一、チラシの効用
「ねぇやめてよゥ、嫌だったらァ」
女は身体を丸くして、さも穢らわしいといった態度を露骨にみせた。
「できないわよゥ、そんな…」
「良いじゃないの、ここまで脱いだんだからさ。言うことを聞きなさいよ」
「やだってば、カンニンしてェ…」
上半身はもう裸になっている。小麦色の肌にブラジャーの跡がクリーム色に
浮き上がっていた。
「帰してよゥ、私そんなつもりで来たんじゃないもん。やだッ」
「そりゃないでしょう。ギャラ払ってるんだから時間まではこっちの権利だ」
しつこく腕を延ばしてパンティを剥ぎ取ろうとするのは、ご存じスカトロマニヤの
ネリ夫である。
「それとも、いまさらお金を返して出て行こうって言うの?」
振り払って逃げようとすると、ネチネチと絡みつくように引き戻す。
女のほうでも金を受け取っている弱みがあるだけに、本気になって大騒ぎすることも
出来ないのである。
「だからァ、ハメるんなら二人でヤッても良いと言ってるじゃない」
あわよくば抱かれるだけ抱かれてこの場をズラかりたいというのが正直な魂胆である。
「エッチするだけなら、わざわざ呼ぶわけないだろ。いい加減でおとなしくしろよ」
「そんなァ、浣腸なんかできない…ッ」
ネリ夫がパンティに手をかけると、女はあわてて脚を縮めた。
名前は宮下あやか、年令はせいぜい二十二・三才といったところか。
最近は下火になっているが、少し前まで、公衆電話のボックスやマンションの
郵便受けなどに大量にバラ撒かれていたピンクチラシでひろった女である。
チラシの番号にマンションの部屋から電話をかけると、一時間以上も待たせたあと
玄関のチャイムが鳴って、どこからともなく女が現れる。
顔を見るまではブスかオバンか判らないところがミソだが、あやかは、見てくれは
それほど悪いほうではなかった。身長が一六〇センチを超えているのが難点だが、
そのわりには痩せていたし、スレていない。
「俺はフェラチオ専門だぜ。良いか」
「ウン…」
ベッドに腰掛けたまま股をひろげると、背が高いので絨毯に蹲るように顔を寄せる。
30分近く舐めさせて射精すると、あやかはホッとため息をついて身体を起こした。
「キツかったか?」
「ウゥン、それほどでも…」
だが出したものは全部飲み込んでしまったらしい。
「精液を飲むのは好きかい」
「そういうわけじゃないけど、妊娠の心配がないでしょ」
唇の端に残ったしずくを手の甲で拭きながら笑った。普通ならティッシュに吐いて
しまうところだが、このテの女としては上出来である。
「また呼んでくれる?」
「ヒマがあったらな」
おそらく、マンションの下に事務所の若い者が車で待っているのであろう。
洋服を脱がせたわけでもないので、あやかはそそくさと口紅を塗りなおしながら言った。
「私もうすぐやめるから、良いお客さんは残しておきたいのよ」
何人かのスポンサーを見つけて要領よく生きていこうとする、いかにも現代ッ子らしい
割り切った娘である。
携帯の電話番号を置いていったが、それきり忘れるともなく忘れていた。
三ケ月ほど経って、ネリ夫から良い女はいないかとせがまれてふと思い出したのが
あやかである。
「あ、覚えてるわよ。あのときの…」
電話をかけてみると、あやかはすっかり平凡な若い女の声に変わっていた。
ひと月も前に足を洗って、今ではコンピューターの学校に通っているという。
「どうだい、変わった遊びをやってみる気はないか」
「お小遣いになるの?」
「ギャラは二人前だぜ。そのかわり舐めるだけじゃねぇぞ」
「嬉しい、いま学校にお金がかかって困ってるのよ」
大胆というか天真爛漫というか、あやかはそれほどの警戒心も見せず、
二人の男を相手にすることを承知した。
こうして実現したのが、今回の浣腸ゲームである。
二、卑猥な浣腸
「エェッ、なにそれ…!」
ネリ夫が持ってきた500CCの特大浣腸器を見て、あやかは半分脱ぎかけていた
スカートをあわてて上にあげた。
「それ、どうすんの?」
「初めから強いのは可哀相だから、今日は牛乳を入れてみようと思って…」
「ちょっとォ、よ、止して…ッ」
さすがに何をされるのか察したらしい。あやかは裸になった上半身をかばうように
尻であとずさりした。
それから始まったのが、最初に書いたネリ夫との押し問答である。
「いまさら何言ってんだ。早く脱いで、お尻をこっちに向けてごらん」
「わッ、たッ助けてよゥ…ッ」
若い女の肉体が、罠にかかった獣のように横転する。のしかかって無理やり
パンティを毟り取ろうとするネリ夫との格闘は見ものだった。
ネリ夫は小男だが、あやかは背が高いぶん長い脚で男の顔を蹴り上げる。
「こんにゃろ、静かにしなっ」
足首を抱えて捩じ伏せようとするのだが、パンティが膝のあたりにひっかかって
思うようにならない。よく弾む小麦色の肌が、二度三度と跳ねた。
「な、何とかしてくださいよ。これじゃ駄目だよ」
とうとう持て余して、ネリ夫が息を荒くして足首を放した。
俯せになった股の間から、僅かに陰毛がのぞいている。圧し潰された乳房が
絨毯の下からハミ出して、うっすらと汗をかいた女の全身が艶々と光っていた。
私は面白がって見物していたのだが、それだけでも十分に楽しめる見世物である。
「ようし、それじゃこの前と同じように舐めてもらおうか」
「ヒッ…」
耳たぶを掴んで強引に顔を捩じる。容赦なく手前に引くと、あやかはヨタヨタと
這うようにベッドの側に引きずられてきた。
ズボンの前をあけて勃起したやつを鼻柱にこすりつけると、あやかは嫌おうなしに
唇をひらくことになった。
「ほらほら、もっとしっかり舐めろ!」
「ウゲッ、グホッ…」
いっぺんに食道の奥まで突き刺されて、抵抗することができない。耳たぶと髪の毛を
掴んで激しく前後に揺すると、四ッ這いになって体重を支えているのがやっとである。
「おっこれは、絶好のポジションですね」
すかさずネリ夫が後ろから尻を抱えた。
「ぐふゥ、ぐぇェェ…」
「動くな、動くとケツの穴を怪我するぞ」
「うゥゥ…」
片手に500CCの浣腸器を持って、ネリ夫が大急ぎでストレートの牛乳を注入する。
腸管のなかに冷たい牛乳が噴出してくるのを感じると、あやかは肩を震わせ、
背骨を丸くして
「ヒィィィッ…」
と全身の筋肉を収縮させた。
「やった、ぜんぶ飲みましたねっ」
急いでと言っても、細いガラスの嘴から出てくる量はおのずから限界がある。
500CCの注入が終るまでには、かなりの時間がかかった。
「新鮮な牛乳だからね、すごい栄養があるんですよ。どう、もう一本いってみる?」
ネリ夫が次の牛乳を充填している間に咽喉を解放してやると、あやかはヘタヘタと
その場に蹲って、恥も外聞もなく両手でワレメを抑えた。
「くッ苦しい、お腹が痛い…」
「待ってなさい。すぐ楽にしてあげるから」
言葉とは反対に、ネリ夫が2本目をプスリと肛門に刺した。
「ギャッ…」
反射的にハネ起きようとしたが、ガラスの先端に粘膜を突かれたのか、あやかは
恐怖の表情を浮かべて動かなくなった。
「ウゥ、ウウゥ…」
見る見るうちにポンプのゲージが低くなってゆく。およそ30秒たらずの間に、
肛門が2本目の牛乳を飲み込んでしまった。
「どう? 下腹の張り具合は…、気持ち良いでしょう」
「でッ出ちゃうッ」
「まだまだ、そんなことじゃ本当の快感は味わえませんよ」
わずかに残った牛乳をパックから飲み干しながら、ネリ夫は得意そうに言った。
「浣腸はね、できるだけ我慢していっぺんに出したほうが気持ち良いんです」
「洩れちゃうッ、トイレに行かせてェ」
「そうはいきませんよ。これからたっぷりと見学させて貰うんですから、
我慢できなかったら指をお尻の穴に突っ込んでおきな」
三、クソ溜りの女
あやかのような女の子にとって、男の前でウンコを洩らすなどということは、
死ぬよりつらい辱めなのであろう。
ネリ夫に言われたとうり、尻の穴に指を突っ込んで耐えようとするのだが、
限界が刻々と近づいてくる。出るものはともかく、あの臭いを思うと、あやかは
必死になってトイレに行かせてくれと哀願した。
「どら、それじゃそろそろトイレに連れていって上げましょうか」
「おッお願いしま…、すッ」
部屋の中を汚されても困るので、このへんの呼吸は馴れたものである。
「そのままの格好で這いずっておいで、指を抜くと出ちゃうよ」
「うぇぇ、ど、どうしよう」
右手の中指を第二関節くらいまで肛門の中に入れている。両側の指で
括約筋が開かないように押さえつけているのだった。
アナル栓などという便利なものは持っていない。指を抜けば薄茶色になった
牛乳が噴き出してしまうことは目に見えていた。
ようやくヨタヨタと身体を起して部屋の扉を開ける。
見ているほうではマンガチックで無様な格好が面白かったが、トイレまでの
10メートルほどの距離が、あやかにはゴール寸前で体力を使い果たした
マラソン選手のように辛かったようだ。
「こっちだ。早く入んな」
引き込まれたのは、トイレのすぐ横にある浴室である。
「トッ、トイレ…」
「だからここが便所だ、思い切り出して良いよ」
空っぽの、乾いたプラスチックの浴槽がひとつ、つんのめるように背中を押されて、
あやかは絶望的な呻き声を上げた。
「うわわ…、許してぇぇ」
「心配すんな。そんなに恥ずかしければ見えないように蓋を閉めといてやる」
何しろ片手を股の間に挟んでいるので、おぼつかない足取りで無理やり
浴槽の縁を跨ぐと、あやかはバランスを失ってゴツンと頭をプラスチックの壁に
ぶつけた。その拍子に、それまで抑えていた指栓がスポッと抜けた。
「ワッ、駄目ェ…ッ」
バシャッと浴槽の中で洩れた牛乳の音がするのと、ネリ夫が蓋を閉めたのが
ほとんど同時だった。
「出してッ、ワァッ、出してよゥッ」 中から籠ったような途切れ途切れの叫び声と、
ゴトゴトと空の浴槽を叩く音が聞えた。だがそれも少しの間で、やがてしいんとして
物音もしなくなった。
「もう少し、このままにしておきましょう。別に窒息するわけじゃないから…」
蓋の上に腰を下ろして、ネリ夫はさも満足そうに言った。
蓋を開けてみたのは、それからおよそ30分くらい経ってからである。
とたんに、ムッとするほどの噎えた臭気が狭い浴室いっぱいに広がる。
「うわぁ、見事に出来上がっていますよ」
なかを覗いて、ネリ夫がびっくりしたような歓声を上げた。
あやかは膝を曲げ、大きく股を広げたまま仰向きになっていた。
失神しているわけではないが、目の玉が白くなって、全身に泥のような糞が
貼りついている。プラスチックの浴槽の内部は何ひとつ手掛かりがないので、
もがけばもがくだけ、自分の排泄物でヌルヌルと滑って、汚れが広がってしまうのである。
一度付着した糞は、こすっても払ってもどうにもならない。結局のところ、
両脚で身体を支えて動かないようにしている以外、為すすべもないのだった。
涙を拭いた跡なのか、あやかの頬っぺたから鼻の頭にかけて、べったりと
茶色の汚点が残っている。
ネリ夫が腕を入れると、1000CCの牛乳と一緒に小便を洩らしてしまったらしく、
髪の毛までグチョグチョになっていた。
「ひでぇ、おまんこの中まで糞まみれだ」
そのときのネリ夫の嬉しそうな顔といったらなかった。
「シャワーで洗ってやれよ。そのまま流すっきゃないだろ」
「へい、有り難いお役ですねぇ」
手早く着ているものを脱いで、ネリ夫が浴槽の中に入った。
クソ溜りの女を抱き寄せると、身体に擦りつけながら頭からお湯をかける。
シャワーを全開にしてクリトリスに当てると、無抵抗になったあやかの全身が
ピクピクと震えた。
その後、この女の生活がどうなったかは知るよしもないが、しばらくの間
ネリ夫が気に入って面倒を見ていたことは確かである。