女の噴水ショー



一、 はぐれ鳥

「どうだろう、噴水ショーなんてのは、出来ないもんでしょうかねぇ」

ネリ夫が、いつもの調子で言った。古い読者は記憶しておられると思う。

通称ネリ夫と言うのは、名前は安っぽいが、ある結構な会社の

社長サンで、当時私が経営していた変態クラブ「芸苑社」の有力な

スポンサーだった。根っからのスカトロマニヤで、若い女のウンコで

遊ぶのが大好きという変った人物である。

ときどきとんでもないアイデアを持ち込んで困らせてもくれたが、

お蔭でずいぶん貴重な体験をすることも出来た。

「噴水ショーですか、面白そうだね」

「女の子を探してくださいよ。いい子が見つかったら十万くらい出しても良いよ」

「ほう一人で…、ですか?」

私は思わず念を押した。当時の十万は、今なら三十万以上に当たる。

いくら変態クラブでも一日のギャラとしては破格である。

「そのくらいかけたって良いですよ。ほかに娯しみはないんだから…」

「で、どんなことをやらせるんです?」

「だから、つまり噴水ショーで…」

はじめは女の子を2・3人並べて、小便の飛ばし比べでもさせる

つもりかと思っていたのだったが、ネリ夫の話を聞くと、なるほど

それなら三十万かけても惜しくない。第一、そんなことを簡単に

承知する女がいるとも思えなかった。

「わかった、やってみましょう。しばらく時間をくれませんか」

最近のように商業化したSMクラブと違って、そのころの変態クラブは

まだ非合法で、客が求めることなら何でもやる。それが経営者の

プライドでもあった。

私はさっそく女選びにとりかかった。

引き受けたことは引き受けたものの、適当な女がいない。

そうこうしているうちに何時の間にか一月ほど経ってしまった。

そのころ、たまたま電話で応募してきたのが小島美千子である。

「年は、幾つなんだ」

「二十六ですけど」

「まだ若いじゃねぇか、お前、変態クラブで働いたことあるのかよ」

「いえ、知らないんです。でも住込みで働きたいと思って…」

「住所は決まっていねぇのかい」

「はい、まだ」

「東京に出てきたのはいつだ」

「えッ、き、昨日…」

それだけでピンと来た。当時、目覚しく復興していた都会に憧れて

地方から家出してくる娘があとを絶たない。

上野駅にはそのために家出人専用の交番があったくらいで、

娘たちを狙ってウロついているポン引きを取り締まっていた。

「あの、私なんかじゃ駄目でしょうか」

美千子は急に怯えたような声を出した。

「何でもしますから、お願いです。住込みで使ってもらえないかしら」

「泊るところがなけりゃ住込みにしてやっても良いが…、

お前いまどこにいるんだ」

「………」

「気をつけろ。そんな処でウロウロしていると、お巡わりに

見つかったらパクられるぜ」

「お、お願いです。働かして…」

おそらく昨日から行く当てもなく、駅のベンチで夜を明かして

いたのであろう。拾ったエロ新聞の三行広告を見て電話を

かけてきたのだろうが、受話器の向うで女の声は必死だった。

「よし判った。とにかくこっちに来い」

タチの悪いポン引きに見込まれたら、そのまま安宿に連れ込まれて

犯された挙句、どこかの淫売屋に売り飛ばされるのがオチだ。

「いいか、誰かに声をかけられても絶対に乗るな」

たっぷりと脅かしておいて道順を教えてやると、美千子は救われたように

何回も念を押して、必ず行きますから待っていて下さいと言った。

それから一時間以上たってようやく現れたのは、小柄で内気そうな

あまり見栄えのしない女である。

「お前か、美千子っていうのは」

「はい」

「ふぅむ、良く無事でここまで辿りついたもんだな」

私は舌なめずりするような気分で、女の全身を眺め回しながら言った。

「使ってやっても良いが、お前、もう男を知っているんだろうな」

「えぇ私、くにでは彼氏もいましたから…」

「そうかい、そりゃ結構なことだ」

私は、ゆっくりと受話器に手を伸ばした。



二、モデルの条件


「いま、面白い女が来ているんですがね」

美千子を目の前において事の次第をネリ夫に説明すると、

スグに返答が返ってきた。

「良いじゃありませんか、やらせて見ましょうよ。やれば出来る

んじゃないの?」

「では、ギャラは当日払いと言うことで…」

「判りました。女が新品ならこっちも張合いがありますよ。じゃ明日…」

振り向くと自分が品物扱いで取引されているのに気がついて

いるのかどうか、美千子は相変わらず怯えたように俯いていた。

ひと晩を駅のベンチで明かしてきた女にとっては、住込みで

採用されるかどうかのほうが不安なのである。

「お前ツイてるな。いい客がいたぜ」

「あ…、ほんと?」

「本気でヤル気があるんなら紹介してやっても良いが、何でも

言うことを聞くか」

「えッ、それはもう…」

内容も聞かず客の相手をすることを承知してしまったのは

如何にも田舎者だが、ふつうならポン引きの餌になって

売り飛ばされるところを拾われたのだから、美千子は

縋りつきたいほどの気持ちだったのだろう。

だが当時の変態クラブには、淫売宿よりもっと過酷な

人権蹂躙が横行していたことを知らないのである。

いわば、美千子はポン引きの手間を省いて直接網に

かかってきたに過ぎないのだった。

翌日—、

場所は、東急池上線石川台駅の近くにある緑風園という

待合風の連込み旅館で、広い庭に離れ式の独立家屋が

点在している。

案内されて部屋に入ると、ネリ夫はもう先に来て待っていた。

「この子なんですがね、田舎から出てきて働かせてくれと言うんで」

「ほうほう、可愛いお姉さんですねぇ。変態は好きなの?」

「えッいえ、でも…」

「まだ何も知らねェんですよ。何でもヤルって言うから、

試してみましょう」

「そうか、こんなことは身体で覚えたほうが早いからね」

ネリ夫は愛想よく笑いながら言った。

「それじゃ早速だけど、脱いでもらいましょうか」

「えッえぇッ、こ、ここでですか」

「怖がることなんかありませんよ。いい身体してるじゃないの」

ネリ夫が肩に手をかけると、美千子は反射的に身を縮めた。

「おい脱げよ。言われたとうりにすると言ったろう」

「はッ恥かしい…」

「ばかやろ、変態クラブじゃ女は裸になるのに決まってるんだ。

さっさと脱げっ」

後ずさりするのを引き戻して、毟り取るようにブラウスを剥ぐ。

粗末な下着だったが、ブラジャーから溢れ出すようなムチムチした

乳房がムキ出しになった。

「よぉし、いい子だ。こっちにおいで」

言葉も出せずに震えているのを、ネリ夫が抱えるようにして

浴室に連れて行くと、入口で強引にスカートを取った。

「これからが本番だからね。しっかりと頑張ってくださいよ」

小太りの身体を二つに折って、膝頭で乳房を圧し潰すように

雁字搦めにすると、海老縛りというより、壊れた操り人形のような

奇形的なポーズになった。

「女の子は身体が柔らかいから良いね。もうちょっと、

脚を広げてごらん」

「う、うむぅ」

ダルマを転がすように逆向きにすると、洗い場のタイルと

浴槽の角に背中を立てかけるように据えた。

「く、苦しい…」

「枕まくら、滑らないようにしないと」

不安定なので、肩にプラスチックの湯桶を置いてつッかい棒にする。

「ちゃんとお尻が天井を向いているかね。曲がっていちゃ駄目だよ」

このへんはネリ夫の独壇場である。女が苦しもうと息が詰まろうと

嫌応なし、容赦することはなかった。

「お姉さん、ゆうべはお風呂に入っていないね。おまんこが

匂いますよ」

クンクンと鼻を近づけて、わざとらしく大きく息を吸った。

「洗ってあげようね、キレイにしておかないと…」

蛇口にホースを繋ぐと、ほとんど狙いもしないでブスッと

肉の合せ目に刺した。

「ぎゃは…ッ」

全身で跳ねた筈が、縛られているので自由が利かない。

ネリ夫が構わず蛇口を全開にすると、ブワッとおそろしい勢いで

穴から水が噴き出してきた。



三、 噴水ショー


「ぐぇぇぇ、げほげほッ」

美千子は獣のような声を上げたが、噴き上げた水がまともに

顔の上に落ちて激しく噎せた。

「どう、サッパリしたかね」

5分ほど経って蛇口を閉めると、ネリ夫が女の顔を覗き込み

ながら言った。

「暴れるとポーズが崩れるからね。気をつけなさいよ」

半ば失神状態になっているのか、眼と口を虚ろに開けたまま、

美千子は反応する力を失っていた。

道具の位置を直すようにネリ夫がポーズを整えている間、

内部にも大分溜まっているのか、ゴボゴボと音を立てて、

中から水が溢れ出してくる。ようやく納得したポーズが

出来ると、ネリ夫が今度は慎重に、ホースの先端を

尻の穴に当てた。

「いいかい、動くんじゃないよ」

ブチッと肉襞を破って十センチ以上入ったところで、左手で

水量を調節しながら少しずつ蛇口を開く。そのとたん、反射的に

美千子が全身で痙攣した。

「ぐはッ、ひィッ」

「まだまだ入る、動くんじゃないッ」

どれ程の量が入っているのか判らないが、流石にこちらが

ハラハラするくらいの時間が過ぎた。

「おい大丈夫かね、限界じゃないの?」

「人間の腸はゴム風船とは違いますからね。そう簡単に

破けたりなんかしませんよ」

圧迫された腹の膨らみが、はた目にもそれと判るほどいびつに

膨張している。そのときゲェェッと美千子が上の口から大量の

汚物を吐いた。

突き刺したゴム管と尻の穴の隙間から、泡を吹いて汚れた水が

逆流している。それが腹を伝わり乳房の谷間を通って未知子の顔を

ヌルヌルに汚していた。

「そろそろ良いかな、それじゃ噴かして見ましょうか」

ネリ夫がひと息にゴム管を抜いた。

最近のようにアナル栓などと言うものがないから、間髪を入れず

指で抑えないと本当に噴射してしまいそうである。

「お腹痛いかね。いい子だからもう少し我慢して頂戴」

「うむむ、げげぇッ」

「おうおう良いものを出して、可愛いねェ」

嘔吐した上にべったりと腰を据えると、硬直した男根に塗りまわして

美千子の口元に突きつける。

「さぁ食べてごらん、味がついているから美味しいよ」

「あぐぅ、うげげ…ッ」

「よしっ、お腹に力を入れな」

顔に跨って、片手で美千子の太腿を抱えて固定すると、

ネリ夫が抑えていた指栓を抜いた。

はじめに、色のついた細い水柱のような液体が、ぴゅぅっと

三十センチほど飛んだ。続いて溶けた溶岩のような粘体が、

異様な音と一緒にぶくぶくと溢れ出して、肉の割れ目を伝って

流れ落ちた。

「ぶはっ、出た出たっ」

ネリ夫が歓声を上げて、糞に塗れたクリトリスに吸い付いたが、

あれだけの水がいったいどこに行ってしまったのか、期待していた

ほどの噴水が上がらなかったのは不思議である。

乗り出して見ると、肛門の括約筋が捲れあがって、あとからあとから

湧き出してくる糞流で二人ともベタベタになっていた。

そのとき、ぶばぁッと思いがけなく大量の空気が漏れる音が聞こえた。

そして次の瞬間、バシャバシャッ、ジャバッと、美千子が凄まじい勢いで

逆さ滝のような水を噴いた。

「わっ、危ねぇ」

あわてて身を引いたが、高さはゆうに1メートルを超え、太さも

小便などの比ではなかった。ぶすぶすっと奇妙な音が混じって、

その度に小指くらいの糞塊が四方に散った。

「おぉぉっ、偉いぞ!」

噴き上げた汚水をモロに浴びて、ネリ夫は狂喜の叫び声を上げた。

「出しなっ、もっと出せ」

咽喉に男根を突き刺したまま、ガッシリと太腿を抱えて夢中で

腰を使う。美千子は半死半生でほとんど意識がないようであった。

ピュゥゥ、ジャバッ…

二度三度、臓物の奥から汚物を混じえた糞水が飛んで飛沫を上げる。

汚物と言っても、終わり頃には寒天のようなブヨブヨした白い塊りに

変っていた。

ネリ夫が美千子の顔の上に、存分に精液を放出したのは

その直後である。

その後、美千子は逃げ出すこともなく、当時まだ珍しかった浣腸専用の

メス奴隷として評判になったことを付け加えておく。





もどる