★★★☆★ ★☆★★★

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    六、遠い星から

 車は諏訪のインターでUターンしたが、帰り道になっても男達は

入れ代わり立ち代わり美歌を犯した。誰かが腟の中に出してしまうと、

あとは皆んな好き勝手に射精した。その度にパンティで拭かれるので、

内股までヒリヒリと赤くなった。

 それに、マンションを出る前からトイレに行ってないので、内部を

抉られると、膀胱から尿が溢れ出そう。

「トイレに行かせて、出そうなんです…」

 美歌が訴えると、男は指を挿し込んだまま運転席に向かって大声でいった。

「おーい、ションベンだってよ。どっかこの辺にねぇのか?」

「仕様がねぇな」

「なかで洩らされたんじゃ、かなわねぇからよ。一休みしていこうぜ」

 車はまもなく本線を外れて、小さなパーキングエリアに入った。

自動販売機が並んでいるだけでレストランや売店もなく、大型の

トラックが数台、仮眠をとっていた。

ハイエースは、そのトラックからずっと離れて停った。

「この女、裸じゃトイレまで行けねぇよ」

「トイレはまずい。そこでやらせろ」

 運転手が先に降り、つづいて三人が美歌を取り囲んで、裸のまま

隅の金網の所に連れていった。

「早くしろ!」

 男達に囲まれてしゃがむと、すぐに勢いの良い放出が始まった。

入口に針で刺されるような鋭い痛みがあった。

「まだかよ、ずいぶん溜まってるな」

 ジョーッという音が長く続いた。

「もういいのか?」

「紙を…」

「そんなもん持ってこねぇよ」

 仕方なく立ち上がると、運転していた男が美歌の尻を撫でまわしながら言った。

「どうかね、ここでやらせて貰ったんじゃ、ヤバイかね」

「良いんじゃないの」

「車のなかじゃ何しろ狭くてよ。おし、こっちへ来い」

 首筋を押さえつけられて、美歌は金網にしがみつくような恰好になった。

男はズボンを下ろし、背後から強引に腰を抱えた。

金網がギシギシと鳴り、動きが次第に激しくなってきた。

「ヒェェッ」

 突然髪の毛を引っ張られて、美歌は身体を捩じった。

「いくぞ、そら!」

 無理に振り向かされ、固いアスファルトの上に両膝をついた顔の真ん中に、

男の怒張したのがぶつかり、そのまま咽喉の奥まで突き刺さった。

「グフッ、グフッ…!」

 激しく噎せながら、夢中で男の脚につかまって身体を支える。

すぐ、別の男が寄ってきて、腋の下から手を入れて乳房を握った。

「もっと良いベッドがあるからよ、こっちに行こうぜ」

 ぐらぐらとよろめきながら歩くと、そこは背もたれのないコンクリートの

ベンチで、東京よりずっと沢山の星が見えた。

 二人が足首を持って左右にひらき、男たちは交代で美歌を犯した。

何回も射精した後なので、ただ弄んで嬲りものにするだけの挿入だった。

嵌められて突かれる度に、ベンチに背中が擦れてザリザリと鳴った。

だが姦られれば姦られるほど、美歌の血は恍惚となる。まだ一度も

イッているわけではないが、快感を超えて、倒錯した悦楽に満たされていた。

「おい、俺もションベンしたくなっちゃったよ。お前、便器になれ!」

 引き起こされ、星空に向かって、アーンと大きな口を開ける。

 ジョボジョボ…、男は馴れたもので、美歌の口の中が一杯になると

放出を止めた。

「ぜんぶ飲めよ。あとで臭えから、こぼすんじゃねぇぞ」

「アプッ…!」

 ジョボジョボ…。

それでも飲み切れずに、乳房から下腹にかけて大量に流れ落ちた。

「汚ねぇな、でもビールより旨えだろう」

「うん、うん…」

「どうだ、腹一杯になったか?」

 ゲホッと、小便のゲップが出た。

 もしかしたら、私、人間じゃないのかもしれない。間違えて、どこか別の星から

落ちて来たんじゃないかしら…。

 美歌は虚ろな眼で、ぼんやりとそんな事を考えていた。



    七、戻ってきた学生証


 マンションの近くで車から下ろされ、外に出ると真っ直ぐに歩けなかった。

数え切れないほど嵌められたので、肉のひだが腫れ上がってズキズキと

脈打っている。

 学生証は、とうとう戻ってこなかった。

 ようやく部屋に戻って、美歌は泥のように眠った。

 玄関のチャイムで眼を覚まし、気がつくともう昼近い感じだ。

「誰方でしようか?」

「俺だよ…」

 きた…!

 美歌は棒立ちになった。

 鏡を見ると、髪に男達の精液が固まってこびりついている。セーターも

ぐしゃぐしゃのままだった。

 どうしよう…!

 チャイムがまたせきたてるように鳴った。覚悟を決めて入り口のドアを開けると、

思ったとうり、個人タクシーの運転手が怖い顔をして立っていた。

「何をやっていたんだ、昨夜は…」

 無遠慮に部屋に入ってくるなり、叱り付けるように言った。

「何回電話しても留守だったじゃないか」

「済みません。外出したもので…」

「折角、また新しい客をつけてやろうと思ったのに、逃げたら承知しねぇぞ」

「でも私、そんな約束したわけでは…」

「ふざけんな…!」

 バシッと、思いのほか強い平手打ちが頬に飛んだ。一瞬眼の前が

真っ赤になり、美歌はベッドまでよろけて横倒しになった。

「お前はな、男に遊ばれるようにできた女なんだよ。まだわからねぇのか!」

 どうして皆おなじようなことを言うのか、

頬を押さえて、美歌は、本当にそうだ…、と思った。

「昼過ぎ迄ぐうたら寝ていやがって、何だ、その恰好は」

「申し訳ありません」

「ゆうべ、何をしていたのか言ってみろ」

「学生証を受けとりに…」

「ウヒヒヒ…」

 個人タクシーの男は、急に下品な笑い顔になった。

「そうか、お前、本職は学生だったな。それでどうした?」

「男の人から、学生証を拾ったから取りにこいと電話がかかってきて、

出掛けたんです」

「それで、輪姦されたのかい」

「………」

「返事をしろ!」

「ハイ…」

「車に乗って一晩中、ションベンまで飲まされてよ、気持ち良かったろう」

 なぜ見てきたように知っているのか、美歌にはそれを不思議と思う

余裕がなかった。

「どら、身体を見せてみな」

 ためらっていると、男は構わずセーターに手を掛けて脱がせようとする。

「あ、いや…」

「さんざん玩具になってきたくせに、いまさら嫌なんて言えるのか!」

 乱暴にセーターを引き剥かれると、ブラジャーをしてない半球形の

乳房のあちこちに、爪で引っ掻いた痕や赤黒い痣があらわになった。

「こら、胸を隠すんじゃねぇ」

 また、ピシャリと頬を張られた。

「ズボンも取るんだよ。この野郎!」

「あ、自分で脱ぎます」

 美歌は震える手で、自分からGパンを脱いだ。

「背中を向けろ」

 言われるとうり後ろを向くと、コンクリートのベンチで犯られたあとの

擦り傷が、なまなましく背中一面に残っていた。

「よし、ここに立って脚を拡げてみろ」

 血の滲んだ膝が小刻みに震えている。小柄で細身の身体を立たせて、

運転手は股の間を覗き込むように顔を寄せた。

「もっと良く見えるように、こうやって、ちゃんと広げてみな」

 美歌は恥骨を突きだし、両手で割れ目の毛を掴んで左右に開いた。

大きく露出したクリトリスが痛々しく腫れている。かなり屈辱的な姿勢だった。

「臭せぇな、風呂に入ってねぇのか?」

「昨夜のままです…」

「フッフッ、相当やられてるぜ。まるで共同便所だ」

「すみません、洗いますから…」

「後で良く洗っておけよ。話はまだ終わってないんだ」

 運転手はポケットから何か出して、美歌の足元に抛った。

「ほら、これから気をつけろ」

 学生証…!

 何故ここにあるの?

 どうして、この人が持っているの…?

 運転手は、呆然としている美歌の顎に手を掛けて、ぐいと上に向けた。

「お前、何故あんなことをやった!」

「……?」

「新宿の浮浪者とよ」

 顔を捩じられたまま、驚きと恐怖で、美歌は眼をいっぱいにあけた。

「夢中になっていて、気がつかなかったろうが、はじめから全部

見られてたんだよ」

「あぅ…」

「若い娘が、あんな奴の後をくっついて歩いていりゃあ、誰だって

おかしいと思うさ。車を降りて尾行けてみたんだが、いい勘だったぜ」

「ごめんなさい、もうしないから!」

「俺に謝ったって仕様がねぇ。浮浪者が逃げ出したんで、バックだけは

取り返してやったが、お前、とんでもねぇ変態だな」

 釣り上げた魚が跳ねるのを楽しむように、反応を見ている。

「すぐ車に戻って追いかけた、ようやく見つけたと思ったら、そっちから

声を掛けてきたのさ。まぁ、始めからこうなる運命だったんだろうよ。ウヒヒ…」

 あの事を見られていたと言うだけで、美歌は動転していた。

「いいか、これから俺の言う通りにしろ」

「はい…」

「楊さんが、お前を気に入って買い切りたいと言うんだ。いい値段でよ」

「楊さん?」

 美歌はあっと思った。それは間違いなく、新宿のホテルで会った

あの人だろう。初めてアナルを破られ、声もでなくなるほど虐められたが、

何故か不思議な安堵感が、胸に広がってくるのを感じた。

「金持ちだからな、ゆうべの連中だって、実は楊さんが雇った

ビデオの男優さんだ。みんな俺が仕組んだお芝居だったのよ。ハハハ」

 すべてはあの晩の出来事、つまり美歌自身がやったことから、

スタートしているのだった。

「惜しい女だがな、楊さんには前から世話になってるんで仕方がねぇ。

これから連れていってやるから、すぐ支度をしろ!」



    八、小龍との結婚


 バスルームで汚れを落とし、髪を洗って、美歌は個人タクシーに乗った。

 これから何が起こるのか、想像もできなかった。ワンピースの下は

ほとんど裸。爛れた肉にまだ棒が突き刺さっている感じで、内側が

ドキドキと脈打っている。

 30分以上走って、運転手は小さなビルのガレージに車を入れた。

「こっちだ」

 肩を突かれて地下室におりると、思ったより広くて明るい。壁に別の部屋に

通じる鉄の扉が一つ、あとは簡単なベッドと応接セットのほか、意味の

よくわからない道具が雑然と置いてあった。

「連れてきたか」

「楊さん、さすが眼が高いね。この女やっぱり真物ですぜ」

「わかっている」

 運転手にかなり厚い封筒を渡して帰してしまうと、楊さんと呼ばれた男は、

ソファに腰を下ろして美歌を招いた。

「ここに来なさい」

 ホテルでの事を思い出して、美歌は靴を脱ぎ、直接床の上に正座した。

何となく、それが自分に相応しいような気がした。

「お前、マゾだと思っているか」

「………」

 美歌には、答えようがなかった。マゾと言われたのはつい昨夜の事だ。

これまで長い間、どうしようもない衝動があったことは確かなのだが、

それをマゾと呼んで良いものかどうか、はっきりとしない。

「初めての体験は、いくつの時だ?」

「わかりません。ただ子供のころ…」

 美歌は、おずおずと口を開いた。

「いろいろ悪戯されたことがあって、きっとそのとき…」

「強姦されるのは好きか」

「はい…」

 急に、わけもなく恥ずかしくなって、美歌は下を向いた。

「変態と言われて、嬉しいか」

「嬉しい…、と思います」

「人間を捨てること、出来るか?」

「ハ、ハイ…」

 心臓がドキドキ鳴っている。

「いや、まぁ無理だろうな」

 笑って、楊は横を向いた。どうしたらこの気持ちを理解してもらうことが

できるのか、美歌は方法を知らない。

「………」

 黙って、ワンピースを脱いだ。小さな布の塊になった服を差し出し、

美歌は男の前に立った。パンティを穿かされていないので、そのまま

全裸である。

「うん、面白い化粧ができたな」

 身体中に残る傷痕を眺めて、楊がうなずく。

「お願いします。教えてください。マゾにしてください…」

「よし、試してやろう」

 立ち上がって、次の部屋に通じる鋼鉄の扉を開けた。

「シャオロン! 出てこい」

「ヒェェェッ…!」

 突然の恐怖に、美歌は悲鳴を上げて跳びすさった。

 何という種類の犬か、おそらく狩猟用か競争用の血統種なのだろう。

黒光りのする毛並みで、鍛え抜かれた野獣の筋肉が盛り上がっている。

しかも鎖に繋がれていない。そいつが唸りごえを上げて美歌に近づいて来た。

「ツゥオ!」

 楊が声を掛けると、猛犬はハッハッと舌を出して威嚇するような

低い姿勢をとった。

「小龍という名前だ。お前は、今からこれと結婚する。いいな?」

「ヒェ…ッ」

「小龍は人間ではないが、人間の言葉も気持ちも解る。最上等の

高級動物だ。お前も同じだ、マゾの女は人間ではない。いまから小龍を

自分の男だと思え」

「ハハ…、ハイ」

「いい加減な気持ちでやると、小龍にはそれが解る。真実の愛がなければ、

お前は殺されるかも知れない」

 美歌は小龍を見た。

 凄い犬だ。私は、この犬の女になる…!

 小龍は受け入れてくれるだろうか、お気に召してくれるだろうか…。

ガタガタと震えながら、美歌は少しづつ小龍にいざり寄った。

 私、マゾなんです、変態なんです、人間じゃないんです、ほかの星から

来たんです。あなたの女にしてください…!

 小龍の心に届くようにと、必死に念じ続けた。

 どうしたら小龍がその気になるのか、美歌は自分が犬になるしかない

と思った。四ッん這いになり、出来るだけ股を拡ろげて、尻の割れ目を

小龍のほうに向けた。唸り声が、急に大きくなった。

 楊が何か言うと、小龍が突然吠えた。途端に、硬く鋭い爪が美歌の背中に

突き刺さり、激しく掻いた。

「ギャッ…!」

「それでは駄目。もっと愛を込めて、徹底的に奉仕しろ。口を使って…、

小龍はお前の男だぞ!」

 もう夢中だった。後脚を掴み、身体を寄せて下からくわえようとした。

小龍は反射的に避けて、グワッと美歌の二の腕を噛んだ。

「ウワッ、助けてッ…」

「みろ、お前まだ真剣になっていない。犬だと思って馬鹿にしている。

やり直しだ!」

 腹を蹴られて美歌は床に転がり、天井を向いた。

「ごめんなさいっ」

「小龍にあやまれ」

「申し訳ありません。お許し…」

 跳ね起きて、小龍にむかって両手をつき、頭をフロアにこすりつけた。

 噛まれた二の腕はそれほど痛くなかった。ちょうど獣同士が

じゃれ合うように、手加減してくれたのだろう。

「もう一度させて下さい。お願いします!」

 今度は、楊が手を添えて、ようやく後脚の間に顔を入れることができた。

 小龍は、おとなしくしていた。そこは柔らかくて、かなり長い毛で

覆われている。美歌は頬ずりして、大切な物を扱うように両手で揉んだ。

露出してきたピンク色の肉は、やはり人間とは違ったかたちをしていた。

口に含むと、いつまでも舌に残るような塩辛い味があった。

「よし、ケツを立てろ」

「はい」

 楊はその上に小龍を誘った。重くて不自然な、それでいてリズミカルな

動きが伝わってきた。硬いものが合わせ目を突きひらこうとするのだが、

角度が悪いのか、うまく中まで入らないのだ。

「お前、穴が小さい。もっと拡げなければ駄目だ」

「どうすれば…?」

「待ちなさい。用意してやろう」

 仰向きに、高さを調節した台を腰に当てられ、脚を投げ出す。

恥丘が盛り上がり、腹筋がピンと張った。

「来い、シャオロン…!」

 小龍がその間に入って、前脚で乳房を押さえた。

 腹と腹を合わせるのは人間だけだが、その意味でも、小龍と美歌は

人間と獣の中間にあった。美歌はされるままに、この世のものでない

淫靡な悦楽に身を任せている。

 乳房が潰れ、小龍がぐいと腰を曲げた。その瞬間グサッと挿入が完成した。

「あうっ、あうっ」

 リズムが激しくなり、小龍の涎が胸から顔へ飛び散る。腹腔が破れそうな

衝撃が、続けざまに子宮からクリトリスの周辺まで広がった。

美歌は虚ろに眼をあけて、狂ったように両手で小龍を求めた。

もう、完全に犬と同化している。

 私の男、私の男…!

 小龍が唸り声を上げた。宙を泳ぐような視線の中で、小龍が自分を

見下ろしているような気がして、美歌は、歓びの極限に達した。

「あ、いく…!」

 全身が硬直して、ピクピクと震える。

「いく、いくッ」

 何人の男に犯されてもイクことがなかった美歌の肉体から、突然、

絶頂の感覚が噴き出してきた。



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