ご主人さまを知ったのは、何気なく聞いていたテレクラの伝言でした。
出会いやパートナーを探す吹き込みの中で、M女を求めるという内容とは
かけ離れた明るい声に違和感を感じました。
SMに興味があったらという伝言に、経験はないけれど興味ならあると返事を
録音してしまいました。
それまでは、返事をした事はあってもSMは危険なイメージがあって、避けていた
というのに、自分でも分からない行動でした。
その頃は、Mっぽいと思っているだけで、ノーマルなSEXでも構わない、
相手が満足すれば私も満足で、自分の欲望には自分でけりをつけると、
考えていました。
伝言を何度かやり取りしてから、会う事になりました。実はとても怖くて 用心しました。
SMの嗜好を持っている人なら、いきなり殺される事だってあるかもしれないと。
それで、初めての待ち合わせは、人目があるようにある駅前の駐車場にしました。
そこで、教えられた車に近づいてみるとシートを倒して寝ているようだったので、
窓をノックしました。私の顔を見てもきょとんとしているので、人間違いかと慌てた頃に、
相手が合点のいった様子で、車に入れてくれました。
「予想より印象が良かったので待ち合わせの相手だと思わなかった」
と言われて、勢いで 「気に入っていただけましたか?」 と聞いてしまいました。
「気に入った」 との返事をもらって、ほっとしました。
車の中ではSMの関係で付き合えるかの話し合いをしました。
相手に問われるまま、経験がないので、出来る事や出来ない事は分からないが、
人に白い目で見られたり、汚い事は出来ないと言いました。
その時、 「恥ずかしい思いはさせても恥はかかさない。」 と言われた事が印象的でした。
そこで、私は安心してしまったのです。大丈夫だ、この人なら付き合えそうだ、と。
そう思ったら、運転席に座る相手の肩に頭を預けていました。
すると、キスをされて、感じてしまいました。元々感じやすい身体なので、
おかしくはなかったのですが、相手の手が胸や背中を撫でていくだけで、
ぴくんぴくんするほどでした。相手は、私の腕を取り手を持つと、手の甲に
噛みつきました。軽く歯が当たった程度なのですが、異様に感じてしまって、
助手席で跳ねてしまいました。
その様子を見ていた相手がさらっと
「やっぱりMなんだ。」
と言いました。何を言われたのか瞬間に理解できませんでした。
(Mって何?)
(やっぱりってなに?) (私の事?)
パニックしている私は与えられる愛撫に耐えきれず
「どうにかして下さい」
とはしたないお願いをしてしまったのです。
「どうにかって何 ? 何をどうして欲しいのか言わないと、どうにも出来ない。」
「何をってどう言ったら、いいのか分かりません。」
「じゃぁ、教えてあげるから繰り返しな。」
と、今まで雑誌などで見たことはあっても口にしたことがない言葉を教えられました。
身体の中で、どうにかして欲しい淫乱な気持ちが荒れ狂っていて、ためらいと
恥じらいとを感じながらも、ついに言われるままの言葉でお願いしてしまいました。
「じゃ、ブラウスとブラ取って」
「は?」
恥ずかしさでうつむいていた私は、言われた事が信じられずに思わず顔を上げて
相手を見ました。でも聞き間違いではなかったようです。あたりを見回すと、
駅に向かう人などが通ります。
少なくない人の流れですが、時々流れが切れる時があります。その時を見計らって、
ブラウスとブラを取って、素肌にジャケットを羽織りました。
それから近くのホテルに車を動かしました。
途中のコンビニで 食べ物を買うというので、停まりました。
「荷物持ってくれるよね?」
「えっ!?」
私は思いっきり怯えた瞳で相手を見ました。
「そばについているからさ」
相手の目は、まるで遠足に持って行くお菓子でも買うような楽しそうな目でした。
その目からから、目を離せず、魔法にかかったように肯いてしまいました。
確かに相手は私を抱くようにしてコンビニで買い物を済ませました。
私は誰かにバレないかと心配で、どうやって歩いていたのかも分からないくらいでした。
それからホテルに入り、通常の行為、とお尻を叩かれました。
立って抱かれながら、お尻を叩かれて、身もだえするのを抱きしめられているのは、
初めての快感でした。
2回目に会った時は、車で話す予定でしたが結局ホテルに行ってしまいました。
そのホテルの窓の前は大きな道路でした。車が、ひっきりなしに通ります。
その窓を暑いからと全開にして、その窓の縁に、私に手をつかせて前かがみに
なったところで、後ろから入れてもらいました。
動かされると、つい声が出てしまいます。
「車には聞こえないかもしれないけど、その辺を歩いている人には聞こえちゃうよ」
と言われて、唇を噛んで声を殺しました。
それなのに相手は後ろから回した手で思いっきり乳首を摘み上げたのです。
その痛みに 「あぁっ!」 元々声の大きな私は車にでも聞こえそうな叫び声を
あげてしまいました。私に何度か悲鳴をあげさせると、無造作に身体を抜いた相手に
ベッドに連れて行かれました。
ベッドで愛撫に身を任せていると、お尻にも指やローターを使われました。
今まで、触られた事もなかった部分なのに、違和感なく愛撫を受け入れていくのが、
自分でも不思議でした。
「大丈夫だから」
私の上に乗ってきた相手が言った事が理解できずにいましたが、お尻に当てられると、
何をされるのか、分かりました。たいそう痛くて最初は裂けるものだと思っていた私は、
怖さから慌てて逃げようともがきました。
でも
「力を抜いて。口で大きく息をして。」
と言われて、言われるままに大きく息をし始めました。
潤滑にワセリンを塗っていたおかげで、にゅるっと入ってしまいました。
痛いというよりも、身体の中に自分ではない細胞が押し込まれた感じでした。
それなのに、その感じに快感を感じてしまい、相手にしがみついてしまいました。
相手に自分からしがみついたのは初めてでした。
帰り際、身支度で鏡に向かう私に、使い捨てカメラを向けながら相手は言いました。
「そろそろご主人さまって呼んでもらおうかな?」
私は、手を止めて振り返って、さっきの感覚は、ただの相手とのSEXでなかったのだと
理解したのでした。
「はい、ご主人さま」
私は、歓びに目を潤ませながら肯きました。
Copyright(C)2000.PLATINAMOON