クソ女捕獲作戦




   一、スカトロ電話

 どこで知るのか、私の専用電話には、ときどき発情した女が

欲望をムキ出しにして電話をかけてくることがあった。

 受話器をとると、電話の向うで喘ぎながらオナニーしていたり、

男に捨てられた恨み言を聞いてやったり、時として性病の相談に

乗ってやったりもする。顔の見えない電話という防波堤があると、

女は不思議に大胆で露骨な一面をさらけ出すのだった。テレクラなど

まだなかったころで、いわばテレホンセックスのはしりである。

 だが、その晩の電話はちょっと変わっていた。

 相手が女だということはわかるのだが、ほとんど喋ろうとしない。

「どうした、オナニーでもやってるのか」

「………」

「黙っていないで、何とか言ってみな」

 ゴソゴソと受話器を持ちかえる音がする。

 やがて、低くてかすれた声が遠い感じで伝わってきた。

「私…、クソ女です」

「えっ、もっとはっきり話せ」

 突然、ブリブリッと何とも言いようのない破裂音が聞こえた。

それから肛門を割って溢れ出てくる異様な響き。続いてジョォーッと

勢いよく小便がほとばしる。そんな音だけのドラマが2分ほど続いて、

ガシャッと一方的に電話が切れた。

 私は苦笑いして受話器を置いた。

 これは、イタズラ電話とはちょっと違うのである。女は何かを

伝えたいのだが、こんな方法でしか訴える手段がないのだった。

 翌日、夜の10時を過ぎる頃になって、またベルが鳴った。

「………」

 雰囲気は、昨夜とまったく同じである。

「いい加減にしろ。お前、ゆうべのクソ女だろ」

「ごめんなさい…」

 特徴のある低くてかすれた声であった。

「今夜は、お前のクソなんか聞いてるヒマはねえんだ」

 女は、黙り込んでしまった。いらいらして電話を切ろうとしたとき、

受話器の奥から、微かな息づかいが聞こえてきた。

「さっきから、何をコソコソやってるんだ」

「お尻、さわってる…」

「おまんこじゃねえのか」

「ううん、お尻のほうがいいの…」

 呼吸が少しずつ荒く大きくなってくる。どうやらこの女のオナニーは

普通のやり方とは違うようであった。

 黙って聞いていると、奇妙なリズムで喘ぎは次第に絶頂に近づいてゆく。

「お前、ケツでイケるのかよ」

「あはっ…」

 異常性感というのか、尻の穴がクリトリスほど感じるらしいのである。

その晩、女は指で肛門を刺激して3回いった。

「名前は…、どこに住んでるんだ?」

「言えない。ごめんなさい」

 この種の女にとって、電話は唯一の防壁である。簡単に教える筈はなかった。

 それから一週間に二・三度の割合で電話がかかってくるようになった。

これは、是非会ってみたい女である。

 無理に納得させて、ようやく逢う約束をしたのは、ひと月ほどたってからのことだ。

 私はわざと混雑する場所を選んで、こちらの服装や目印を詳しく説明してやった。

「わかりました。じゃ私は花模様のピンクのワンピース着て行きます」

 新宿のアルタの前、いつも多勢の男や女が人待ち顔に佇んでいる

駅前の手軽るな待合わせポイントである。

当日、私は少し早めに約束の場所から離れた反対側の道に立って、

人の流れを監視していた。

 だが、ピンクの花模様など、何時まで待っても現れる筈はない

のである。どんな約束をしようと、変態の女が自分から顔をさらしに

くるものか…。しかし私には別の計算と確信があった。

 あの女は必ずここにやってくる…。

 10分ほど遅れて、ふと一人の女の行動が眼にとまった。ベージュの

ブラウスに膝上までの紺のスカート、いかにも勤め帰りのOLといった感じの、

小柄な女である。

 佇んでいる男女の間を縫って、さりげなく歩きながら誰かを

捜している。立ち止まったりしないだけ、かえって目立つのである。

 あいつだ…!

 約束の場所を一巡して、目当ての男がいないことがわかると、

女は未練もなくそのまま駅の方向に歩き去ろうとした。

 すぐ追いかけて、後ろから肩を叩く。女は立ち止まってゆっくりと振りかえった。

「何ですか…?」

 それは間違いなく、特徴のあるかすれた声であった。

「クソ女だな、俺の前をスリ抜けようと思っても駄目だぜ」

 ニヤニヤと笑ってみせると、女の眼がたちまち恐怖で丸く大きくなった。

 これが、松田美登里を捕えるまでのいきさつである。



   二、バージンの限界


「お前のために、わざわざ時間をあけてきたんだ。一緒に来い!」

 腕を掴んで、引きずるように歩く。

 歌舞伎町裏の温泉マークに連れ込んで、持っていたハンドバックを

奪うと、女は顔色を変えて取り戻そうとする。

「駄目ッ、かえして…」

「甘く見るんじゃねえ!」

 突きとばすと、足がもつれてドサッと床の上に仰向けになった。

「いやァ…ッ」

 女は、絶望的な声を上げた。

「約束を破ったのはお前だ。文句をいわれる筋合いはねえよ」

 出てきたのは、神田から吉祥寺までの定期券…。

名前は松田美登里、26才である。

 どこか良い会社のOLなのであろう。

 もっと太った肉感的な女を想像していたのだったが、実物は

40キロそこそこの小柄である。ストレートの髪が背中まであって、

26才というがまだ少女の香りが残っているような感じだった。

「お前、変態みたいじゃねえな」

 たしかに、松田美登里は電話のイメージとはかなり違っていた。

こんなかぼそい女が、あの猥褻な電話の主だったとは私にも意外である。

「ちょっと裸になってみな」

 ブラウスに手をかけると、美登里は本能的に身体を縮めようとした。

「おとなしく脱げよ。服が破れると家に帰れなくなるぜ」

「乱暴よしてッ。わ、わかりました…」

 仮面を剥がされた女は、もう無力だった。

 鳥の羽を毟るように裸にすると、ウエストや腰がほっそりとして、

まるで高校生のような体型である。縦長に生えた陰毛もそれほど

多いほうではなかった。

「あッ、イヤ…」

 引き寄せて奥に指を入れると、美登里は、突然はじかれたように

腰を引いた。

「痛いッ」

「ちぇっ、恰好つけるんじゃねえ」

「やめて、酷くしないで」

「暴れるからだ。少し静かにしてろ」

「ひィッ」

 そのとき、初めて痛がり方が普通ではないことに気づいた。

「お前ほんとに男とやったことねえのか?」

「お願いッ、指をとって…」

 突き倒して大陰唇を開いてみると、淡紅色のベロに囲まれた穴の周りは、

滑らかでまだ潰された痕跡がない。粘膜の真ん中が僅かに

陥没しているだけであった。

 26才で、まだ処女なのである。

「尻をこっちに向けろ!」

「恥ずかしいッ」

「この野郎、おまんこよりケツの穴見られるほうが恥ずかしいのかよ」

 四ツ這いにして後ろから覗くと、亀裂の中央に赤黒い肉の塊りが

盛り上がって輪になっている。ほかの部分が未熟なわりには

ここだけが異様に発達…、というより変形しているのだった。

 全体に濡れたような艶があって、指を入れてみると、軟らかくて

何の抵抗もなく根もとまで入った。

「うっ、くうっ…」

 動かすと筋肉がビクビクと収縮する。これは、かなり強い快感が

ある証拠である。

「も、もう、許してくださいッ」

「そうはいかねえよ。いつものようにクソ女やってみろ」

 強制的に便器を跨がせると、身体を二ツに折ってブルブルと震えている。

「できません。か、かんにんして…」

 電話でのあの大胆な行動は影も見えないのである。

 あれは、淫欲の虜になった女の魔性だったのだろうか…。



   三、糞まみれのオナニー


 それから10分近くしゃがませていたが、美登里には何も起こらなかった。

萎縮してしまったのか、クソのカケラどころか小便も出ないのである。

「仕様がねえな」

 道具を何も用意してないので、とりあえず事務所から持ってきた

使い残しの下剤を掌にあけて、無理やり口の中に押し込む。

「ぷっ、げふっ…」

「良く噛んで、ぜんぶ嚥みこめ!」

 苦い薬で、定量の10倍近くあったが、浣腸と違っていきなり

効果があるというものではなかった。

「てめえ、それでもクソ女か」

 ひっぱたくと、ヒッと咽喉を鳴らして便器からズリ落ちそうになった。

これでは、出るものも出なくなってしまう。

「こっちに来い!」

 痩せて軽量なので、取扱いは楽であった。

 トイレから横抱きにして、ベッドに放り出す。あわてて起き上がろうと

するのを後ろから捕まえて男根を肛門に当てた。

「痛くしないでぇッ」

「でけえ穴だ。ビクビクすんじゃねえ」

「ぎゃンッ」

 美登里は、犬のような声で啼いた。最初の一撃で、もう半分以上入っている。

 だが、処女膜に指を入れられたときの身を裂かれるような痛さは

感じなかったようだ。

「ケツでヤルのも初めてか」

「はッ、はい…」

 ヌメリが滲み出して、抜き差しはまったく自由である。なまこのように

軟らかい筋肉だった。腹に乗せて、男根の上に尻餅をついた恰好で

腰を弾ませると、美登里はまるで操り人形のようにガクガクと踊った。

「はぁっ、はっ、はっ…ッ」

 いつの間にか、変態女の本性がムキ出しになっている。

「お、オナカ痛い…」

「クスリが効いてるんだ、我慢しろ」

「はい、ウウ…ンッ」

 美登里は歯を食いしばって、自分から腰を揺すりはじめた。

「く、苦しい。お腹が…ッ」

 大量の下剤を嚥まされているので、内臓がときどき揉まれるように

しぶるのである。

「ト、トイレに…、いかせてッ」

「その前にケツでイッてみろ!」

「いやッ、いやッ」

 そのとたん肛門が膨らんで、食い込んだ穴の隙間から汚水が洩れた。

「汚ねえ、このクソ女…!」

「ごめんなさいッ、アいい…ッ」

 イキミがかかるのか、美登里は何回も黄色く濁った汁を吐いた。

「馬鹿野郎、出すものはトイレで出せ」

「ヒェッ」

 突き上げると、美登里の軽い身体がベッドから転がり落ちた。丸くなって

腹を押さえているのを、引きずって便器に据えると、顔をぐいと上に向ける。

「てめえが汚したんだ、キレイに始末しろ」

 べったりと滓が付着しているのを容赦なく口の中に入れた。

「うむぅっ、ぐふっ…」

 同時に、激しい排泄がはじまった。塊りと下剤をかけたあとの汚水が、

残酷な音を立てて交互に噴き出してきた。

「まだ腹が痛えか」

「ダ、大丈夫です…」

「それじゃオナニーやってみろ」

「クウッ」

 美登里は、僅かに腰を浮かした。

 前後から手をまわして、まだ汚物が垂れてくる穴に指を入れる。

手の平がたちまちクソまみれになった。

 曲げた膝をグラグラと揺すりながら、中指と薬指を尻の穴に入れて

動かしている。

「いッ、イッても、いいですか…」

 美登里は呻くような声を出した。

「まだ、舐めかたが足りねえよ」

「アアゥッ…」

 頬から顎にかけて、粘液でベタベタになっている。やがて、唇のまわりから

汚れた精液が溢れ出すと、クタクタとタイルの上に崩れて膝をついた。

 魂が抜けたようにボンヤリと便器を見つめている。なかに黒ずんだクソの塊と

薄茶色の汚水が混ざりあって溜っていた。

「ついでに顔を洗え…!」

 美登里の頭を便器の中に突っ込んで水洗の紐を引くと、ガァッと水が

落ちてきて、長い髮の毛が汚物と一緒に吸い込まれていった。

 ベッドに戻ると、美登里は覚悟を決めたように自分から股を拡げた。

「お前、これ以上ヤルと一生脱け出せなくなるぜ。それでも良いのかよ」

「ハ、ハイ…」

「おまんこは勘弁してやる。もう一度考えてからにしろ」

 美登里は泣きながら縋りついてきた。それを振りはらって別れたのだが、

電話はそれきりかからなくなった。

 半年ほどたって会社に連絡してみると、結婚のため退職していた。

女にとっては、おそらくギリギリの選択だったのであろう。

 松田美登里は、私が処女のまま逃がしてやった唯一の女である。



<この項終り>