目前に局部をさらけ出し、陣痛に苦しみ苦悶の叫びを挙げる。



立てた両肢をふんばり、一本の綱を握り締め、のけぞる。女の局部から粘液が滲み出ていた。


あううううう‾‾‾‾


激しさを増す陣痛。汗まみれの裸体がのけぞり、乳首から乳白色の分泌物が滲んだ。


はぁぁ、はぁあーーー、あはあああーーー、はああああうああああーーー


苦悶の息つかいが悲鳴へと変わる。


女は腹を抱えて、転げまわった。その顔は苦悶にゆがみ、女の性に染まっていた。


ぐぅぅぅぅううううああああああっっ


綺麗に剃髪された頭をのけぞらせ、絶叫する女。尼僧でありながらも陣痛に喘ぐその肢体は

背徳の香りを全身から漂わせている。


ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーー


は、はぁ、はぁ、はぁ。


肩で息をする女の腹部のヘソから下が、ボコリと異様な膨らみを見せた。


“い、痛い、た、たすけ….……はぁ、はぁ。”


腹をさする女の口から助けをもとめる声が漏れる。


再び収縮が女を襲う。骨盤をこじあけらるような激痛が全身を貫く。


あああああああああっっ。あぎゃああああっっ。うおっおおおおおーーーーーーっ


産道に巨大な丸太をこじ入れられたような激痛に、全身をのけぞらせ、綱を握り締め絶叫する。

なおも胎児は産道をこじ開けようと出口を求めて暴れている。


うぎゃああああーーーーっ。だーーーーずっうううううーーーげーーーーーーーー

ーーーー
あぎゃああああーーっ


壮絶な咆哮が堂内にこだまする。左右に大きく広げた肢をブルブルと痙攣させ、あられもない姿で転げまわる。

局部にはぽっかりと大きな穴が開き、黒い空間ができていた。肛門が押し開かれ、赤黒い肉壁が見えている。


お、お願い。だ、出して、は、はぁ、はっ、はやくっ、うううううううーーーーーーー。


四つん這いになり、片手で下腹部を抑えながら、僧侶に助けを懇願する女を容赦なく陣痛が襲う。


はぁ、はっ、はっ、はぁああああああああっ。いぎいいいいいいーーーーーっ


再び胎児が産道をこじ開ける。無様な悲鳴がむなしく響き渡る。激烈な痛みが下腹部を襲う。

女は力を振り絞り、産み綱にしがみつき、座産の体位をとった。背骨を抜かれるような激痛がはしる。


ぎゃあああああーーーーっ。じ、死ぬうううううううあああああああーーーっ


局部に赤褐色の粘液とともに胎児の頭部が現れた。女は全身を震わせ、咆哮する。この世のものとは

思えない苦悶の形相がはりついた顔はやつれ果てている。数十分、女の咆哮は続いた。

ぬるりと胎児の頭部が子宮内に戻る。


あ、あぁぁ、はぁ、はぁ、はぁ。


荒い息遣い。再び激痛が全身を貫く。これまでにない大きな痛みの波が女を凌駕した。


ぎゃあああああああああああああっ。おああああああああああーーーーーーっ


胎児の頭が再び局部に現れる。激痛は続いた。


ぎょえええええええええっ。ぎやあああああああああーーーーーーーーーっ


ブシャッ、ジョバババッ


局部の胎児を包んでいた膜が破れ、羊水が股間から噴出した。血の混じった羊水が局部の増したに流れ落ち、

冷たい石の床を濡らす。更なる絶叫が続く。


陣痛の波はとそまることなく女の下腹部に居座った。太い丸太が産道につかえたままになっているようだった。


あぎゃあああーーーーー。おううううううううーーーー


止むことのない絶叫。片手で産み綱をしっかりとつかみ、もう片方の手で腹部を押さえつけ、胎児をひり出そうとする女。


ああああああああーーーーっつ、いだぁああああーーーー。いたいぃぃぃーーーーっ


剃髪された頭をのけぞらせ、下肢を痙攣させる。胎児を産み落とす以外どうにもならない激痛に翻弄され

泣き叫ぶ女はただのメスとなっていた。



女が泣き叫ぶ間も胎児は産道に見え隠れを続ける。局部が異様な盛り上がりを見せ、胎児の頭が

そのまま局部の入り口に留まったままになる。


いぎいいいいーーーー。あぎゃあああああーーー


おおおおおおおおおおっ


ぐうう、ぐおおおお。おうううううっ。むぎゃああああーーーーっ


いきみの衝動にかられ、ひり出そうと懸命にいきむが、あまりの激痛に絶叫してしまう。



胎児は頑固に局部に留まったままそこから先には進もうとしない。


会陰がちぎれ、鮮血が滴っている。


あああああああっ。あああああああああっ。ぐがぁっ。ぐおおおっ


骨盤を砕かれ、産道を鉄の棍棒でかき回されているような激痛が襲う。


ブチっ


会陰が裂け、鮮血が噴出した。胎児の頭部が半分ほどでてきた。


あがぁっ。ぎゃああああああああっ。ぐああっ


尼僧の口から叫び声があがる。腹部には母乳が飛び散り、汗と母乳でベトベトと光っている。


むぐおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーー


獣の咆哮とともに、尼僧の股間から胎児の頭部がひり出された。女は胎児の頭部を股間にひりだしたまま、

ドサリと仰向けに倒れこんだ。そのまま、拡大した肢を抱え挙げ、残りの胴体を出そうと必死にいきむ。


僧侶たちの前に頭部をぶらさげたままの尼僧の股間が丸出しとなった。肢を抱え挙げたせいで、局部の拡大とともに押し開かれた肛門もはっきりと見える。


ぐううううーーーー。うおおおおおおおおおっ。

ぐむううううううおおおおーーーっ


咆哮があがる。だが、胎児の頭部がブラブラするだけで、胴体が出てこない。

止むことのない激痛に翻弄され、泣き叫ぶ尼僧。


ぎゃああああああっーー。だぁーーーー、

だーーずうううげーーーーーーでーーー

ーーーーーーーーーーっ。
い、いいいい

いいいいいだーーーーーーーーいーー

ーーーーぎいいいーーー


むおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーっ

ぎああああああーーー


ブシュッ。いきみ、絶叫するたび、股間から鮮血が噴出した。産道の肉が引きちぎられるような激痛が続く。

局部が更に大きく盛り上がる。



尼僧は最後の力を振り絞り、産み綱を握り締め、下腹部に力を入れた。


激痛


うぎゃああああああああーーーーーーっ、

おううううううううっ。ぐむぅうううううおおお

おおおおああああああーーーーーーーーーーーーーっ


血飛沫を挙げながら、胎児の胴体部分がもどかしいほどにゆっくりと、股間からひり出されてくる。白い足袋が鮮血に染まる。


あ、あああっ、じ、じぬあああああああーーーーーーーーーー


汗と乳汁にまみれた女は、半死半生で産み綱にぶら下がっている。



女は満身の力を下半身にこめて最後の咆哮を挙げた。


おううっ、むぐおおおおおああああああーーーー


堂内に響き渡る咆哮とともに、ベチャッと肉塊が尼僧の股間からひり出された。瞬間、胎児の産声がこだまする。

女は仰向けに倒れ、そのまま意識を失った。

 

“うっ、うううっ”


産みの苦しみから開放された女は再び下腹部を襲う鈍痛に意識を取り戻す。


胎児と尼僧をつないでいるヘソの尾が、ズルズルと滑り出し、グロテスクな赤黒い塊が女の局部から流出した。


お、おお


すべてを子宮から出し去った後、尼僧は再び意識を失った。

 

それから一週間後、尼僧は再び僧たちの性の捌け口となった。その合間に乳児に母乳を与えながら、

女は二度目の妊娠の予感に襲われていた。


尼僧はその生涯を閉じるまで、その寺で妊娠と出産を繰り返し、何度目かの出産の途中、絶命したという。



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