小説・<山寺の女地獄>
“う、うぅ” 全裸のまま高い天井の梁から吊り下げられた一本の太い紐をつかみ横たわる女の口から、 陣痛の苦しみの短い悲鳴があがる。背後には巨大な千手観音が置かれている。 “はぁ、はぁっ” 陣痛と陣痛の合間に息を整える。再び収縮が、 “うぅっ、くっ” 必死で痛みをこらえ、苦悶に顔をゆがませる。真一文字に結ばれた唇から漏れ出る呻き声が堂内に響く。 “うううぅっ、い、痛いっ” 必死で痛みをこらえ、声を漏らすまいとしていた女の口から悲鳴とも懇願ともつかない声があがる。 “はっ、あぁっ、あーーーーー” 腹の子が一体誰の子供なのか、女にも座敷で整然と座禅を組んでいる僧侶たちにもわからなかった。 “あぁっ、あうあぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー” 必死に紐を握り締め、陣痛に喘ぐ。俗世で、何度となく妊娠と中絶、流産を繰り返した女の子宮が
“あううううう‾‾‾‾” 激しさを増す陣痛。汗まみれの裸体がのけぞり、乳首から乳白色の分泌物が滲んだ。 “はぁぁ、はぁあーーー、あはあああーーー、はああああうああああーーー” 苦悶の息つかいが悲鳴へと変わる。 女は腹を抱えて、転げまわった。その顔は苦悶にゆがみ、女の性に染まっていた。 “ぐぅぅぅぅううううああああああっっ” 綺麗に剃髪された頭をのけぞらせ、絶叫する女。尼僧でありながらも陣痛に喘ぐその肢体は “ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーー” は、はぁ、はぁ、はぁ。 肩で息をする女の腹部のヘソから下が、ボコリと異様な膨らみを見せた。 “い、痛い、た、たすけ….て……はぁ、はぁ。” 腹をさする女の口から助けをもとめる声が漏れる。 再び収縮が女を襲う。骨盤をこじあけらるような激痛が全身を貫く。 “あああああああああっっ。あぎゃああああっっ。うおっおおおおおーーーーーーっ” 産道に巨大な丸太をこじ入れられたような激痛に、全身をのけぞらせ、綱を握り締め絶叫する。 “うぎゃああああーーーーっ。だーーーーずっうううううーーーげーーーーーーーー
“お、お願い。だ、出して、は、はぁ、はっ、はやくっ、うううううううーーーーーーー。” 四つん這いになり、片手で下腹部を抑えながら、僧侶に助けを懇願する女を容赦なく陣痛が襲う。 “はぁ、はっ、はっ、はぁああああああああっ。いぎいいいいいいーーーーーっ” 再び胎児が産道をこじ開ける。無様な悲鳴がむなしく響き渡る。激烈な痛みが下腹部を襲う。 “ぐぎゃあああああーーーーっ。じ、死ぬうううううううあああああああーーーっ” 局部に赤褐色の粘液とともに胎児の頭部が現れた。女は全身を震わせ、咆哮する。この世のものとは あ、あぁぁ、はぁ、はぁ、はぁ。 荒い息遣い。再び激痛が全身を貫く。これまでにない大きな痛みの波が女を凌駕した。 “ぎゃあああああああああああああっ。おああああああああああーーーーーーっ” 胎児の頭が再び局部に現れる。激痛は続いた。 “うぎょえええええええええっ。ぎやあああああああああーーーーーーーーーっ” ブシャッ、ジョバババッ 局部の胎児を包んでいた膜が破れ、羊水が股間から噴出した。血の混じった羊水が局部の増したに流れ落ち、 陣痛の波はとそまることなく女の下腹部に居座った。太い丸太が産道につかえたままになっているようだった。 “あぎゃあああーーーーー。おううううううううーーーー” 止むことのない絶叫。片手で産み綱をしっかりとつかみ、もう片方の手で腹部を押さえつけ、胎児をひり出そうとする女。 “ああああああああーーーーっつ、いだぁああああーーーー。いたいぃぃぃーーーーっ” 剃髪された頭をのけぞらせ、下肢を痙攣させる。胎児を産み落とす以外どうにもならない激痛に翻弄され
“いぎいいいいーーーー。あぎゃあああああーーー おおおおおおおおおおっ“ “ぐうう、ぐおおおお。おうううううっ。むぎゃああああーーーーっ” いきみの衝動にかられ、ひり出そうと懸命にいきむが、あまりの激痛に絶叫してしまう。
会陰がちぎれ、鮮血が滴っている。 “あああああああっ。あああああああああっ。ぐがぁっ。ぐおおおっ”
ブチっ 会陰が裂け、鮮血が噴出した。胎児の頭部が半分ほどでてきた。 “あがぁっ。ぎゃああああああああっ。ぐああっ” 尼僧の口から叫び声があがる。腹部には母乳が飛び散り、汗と母乳でベトベトと光っている。 “むぐおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーー” 獣の咆哮とともに、尼僧の股間から胎児の頭部がひり出された。女は胎児の頭部を股間にひりだしたまま、 僧侶たちの前に頭部をぶらさげたままの尼僧の股間が丸出しとなった。肢を抱え挙げたせいで、局部の拡大とともに押し開かれた肛門もはっきりと見える。
“ぎゃああああああっーー。だぁーーーー、
激痛 “うぎゃああああああああーーーーーーっ、 血飛沫を挙げながら、胎児の胴体部分がもどかしいほどにゆっくりと、股間からひり出されてくる。白い足袋が鮮血に染まる。 “あ、あああっ、じ、じぬあああああああーーーーーーーーーー” 汗と乳汁にまみれた女は、半死半生で産み綱にぶら下がっている。
“おううっ、むぐおおおおおああああああーーーー”
“うっ、うううっ” 産みの苦しみから開放された女は再び下腹部を襲う鈍痛に意識を取り戻す。 胎児と尼僧をつないでいるヘソの尾が、ズルズルと滑り出し、グロテスクな赤黒い塊が女の局部から流出した。 “お、おお” すべてを子宮から出し去った後、尼僧は再び意識を失った。 それから一週間後、尼僧は再び僧たちの性の捌け口となった。その合間に乳児に母乳を与えながら、 尼僧はその生涯を閉じるまで、その寺で妊娠と出産を繰り返し、何度目かの出産の途中、絶命したという。
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