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一、意外な宝石
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広川美代子と知り合ったのは、地下鉄丸ノ内線の車内である。ちょうど夕方の
通勤ラッシュで、電車の中は勤め帰りのサラリーマンですし詰めだった。
ドアの隅で、スケッチブックを抱えた背の低い少女が揉みくちゃになっている。
すぐ前に男が立っていて、電車が揺れるたびに、覆いかぶさるような感じで
少女を圧しつけていた。逃げる場所がないので、少女は身動きすることが
できない。
頬にかかる鼻息を避けようとして、ときどき眉をしかめたり顔をそむけたりする
のだが、声を出す勇気もないようであった。
痴漢にやられてるな…、
ななめ前の吊り革の位置で、私は先刻からその様子を観察していた。
なかなか度胸のいい痴漢である。少女はときどき身をもがく、見えない太腿の
あたりで男の手が這いまわっているらしいことは察しがついた。
どうやって弄んでいるのか…。
少女の唇が半開きになったのを見て、私は突然ムラムラと腹が立った。
べつに正義感からではなかった。眼の前で美味しい獲物を捕らえようとしている
男への嫉妬である。
畜生、犯らせてたまるか…!
とっさに人混みを掻きわけて、私は強引に少女の腕を掴んだ。
「オイ、次で降りるんだ。早くしろ」
ビックリしたようにこちらを見たが、眼で合図すると、少女はあわてて
身体を泳がせてきた。
次の駅で開くのは反対側のドアである。二の腕を掴んだたまま、混雑を肩で
押しのけて電車から引きずり出すと、すぐにドアが閉まった。
少女はぼう然として、走り去る電車を見送っている。これが、広川美代子との
偶然の出会いだった。
ミニスカートにソックスをはいて、三ツ編みにしたお下げ髪…。
ひどく子供っぽいスタイルだが、全体に小柄なせいか、かえってそれがよく似合う。
「すいません」
電車がいってしまうと、少女は頬を赤くして恥ずかしそうに頭を下げた。
「だいぶヤラれていたじゃねえか。おまんこにも触られたのかい?」
「えっ、いいえ…」
ドギマギして、イタズラを見つかった女の子のように両膝を揃えたまま
立ちすくんでいる。
「助けてやったんだからな、お礼にお茶ぐらいつきあえよ」
「でもあの…」
「いいから一緒に来い」
かまわず歩き出すと、少女は困ったような顔をしたが、断ることもできず黙って
後ろからついてきた。
喫茶店に入って話を聞くと、阿佐ヶ谷の美術学校に通っている学生で、年令は
十九才ですと言った。
「へえ、十九にゃ見えねえな」
「そうですか」
美代子は、はにかんだように笑った。
「痴漢には、しょっちゅう狙われるのか」
「ときどきはヘンなことする人がいるけど、それほどでも…」
言葉を濁して、うわ眼使いにこちらを窺いながらコーヒーをすすっている。
見かけは幼いようだが、どうやらもう男を知っている感じの視線だった。
こいつ、簡単にヤレそうだな…。
獲物を横奪りされた痴漢には気の毒だが、それが第一印象であった。
「まあいいや、せっかくだからいいところに連れてってやるよ」
「エッ…」
少女は、とたんにおびえた表情を見せた。
「助けてやったのも何かの縁だ。痴漢にやられるよりは良いだろう?」
これでは、狼が野良犬を追っ払ったようなものである。結局また断わりきれずに
美代子はズルズルとラブホテルまでついてくる破目になった。
連れ込んだのは、新宿の歌舞伎町裏に新しくできた洋式のホテルである。
「いや怖い…」
後ずさりするのをベッドに突き飛ばすと、尻餅をついた拍子に、ミニスカートが
捲れて白いパンティが丸見えになった。それを隠す余裕もなく、美代子は股を
広げたまま魂が抜けたようにこちらを見上げている。
パンティの横から指を入れてワレメをさぐると、痴漢に興奮させられたせいか、
出すものはもうしっかりと出していた。
「何だてめえ、ベタベタじゃねえか」
「ア、いや…」
低い呻き声をあげて脚を閉じようとする。かまわず指を入れてえぐると、
急にぐったりと全身の力を抜いた。
「カ、カンニンしてください…」
こんなことなら、痴漢にやられたほうがまだマシだったかも知れない。
気の弱さとお人好しと、セックスに対する抵抗力のなさが共存している。
要するに、典型的なイジメられっ子のタイプなのである。
ちょっぴり可哀相な気もしたが、いまさら遠慮するテはなかった。
引き起こして、嫌おうなしに素っ裸に剥くと、19才というのに、まるで
中学生のような体型をしていた。全体がまだ固くて、なだらかな乳房のてっぺんに
乳首がツンと上を向いている。ワキの下を覗くと、毛を剃ったあとのプツプツが
妙にナマナマしく、微かに汗の匂いがした。
「可愛いオッパイしてるじゃねえか、もっと奥を見せろ」
さっきまでアカの他人だった娘を、気ままに観賞する快感はこの道の
醍醐味である。
太腿の合わせめに栗色の陰毛が卵形に生えて、くっきりと縦の線が透けて見えた。
陰裂をひらくと、猫の舌のような肉ベラがふたつに割れて、肉体はもうすっかり
女になっている。
「ウェェ…ッ」
真ん中を指でなぞると、ブルブルと膝頭を震わせて、少女は思いがけなく
淫らな嬌声をあげた。
「バカ、快がるのはまだ早えや」
そのまま脚をエビのように肩のところまで曲げる。二つ折りになった尻の
ワレメから、土手のふくらみがハミ出していた。中心をナマコを裂くようにえぐると、
粘り気のつよい液体がツゥーッと三十センチも銀色の糸を引いた。
「見ろよ、おめえ相当なインランだな」
「お、お許し…、下さいマシッ」
年令に不似合いな女言葉で、美代子は哀願した。
気が弱いわりには性欲が強い。タダ同然に拾ってきた女だったが、こいつは意外に
値打ちものの宝石である。
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二、陰画セックス
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「起きろ。世話を焼かせるんじゃねえ」
「カンニンして下さいましッ」
強姦して楽しむだけではもったいない。
お下げの髪を掴んで引き起こすと、横抱きに腰をかかえた。
「てめえ、変態なら変態ですと正直に言ってみろ!」
尻の穴に、なめくじの汁のようなヌメリを塗りつけて指をねじ込む。
「ヒェェ…ッ」
中指と親指を前後の穴に入れて強引に手首を返すと、逆らうことができず、
美代子はヨタヨタと身体を起こした。軽いので、まるで指人形である。
括約筋がふたつの穴を分離していたが、内部は薄い粘膜一枚で、俗にいう
蟻の戸渡りを掴まれているので逃げることができない。
指を動かすたびに、美代子は蛙のように身体を伸び縮みさせた。
「アアッ、や、やめて…」
「恥ずかしがっていないで、いい加減に白状したらどうだ。お前、
痴漢が好きなんだろう」
「言います、言うから…ッ」
少女は身をよじりながら叫んだ。
「わたしッ、ヘ、ヘンタイなんですゥ」
「どうして、そんなことが解るんだよ」
「ときどきヘンな夢を見るんですッ。子供のころから…」
「それで、電車で痴漢を待っているのか」
「よ、良くわかんない。わたし、きっとおかしいんですッ」
本人は自覚していないが、それだけでも十分にマゾの素質を持った
痴少女である。
「毎日、虐められるのを想像しながらオナニーしているんだろ」
「いやァッ、違うったらァ」
美代子は、真剣に羞恥の表情を浮かべた。
「男は何人くらい知ってるんだ」
「サ、三人です、本当ですッ」
それにしては反応が異常に強い。やはり生まれながらに備わったセックスの
適性という他はなかった。
「彼氏にもこうやって可愛がって貰ったことがあるのかよ!」
肛門と陰穴を同時にえぐると、小さな身体がバネ仕掛けの玩具のように残酷な
踊りをおどった。
「そんなことないッ、アッ、アッ…」
腕を曲げると、前のめりになって腰にしがみついてきた。そうしなければバランスが
取れないのである。
眼の前に怒張した男根が脈打っている。美代子は嫌おうなしに口をあけた。
「舐めておけ、ちゃんとやらねえと後がつらいぞ」
「ウッ、ウグッ」
三ツ編みがほどけて、お下げがバラバラになっている。
しばらく舐めさせておいて、肛門から指を抜くと、美代子は腰が抜けたように
ベタッとウンコ座りになった。
「上に乗っけてやるよ。腹を跨いでみろ」
唾液でベトベトになった男根を天井に向けて大の字になると、美代子は催眠術に
かかったように這い上がって、先端をワレメの真ん中に当てた。
「バカ野郎、穴が違うじゃねえか!」
「エエッ」
「てめえ変態だろう。自分のケツの穴くらい場所を覚えておけっ」
あわててまた腰を浮かして、ブルブルと震える指先で男根を握った。
「で、できない…」
しばらくためらった後で、美代子は泣き出しそうな顔をこちらに向けた。
「お願い、マエのほうにして…」
「まだわからねえのかっ」
「ぎゃッ」
いきなり腰を跳ね上げると、異様な叫び声をあげて弓なりにのけ反る。
「待ってッ、や、やるから…ッ」
もう、恥も外聞もなかった。
通常よりはるか後ろの穴に狙いをつけて、歯を喰いしばって全身の
体重をかける。
「ウウム…、くうッ」
男根が湿った肉を押しわけて、メリメリと根もとまで埋まった。
股をいっぱいに拡げた奥に、何もくわえていない陰裂が歪んで口を開けている。
淫靡で嗜虐的な眺めである。
「ようし、良くやった」
ウエストを掴んで上下に揺すると、突き刺さった肉塊が気の毒なくらい太く見えた。
尻の穴がはじけるほど痛い筈だが、それも一種の陶酔なのであろう。美代子は首を
ガクガクさせて、全身がコンニャクのようになっている。
「アッ駄目、怖い…ッ」
根もとまで串刺しにして、四十キロに満たない身体を抱き上げると、
ズリ落ちまいとして夢中で脚を胴体にからみつけてきた。
「平気だよ、もっとケツを締めろ!」
立ったまま下腹にこすりつけると、内部から滲み出したヌメリで、案外らくに
動かすことができた。
二つの穴を交互に突きまわして、私が射精したのは、それから一時間以上経って
からのことだ。
腹の中の臓物を突き上げるように精液を吐き出したとき、美代子はヒクヒクと
痙攣したが、その後は失神同様になって何をやっても反応を示さなかった。
「おい、眼を覚ませ」
頬っぺたを叩くと、美代子はボンヤリと焦点のない視線をこちらに向けた。
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三、川の流れのように
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「とんだ災難だったな」
ようやく我にかえって、美代子はかすかに首を振った。
「まあ、悪く思うなよ」
裸のままベッドに脚を投げ出している。
手を延ばすと、美代子はもう避けようとしなかった。射精された後のマゾ女の
微妙な変化である。
脚をひらいて見ると、小陰唇が赤く充血して、腫れた肉ベラの間から精液が
ジクジクと滲み出していた。その奥に、肛門の括約筋がムケたように
濡れて膨らんでいる。
「すぐに治るさ。ケツのほうはクソをするときちょっと痛えぞ」
「いいの」
美代子はまるで他人ごとのように言った。
「わたし、丈夫だから…」
あれほど怖がっていたのに、ほとんど被害者意識を持っていないのである。
「痴漢には注意しろ。お前マゾっ気が強いから良いように遊ばれるだけだぜ」
ずいぶん勝手な言い分だったが、美代子は納得したように黙って
うなづいて見せた。
「アノゥ…」
それから、ふと不安そうな顔を上げた。
「わたし、また誰かにイジメられたらどうしよう」
「何だと…?」
「だって、わたし自信ないもん…」
だから離さないで…、という響きが言葉のどこかにこめられている。
「そんなこと、俺が知るか」
私は、わざと冷たく言った。
「犯られたくなったら、オナニーでもしたらどうだ」
「………」
美代子はまたうつむいてしまった。解けたお下げの髪を編み直しながら、まぶたに
涙がにじんでいるのが哀れである。
「早くしろ、遅くなるぜ」
たしかに、一度限りで手放してしまうのは惜しい女だったが、これ以上情けを
かけると後が大変である。
洋服を着せると、美代子は急にまた子供っぽい中学生スタイルになった。
「小便を飲むか…?」
「うん」
ふと思いついてズボンから男根を出すと、絨毯に膝をついて大切そうに肉塊を
口にくわえた。熱い液体を嚥み下すたびに、美代子はクゥックゥッと咽喉で
卑猥な音を立てた。
大人と子供が同居している、奇妙にアンバランスな娘である。
ホテルを出ると、終電車にはまだかなり時間があった。
盛り場には相変わらず夜の雑踏が続いている。二人が肩を並べて歩いても、
何をやってきたのか注意するものは誰もなかった。
傷が痛むのか、美代子は軽くビッコを引いている。
「おまんこを大切にしろよ」
地下鉄の改札口まで送って、別れるとき声をかけると、振り返って急に泣き出し
そうな眼をした。
「早く行け!」
人混みの中に消えて行く後姿を見送ったとき、ちょっぴり未練もあったが、
釣った魚をもとの川に放してやるような気持ちだった。
ところが、半年ほど経って、思いがけなくまた新しい展開があった。
その日、私は銀座から地下鉄に乗ったのだが、車内は相変わらず
込み合っていて、座席を確保する余地はなかった。次の駅で、勤め帰りの
サラリーマンがなだれ込んできて、思わず身体が斜めになった。
あれ…?
その中にこちらに背を向けて人混みに埋まっている背の低い女の子がいた。
頭だけしか見えなかったが、間違いなく見覚えのある三ツ編みのお下げ髪ある。
あいつだ…、
躊躇なく、私は混雑に逆らって女のそばに寄った。
美代子はまだ気がついていない。反対側のドアに押しつけられて、相変わらず胸に
スケッチブックを抱えている。
その隣りにOLらしい若い女がときどき顔をしかめて電車の揺れに身を
任せていた。
後ろから触ると、美代子はGパンを穿いていた。それでもすぐに痴漢だとさとった
のだろう、ビクッと身体が固くなった。
どんな反応を示すのか…、
かまわず股の合わせ目をさぐると、わずかに腰をくねらせて逃れようとする。
二・三回繰り返しているうちに、息使いが荒くなってくるのが密着した背中を
通してはっきりとわかった。
そのとき電車がとまって、今度はこちら側のドアが開いた。
逃げるなら今がチャンスなのだが、美代子は腰を抱かれたまま、反対に
もたれかかってくるような仕草を見せた。やはり、生まれながらの痴少女である。
かまうことはない…、
ブラウスのホックをはずしてブラジャーをずらすと、指先で乳首をつまんだ。
「アフゥッ」
露出した乳房をスケッチブックで隠しながら、美代子が大きなタメ息をついた。
動作が露骨なので、隣りのOLが気がついたらしく、びっくりしたように少女の横顔を
見つめている。
「おい、もっと気分出せよ」
私は、わざとOLにも聞こえるような声で言った。
「……!?」
一瞬、美代子は全身の動きを止めた。それからおそるおそるこちらに
顔を向けた。
「久し振りだな、覚えてるか…?」
返事をするかわりに、美代子はヒィッと咽喉の奥で鳴いた。
反射的に離れようとしたが、乳房を掴まれると、もう駄目であった。
膝頭に力が入っていない。危うく崩れそうになるのをドアに圧しつけて、
手を延ばすとGパンのファスナーをひと息に下げた。
「アゥ…」
なかは薄いパンティ一枚で、指を入れると温かくてザラザラした感触があった。
半年前にさんざん弄んだ、栗色の陰毛である。
「お許し…ッ」
指がクリトリスに当たると、美代子は身震いして、かすれた声で言った。
だが、そこまでが限界だった。
電車が新宿に着くと、半分以上の乗客が入れ代わって車内は急にらくになった。
隣りにいたOLもそうそうに降りていった。
ドアの横の鉄棒に掴まって美代子はまだフラフラしている。Gパンのファスナーが
開いて、なかのパンティが見えているのにも気がついていないようだ。
「良かった、やっぱり逢えて…」
しばらくして、美代子は痴呆のような顔で言った。
「きっと、来てくれると思っていたもん」
「てめえ、まだ懲りねえのか」
せっかく逃がしてやったのに、また引っかかってきた愚かな魚である。
偶然が重なったとは言え、美代子は、結局いつかは変態の世界にたどりつく
運命だったと思う。
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