ゲーム売り場の女





     一、イカない淫女


「アァ快いッ、もッ、もう少し…」

 身体を横に曲げて、広げた股の間に思いきり腰を入れると、

富美子はほとんど悲鳴に近い快がり声をあげた。

 タップリと肉のついた太腿を抱えて、遠慮会釈なく突きまくってから、

もう15分ほどになる。クリトリスを指で捏ねまわしたときから、富美子は

ピクンピクンと筋肉を震わせて感じていたのだった。濡れ具合も、

人一倍はげしい。

 それなのに、どうしてもあと一息の爆発が起こらないのである。

こんなことは私も初めての経験であった。

「まだイカねえのか、もっと腰に力を入れてみろ!」

「ダッ黙ってて…ッ」

 富美子も必死に絶頂にたどり着こうとしているのである。息を切らして

もがくのだが、やはりそれ以上は進まなかった。

「うぅぅ…むッ」

 この調子では、こちらの方が先にダウンしてしまう。とうとうたまりかねて、

私は根もとまで埋まっていた男根を抜いた。

「アァァ、嫌…ァ」

「いい加減にしろ、あんた、おまんこが病気じゃねえのかよ」

「ヒッひどい…」

 股を開けっ放しのまま、富美子は恨めしそうに言った。

「こんなに興奮させられたことないのに、もうちょっとだったのにィ」

 不感症ではないことは、身体が十分に物語っていた。それなのに、

どうしてもイクことが出来ない。38才、今が熟れきった女盛りである。

 なるほど…、

 私は、初対面から富美子がラブホテルまでついてきた気持ちが

わかるような気がした。これでは欲求不満が重なって堪ったものではあるまい。

 知り合ったのは、池袋のデパートの玩具売り場である。

 私はそのころ人気があった「ドラクエ」を買いに行ったのだが、そこで

あれこれと迷っていたのが富美子だった。いわば全く偶然の出会いである。

「何が良いんでしょうかねえ。私、こういうの全然わからないもんだから…」

 向こうから話しかけてきて、聞くと親類の子供の誕生祝いにプレゼント

したいのだと言う。

「これが良いですよ。面白そうだ」

 『幻姫伝説』というのがあって、パッケージの箱に女の子が怪物に

襲われている絵が描いてあったので、それを勧めてやると、

富美子はさして抵抗もなく、そうですか…と言った。

 店員にリボンを掛けさせて一緒に売り場を離れる。試しにお茶に

誘ってみると案外簡単に承知した。

「私ってねぇ、ときどき男の人に声を掛けられたりするのよ」

 近くの喫茶店で、富美子は好色そうにチラチラと流し目を送りながら言った。

「私、そんなに若く見られるのかしら…」

 確かに40才近いにしては、華やかな雰囲気である。人妻だが

けっこう遊び慣れているといった感じだった。

「どう、ちょっと浮気してみないか?」

 さんざん褒めてやった後で水を向けると、女は急にこちらを窺うような目をした。

「私なんか駄目よ。だって、まだ男の人と一緒にイツたことないもの」

「そりゃ男が下手だからだろう」

「そうかしら…」

「旦那さんとやってもイカないのかい?」

「うん」

 平気でキワドイ話をするのだが、いざとなると、なかなかウンと

言わないのである。

「それじゃ俺がイカしてやろうか。ためしにやってみな」

「うそ、そんなこと出来る筈ないわよ」

 富美子は湿った声で笑った。本当にイカしてくれるならラブホテルに

行っても良いと言わんばかりの口振りである。そして結局、ズルズルと

ここまでついてきてしまった。

「裸見せてよ。良い身体してるじゃねえか」

「うふふ…」

 何だ彼だと言っても期待と好奇心が見え見えである。

 中年女の大胆さも手伝って目の前で着ているものを脱ぐと、真っ白な

肌に堂々たるEカップ、富美子は熟れきった女の色気をふんだんに

発散していた。

 結果は、はじめに書いたとうりである。

 おそらく、同じことを何人もの男たちと繰り返してきたのであろう。



    二、腫れた肉唇


「私のこと、嫌になったでしょう」

 うつむいたまま、富美子は自分に言い聞かせるように言った。

「あなたが下手なわけじゃないのよ。イキたければ、先にイッても良いわ」

「約束だ、そうはいかねぇよ」

 こうなれば、こちらも意地である。

「あんた、今日まで一度もイッたことねえのかい」

「気持ち快いことは気持ち快いのよ。セックスなんてこんなもんだと

思っていたから…」

「オナニーもやったことねえのか?」

「やってもイカないから、イライラするだけ自分がみじめじゃない」

 富美子は淋しそうに笑った。

「私って、よっぽど感度が鈍いのかしらね」

 ところが、そうとも言えないのである。

 感度は抜群に良いのだが、快感の頂点が普通よりはるかに高い。

 ちょうど、クリトリスの奥の快感の部屋にがっちりと鍵がかかって

いるような感じだった。この鍵を開けてやらなければ快感は身体の外に

溢れだしてこないのである。

「こいつは、ちんぼだけじゃ無理だな」

 私は苦笑いしながら言った。

「こんなおまんこは千人に一人だ。案外すごい名器かも知れねえよ」

「ヘンなこと言わないでよ」

 あきらめたように富美子はノロノロと起き上がって、パンティを穿こうとした。

「待て…」

「エッ?」

「あんたを天国に連れて行ってやるよ。こっちへ来い」

 もう一度ベッドに突き倒すと、股を大きく広げた。

「いいか、少し手荒らなことをするから目をつぶってろ!」

「えぇッ、な、何を…」

 毛はそれほど濃いほうではなかった。色が白いだけに、色素の

沈着も少なくて、ワレメが白茶けた肌色をしている。真ん中に

乳首のような感じのクリトリスが、大きく飛び出していた。

「股を閉めるんじゃねえぞ」

 ズボンから革のベルトを抜いて、膨らんだ陰毛の丘をめがけて

思いきり叩きつけると、

バシィ…ッ!

 脂肪のついた腹の肉がはじけるような音を立てた。

「ワァッ」

 反射的に脚を縮めて跳ね起きようとするのをベルトの鞭で左右に

開かせると、次の一撃が、まともにクリトリスを叩いた。

「ギャァァッ」

 富美子は異様な叫び声をあげて、ベッドで弓なりになった。

「危ねえ、動くなっ」

 二発、三発と鞭が柔らかいワレメの肉を直撃すると、その度に、

富美子はエビのようにのけ反る。

「タッ、助けてェッ」

 内股の間が真っ赤になって、みるみるうちに肉唇が腫れ上がってきた。

容赦なく指で開いてみると、鶏のササミのような色をした肉ベラが

2倍くらいに膨らんでクリトリスに貼りついている。

「起きろ」

 上半身を引き起こすと、二の腕を掴んで、手首と腕のつけ根を

浴衣の紐でギシギシと縛りつけた。ロープを持っていないので、

縛ることが出来たのはここだけである。

「立てっ」

 両手を二つ折りにされて、富美子は奇妙な格好でヨタヨタと立ち上がった。

 ぷっくりとした腹のまわりに、ベルトの形が何本もミミズ腫れになって

残っている。陰毛が濃くないので、クリトリスがワレメの間から

猫の舌のように垂れ下がっているのがはっきりと見えた。

「ど、どうするの…?」

「こっちに来い、おまんこの中に詰まってるゴミを掃除してやるよ」

 ドンと背中をつくと、よろめいた拍子にEカップの乳房がブルルンと揺れた。

 そのままバスルームに連れて行って、まだ乾いているタイルの上に、

蛙をひっくり返したように仰向けにすると、腕を縛られているので

ムキ出しになった股間を隠すことが出来ない。

「ねえッ、酷いことするのはやめて、私、痕がついたら困るのよ」

 富美子は不安そうに、おびえた視線をこちらに向けた。

「分かってる、痕なんかつけやしねぇよ」

 シャワーの温度を調節してコックを全開にすると、突然ブワッという

感じで、思いのほか激しい水流が吹き出してきた。

「イケるだけイカしてやるから、暴れるんじゃねえぞ」



    三、シャワー地獄


 家庭用のシャワーと違って、水圧は思ったより強い。5センチほど

放して直接粘膜に当てると、痛いほどの水流が飛沫をあげた。

 鞭で叩かれたあとに、それが反って気持ち良いのか、富美子は

全身の力を抜いて天井を見上げている。

 イクことは知らないくせに、セックスには十分馴れた30女である。

ポーズは大胆だし、気持ち良いことなら何でもするといった

猥褻なところがあった。

「感じるか…?」

「うん、少し…」

 だが、腹の筋肉を固くして凝ッと一点を見つめているところを見ると、

相当に感じていることは確かなのである。やがて、ときどきヒクヒクと

腰が震えるようになった。

「あぁ…、気持ち快い…」

 富美子は、ホッとタメ息を吐くように行った。

「何だか、オシッコが漏れそうになる…」

「かまわねえよ。シャワーで流してるから、出したきゃ出してしまえ」

「ウゥ…ム」

 あるいは、少しづつ漏らしていたのかも知れない。クリトリスと

周辺の肉ベラに当たった噴流は、瞬間的に白い泡を吹いて

足もとに流れ落ちていった。

 3分から5分くらいすると、富美子の様子に明らかな変化が見えた。

 眼がトロンとして、畳まれた腕がブルブルと震えはじめる。

反対に固くなっていた腹筋がゆるんで、腰が抜けたように動かなくなった。

「あ、あ、もう駄目よ。ヘンになりそう…」

 富美子が救いを求めるような声を出したのはその直後である。

「や、やめて…、イッちゃうかも知れない」

「バカヤロ、それが目的じゃねえか」

 閉じかけた脚をぐいと開き直して、至近距離からシャワーを

クリトリスに当てた。

 陰毛が風に煽られるススキのように、水流の中で浮き上がって揺れて

いる。富美子の顔を見ると、唇を小刻みに痙攣させて眼が宙を睨んでいた。

 そして、そのまま1分近く、同じ状態が続いた。

「ウワッ、イッ、いくぅぅ」

 とたんに、富美子の下半身がバネのように躍った。

「ウェェ…ッ、いくッ」

 固いタイルに自分で尻を叩きつけると、富美子は全身で反りかえった。

「イヤァァァ…」

 ガクッと力が抜けたが、噴流をまんべんなく粘膜に浴びせられている

ので、休んでいる余裕がなかった。イカされた直後から、たちまち

盛り上がってくる第二の感覚は、まるで鳥肌が立つような

異様な快感である。

「ワ、ワッ」

 逃れようとするのだが、濡れたタイルの上にしっかりと押さえつけられ、

その上腕を縛られているので身動きすることが出来ない。

「イッ、いっちゃうッ」

 ついに、肉体の鍵が外れた。

 富美子は、猛烈な勢いでイキはじめた。

 豊満なEカップの胸を連続的に震わせてもがく。腹筋が再び脈動を

はじめて、ギクシャクと身体が揺れた。

 一度扉が開くと、あとはもう止まらなかった。波のような快感が

押し寄せてきて、その周期が次第に短くなった。

「許して、やめて、し、死んじゃうッ」

 頭の中が真っ白になって、富美子は夢中で口走っていたが、

やがて口をきくことも出来なくなってしまったようだ。最後には、

ヒクヒクと身体が痙攣するだけになった。

 それでも時折大きな波に襲われるらしく、縛られた腕を不自然に

動かしてはハッハッと荒い息を吐いた。

 およそ一時間、いかされた数は百回をゆうに超えたと思う。

 ほとんど動かなくなったのを見て、私はシャワーを捨てた。

 グニャグニャになった太腿を肩に担いで、正面から無造作に肉塊を

埋める。とたんにブシュッと音がしてお湯が流れ出してきた。

穴の中までズブズブの水浸しなのである。

 5・6回抜き挿しすると、思いがけなく括約筋が急激に収縮して、

富美子が激しい硬直を見せた。

「死ぬゥ…」

 ウワ言のように叫んで、ガクン…と全身から力が抜けた。

 富美子とは、その後何回か逢ったが、女にサービスするだけの

セックスが煩わしくなって、いつの間にか遠ざかってしまった。

 最後にはシャワーなしでもイケるようになっていたが、いまでも

ときどき懐かしく思い出すことがある。



<完>