S M プレイ図鑑




    残された最後の熱帯雨林

 女性の剃毛について、SM小説などではいとも簡単に陰毛を剃り取ってしまうが、
これがなかなか、コツと要領が必要な作業なのである。

 すでに経験されている方にはばかばかしいお話、未経験者には結構タメになる
話題なのだが、先ずは女性の陰毛の生え方から研究してかからねばなるまい。

 頭髪につむじがあるように、実は陰毛にも一定の流れがある。剃り取った後を
子細に調べてみると、毛根の中心がクリトリスに向かって生えているというのは
間違いのないところで、とくに左右に広がった蝶の翅の部分にはっきりと現れている。

 男でいえば睾丸の袋がそれと似ているのだが、毛根の一つ一つが横向きになって、
なだらかなカーブを描きながら例外なしにクリトリスを指しているのだ。

 剃毛するときここを逆剃りにすると、毛穴からプツプツと血玉を吹いて、いわゆる
カミソリ負けの状態になるから注意しなければならない。

 それに比べて、剃っていて快いのは中央の恥丘と呼ばれるやや固い
肉の膨らみの部分である。具体的にいうと、大陰唇が結合してわずかに
抉れたようになっているワレメの頂点に広がるなだらかな丘で、毛根が
クリトリスに向かって流れているから、この辺りがいちばん毛の密度も濃い。

 ジョリジョリと微妙な手応えがあって、剃毛の醍醐味を味わうことが出来るのも
この部分、剃り跡も青々として美事である。

 とまぁ、ここまでは外見上眼につくから比較的楽だが、難しいのはここから先、
つまり二枚の肉唇とその奥にかけて生えている陰毛である。

 大陰唇に毛が一本もない女性も稀にはいるが、ほとんどの女がかなりの量の陰毛を
茂らせている。実際、女が毛深いかどうかを判定する基準は、外見より土手に生えた
雑草の多さで測るものだ。

 経験された方はなるほどと頷かれると思うが、土手から粘膜に移行する境い目のところに
陰毛が規則正しく一列に並んで生えている様子は、進化の神様はなんと器用なのだろうと
感心するばかりである。

 ここにカミソリを当て、綺麗に剃り落とすためにはかなりの熟練を要する。ヌルヌルと濡れた
粘膜を軽く摘んで引き伸ばしながら、慎重に削り取るような感じで、ー本づつそぎ落としてゆく。
失敗すると大切な接合部分に傷をつけて、後で挿入することもままならなくなるからご用心。

 男性ほどではないが、女も尻の穴のまわりに短い毛を持っている場合が多い。
この辺りまでくると、女一人では危ないのであなたが丁寧に剃ってやる他ないわけだ。

 AVなどで、よくシェービングクリームを使って泡だらけにしているシーンがあるが、
あれは危険である。濡らすのならただのお湯か、クリームならよく擦り込んで泡を
消してからの方が良い。

 それからもうひとつ、電動式のシェーバーを髭剃りのつもりで迂闊に使うと、
毛が噛んでどうにも収拾がつかなくなってしまうから要注意。剃毛は腋毛用のカミソリに
限定して慎重に剃り上げることが肝要である。

 毛を剃った後の肌からは、汗とは違った独特のホルモン臭のある湿り気が
滲み出してくる。女の体臭のもとになる分泌物だが、そのせいかどうか、
毛が伸び始めると剃り跡がものすごく痒い。あまり知られていないことだが、
女にとってはこの痒みがいっそう性欲を刺激するのだという。

 確かに、剃毛が完成すると女性はそれまでより性欲が増進するし、
精神的にも変化を示すものだ。

 心理的には、身も心もご主人様のものになったという喜びと、生まれながらに
持っていたものを失ってしまったという不安が交錯して、いっそうM傾向が強くなる。

「もうこれで他の人とはセックス出来ないと思ったら、彼への愛情が急に強くなった
みたいで、何をされてもついてゆこうという気持ちになりました」

「陰毛にはどうしても卑猥で嫌らしい感じがありますけど、毛を剃ってしまうと
自分でも気分がスッキリするんです。一度やったらやめられませんね」

 いわば、剃毛は女性の肉体に残された最後の美容術なのである。
今でこそ初歩的なSMのテクニックだが、やがて陰毛専門の美容室が
生まれたりして……。

 ひと昔前まで、無毛の女性はパイパンとかかわらけと呼ばれて縁起が悪いと
されていたものだ。だが体毛の減少は、あるいは人類の進化の一課程
なのかも知れない。

 

  淫風薫る五月の空の吹き流し

 縛るだけなら誰だって出来る。

 それをどうやって料理するかが、こちらの腕の見せ所である。

 長い間に随分いろいろと試してみたが、適度な美しさと残酷さがあって、
女を責める気分を満喫することが出来るのは何と言っても吊りが一番であろう。

 当時、私は自分でSMクラブを経営していたが、その頃のSMクラブは、
早い話がやっている本人が楽しむためのもので、何しろ金がかかって仕様がない。
そこでメンバーに自分が仕込んだ女を料金を取って紹介するというシステムを
取っているわけで、最近の整備された営業用のクラブとは基本的に発想が違う。
したがってやることは荒削りだが、それだけに今思えば本物の迫力があった。

 今から三十年も昔の話である。

 私が使っていたのは八王子の郊外にある離れ家式のドライブインで、
ここは造りが頑丈で、二間続きの部屋の間にはおあつらえ向きの太い梁に
支えられた欄間がついていた。

 近ごろはSM専用ホテルにでも行かない限り、ラブホテルで吊りを実行することは
不可能であろう。いわゆるプロの縄師と称する連中なら、それなりの設備も揃って
いるのだろうが、今どきのラブホテルには、ムキ出しの柱はおろか、壁に縄を引っ掛ける
手掛かりさえついていない。

 その日参加したのは、スポンサーになった酒屋の親父と、まだ若いサラリーマンの
三人である。

 女の名前は酒井美代子、24才、セックスはしないという条件で口説き落として
連れてきた。報酬は当時の金で三万円、SMは初体験であった。

 高小手だダルマ縛りだ、逆海老だと、初めのうちは女の身体をいじくりまわして
いたのだが、それじゃいよいよ吊り上げてみようということになった。

 吊りの醍醐味は、何と言っても逆さ吊りである。普通に吊ってみても、
ただブラ下がっているだけで少しも面白くない。

 地球の引力に逆行して頭を下に、両足は出来るだけ開いて、淫肉の切れ込みが
パックリと二つに割れているようでなければ本当ではない。だが実現するとなると、
これは容易なことではなかった。

 まず両手を背中にまわして手首だけ縛る。これは逆さ吊りにしても手が垂れて
畳についてしまわないための用心である。

 次に腋の下から乳房にロープをまわして、部屋の隅にある柱にくくり付けた。

「ちょっと、脚を持ってください」

「おいきた」

 酒屋の親父が女の脚を抱えあげると、すかさずサラリーマンが右の足首に
ロープを巻きつけて反対側の梁に結んだ。

 とたんに腋の下に女の全体重がかかって、美代子がギェッと悲鳴をあげる。

「待ってろ、すぐ楽にしてやる」

 左の足首を出来るだけ開いて、梁の真ん中あたりで括ると、身体がねじれて
自然に性器がムキ出しになった。

「うわわわッ、いッ痛いぃ」

「静かにしな、もうちょっとだ」

 足首を固定するのを待って、酒屋の親父が上半身のロープを解いた。

 グラリと身体が揺れて、ズルズルとロープを引きずるように頭が畳すれすれになる。

「もっと脚を高くしなけりゃ駄目だ」

「よっしゃ、いきまっせ」

 うんこらしょ…、と酒屋の親父が女の腰骨に腕をまわして抱き上げる。

「あぁっ、い、嫌…」

 出来上がったポーズは、髪の毛が畳を掃くほどの高さだったが、脚を開いた角度は
十分にあって、それなりの雰囲気があった。

 脚先で軽く女の乳房を蹴ると、全体がユラユラと風に靡くように揺れる。

 女はしきりに身体を撥ねて反り返ろうとするのだが、すぐに力が尽きて
ダラリとぶらさがってしまった。

「おぅおぅ、お嬢さん濡れてるじゃないの」 酒屋の親父がちょうど目の高さにある
淫裂を覗き込みながら言った。

「ほう、穴が開いてしまうもんだね。こいつは面白い」

 見ると内臓が下に降りたせいか、直径2センチくらいの空洞がポコッと開いていた。
そのまわりに、蜂蜜を塗ったような半透明な粘液がかなり多量に貼り付いている。

「早く早く、ビールを持ってきなさいよ」

 栓を抜いた口を空洞に当てて、ビンを逆に立てると、ゴボッゴボッといった感じで
空気と液体が入れ替わる。頃合を見てビンを抜くと、突然ブワッと思いがけないほどの
勢いで穴から泡が噴き出してきた。

「うわわ、出た出たっ」

 若いほうのサラリーマンが奇声を上げた。 股を開いた角度はおよそ45度、
足首を鴨居に繋がれてブラ下がった女の腹から乳房にかけて、噴き出した
ビールの泡がボタボタと落ちた。

「ぶはッ、ひッひぃ…ッ」

 女は跳ねようとするのだが、頭が重くて自由がきかない。2・3度腹筋が収縮して、
身体全体がユラユラと揺れた。

「ホラホラ勿体ない、早く飲みなさいよっ」 酒屋の親父が残ったビールを口飲みにしながら、
けしかけるように言った。

「えぇっ飲んでも良いんですか、こりゃ御馳走だ」

 女の股がちょうど胸のあたりにあるので、サラリーマンが女の尻を抱え込むようにして
直接唇をつける。ズルズル、ビチャッという卑猥な音が部屋中に鳴った。

「タッ助けて、止めてよゥッ」

 クリトリスや周囲の肉ベラを一緒に吸われて、女は顔を真っ赤にしてもがく。
セックスはしないという約束だったが、こうなってはどっちも同じだった。

「うんめぇ、もう一杯注いでくださいよ」

「おいきた、退いてみな」

 入れ違いに、酒屋の親父がビンを逆手に持ってグサリと穴の真ん中に刺した。

「ぎゃァァァ…ッ」

「オーバーな声出すんじゃねぇよ。あんただってイケる口だろ」

「痛いよゥッ、さッ裂けちゃう」

「心配しなくたって良い。ここからは子供の頭だって出てくるんだぜ」

 ビールはそれほど残っていなかったが、ぐりぐりと捩じ込むように
動かしながら、ときどき手を離して様子を見る。

「少しじっとしていなさい。落ちちゃうじゃないか」

 要するに、ビンを直角に突き立てたまま奇妙な人間のオブジェを作ろうと
しているのだった。だが身体が不規則に揺れるのと、穴の角度が
斜めになっているので上手く立たないのである。

「ちぇっ、駄目だな」

 舌打ちしてビンを抜くと、内側から再びブクブクと泡が溢れ出してきた。
前ほどの勢いはないが、そのぶんだらだらと脇腹を伝わって落ちて行くのを、
サラリーマンがあわてて女の尻を抱えて舐めまわす。

「仕様がねぇ、こっちでやってみよう」

 酒屋の親父がおもむろにもう一本のビールの栓を抜いた。

「あんた、そんなに可愛がってばっかりいないで、手伝ってくださいよ」

「えっ、どうするんです?」

「いいから、ここを押さえて…」

 言いながら、逆さ吊りになった女の尻たぶを容赦なくつかんだ。女はもう反応する
力を失ってダラリとぶら下がったままである。

「あっ、ちょっと待って…」

 サラリーマンが、陰毛に顎を擦りつけるような形で尻たぶを左右に開いた。

「いいかい、しっかり押さえていてくださいよ」

 親指の腹でビンの口を塞いで、固く締まった後ろの穴に狙いをつける。

「いくぜ…!」

 ゴボッとビールの塊が洩れたが、次の瞬間ビンの口から5センチほど、
ひと息にメリ込むように埋まっていた。

「うぐぅ、ぐぇッ…」

 ブルブルと全身が痙攣して、女が異様な呻き声を上げた。

 腸の中に入って汚物に触れた液体は、ほとんど爆発するような勢いで
泡を吹く。それがモロに腸管を膨らませて、激烈な痛みと凄まじい衝撃を与えるのである。

「ようし、そろそろ下ろしてやらないと限界だよ」

 たっぷりと飲ませておいて、酒屋の親父が無造作にビンを抜くと、とたんに
細い噴流がピューッと一メートル以上も飛んだ。若いサラリーマンも、さすがに
これを飲む勇気はなかったようだ。

 黙って見ているわけにもゆかないので、三人がかりで足首の縄を解く。
ようやくのことで鴨居から下ろしてみると、女は悲鳴を上げる余力もないほど
ぐったりとしていた。

「あっあっ、凄げぇ。出てくる出てくるっ」
 身体の位置が変わったので、壺の中に溜まっていた小便に似た薄黄色の
液体が音もなく流れ出してきた。

「ほう、ずいぶん入っていたもんだな」

 続いてブブッと音がして、後ろの穴から大量の空気が洩れた。そしてすぐ、
見るも無残なビールと糞の嫌応なしの排泄が始まった。



(完)