魅くものと魅かれるものと、奇しき縁に結ばれた男と女

5月×日 【調教第11日目】
今日は約1ヵ月ぶりの調教の日。前の日に届いたメールで「黒いブラジャー、
黒いガーターに黒い編タイツ、そしてノーパンで来るように」と命令されていた。
私にとっては初めてノーパンで街を歩くことになる。御主人様と逢う直前に
脱いで、黙っていればわからないようなものだけれど、もちろんそんなズルは
しない。ちゃんと家を出るときからノーパンだった。 今日の服装は黒いレースの
スーツ。最近は御主人様に気に入ってもらえそうな服を見つけると嬉しくなる。
これも気に入って下さるだろう。
今日は約束の時間ぎりぎりに待ち合わせ場所に着いた。御主人様は私の
顔を見るなり、小声で囁かれた。
「ちゃんとノーパンで来た?」
黙ってうなずく。
「じゃあ、今日は少し歩かせようね。階段のあるところへ行かなきゃね」
並んで歩きながら、御主人様は楽しそうにおっしゃってる。
「気になる?」
やはり裾が気になってしまう私を見て、その度に楽しそうに聞かれる。
でも階段のところへくると、ちゃんと気遣って後ろにまわって下さった。
しばらく歩いてから食事。
そのあと、靴を買って下さった。超ウレシイ!
大事にしよう。
そしてホテルへ。エレベーターに乗るなり、チェックの手が。
「こんなに濡らして……」
御主人様と二人だけなのに、とても恥ずかしかった。
最初はブラとガーター姿で革の拘束具と首輪と革の猿轡をし、
立たされたままで鞭をいただいた。乳房やアソコへの狙い打ちは、
いまだにきつい。自然と身を捩ってしまう。 そのあと御主人様は
私をテーブルの上に仰向けに寝かすと、両手足をテーブルの足に
縛りつけた。そんな身動きできない状態でクリちゃんを重点的に
責めていただく。乳首も噛まれた。
そのあと、御主人様はクリちゃんに洗濯バサミをつけた。
「今日は初めてだから、我慢できなくなったら「お許し下さい」って
言ってもいいよ。我慢できる間は、もっとお願いしますって言うんだよ」
そうおっしゃって御主人様は洗濯ばさみについている紐を引っ張られた。
「もっとお願いします」
私は言った。その言葉に御主人様はさらに紐を引っ張られた。
「もっと……、お願いします」
喘ぎながらも私は言う。御主人様はもっと紐を引っ張る。それが
何度か繰り返された。
「お、お許し下さいっ!」
何度目かのとき、とうとう我慢できなくなって叫んでしまった。
「よしよし」
御主人様はすぐに引っ張るのを止めて下さった。そして、洗濯ばさみを
外すと、痛みの残るクリちゃんに優しくキスをして下さった。
そのままの格好で御奉仕。
「少し休憩しよう」
拘束を解くと、御主人様はベッドまで運んで下さった。口移しで
ビールを飲ませていただく。ベッドの上でin。途中で上になったり
後ろを向いたりした。再び御奉仕。今度は足の指から……
そのあと、この前のときに撮った写真を見せていただいた。こんな
格好していたかなっていうのもあった。首輪で吊られているときので、
とてもいい表情しているのがあった。私はそれが一番気に入った。
そして剃毛をしていただいた。嬉しかった。だんだん気持ちよくなってきて、
御主人様の指と剃刀の動きにあわせて、「あぁ」とか「うぅん」とか声を
あげていた。御主人様は時間をかけて、ゆっくりと丁寧に剃って下さった。
そのあと両足を高く掲げて縛っていただいて、蝋燭をいただく。
太腿の後ろ側とか、お尻とか、今まで垂らしていただいたことのない
ところにまで垂らしていただいた。今日の蝋燭は細い。でも、そんなに
熱くは感じなかった。蝋の滴が小さく感じたから、それでかもしれない。
そして再びクリちゃん責め。御主人様の指はもちろん、舌やバイブも
登場して、たっぷり時間をかけて愛して下さった。こういうときは、いつも
最後までイカせては下さらない。焦らされて悶える私の反応を楽しんで
おられるのだろう。今日もいっぱい感じて、でもイカせては下さらなくて、
ホントに拷問って感じだった。
最後、いつ責めを終えられたのか、そのへんの記憶はない。口移しで
ビールを飲ませてもらったのは知っている。でも、ふと気がつくと、
御主人様が私の体の蝋を取って下さっていた、そんな感じ。
「イビキをかいてたよ」
私が気づいたと知ると、笑いながら御主人様はおっしゃった。
「うっそぉーー!」
眠っていたんじゃないもん、そう思いながら、もしかしたら……とも思う。
しばらくのあいだ頭がボーっとしていた。
さあ、お風呂タイム。いつものように湯船で抱っこしてもらいながら、
いろんなお話をした。いつもこの瞬間は幼な子のように思いっきり甘えてしまう。
帰りはお許しをもらって、パンティをはいた。やっぱり落ちつく。
5月○日 【調教第12日目】
今日は御主人様からのリクエストにお応えして、透け透けの黒いブラウスと
黒のタイトスカート、黒の編みタイツに黒い靴という格好で、約束の場所へ
向かった。電車を待つあいだ、向かい側のホームにいる人達の視線が
気になった。みんな、私を見ているような気がした。 もちろん御主人様は
今日の服装をとても気に入って下さって、イメージ通りだと何度もおっしゃった。
御主人様に喜んでいただけるのが何よりも一番嬉しい。
新しい革の拘束具をしていただいた。いつも何かと変わった道具を
用意して下さるので嬉しい。ベルトで体を縦横に締めるようになっていて、
乳房のところに金属の輪がくるようになっていた。乗馬鞭をくわえ、革の手錠で
後ろ手に拘束。そんな姿で御主人様がお風呂へ入られるあいだ、洗面台の
鏡の前に晒された。
部屋へ戻ると、まず御主人様の足の指への御奉仕。そのあと、お尻に
軽く鞭をいただいた。そして仰向けになると、今度は乗馬鞭で乳首や
アソコを力一杯打たれる。その激痛に耐えきれず、体をひねってしまう。
それでも何度か打たれた。ベッドの端にうつ伏せになったり仰向けに
なったりしての鞭責めが続く。途中から特製の鞭も登場して、両方入り乱れた。
ジーンを痺れるような快感が体の中にまで染み込んでくると次第に何が
なんだか判らなくなってくる。確かに痛いのは痛い。でも私はいつも
その痛みの向こう側に御主人様の愛情を感じる。そして、私の声や
表情などの反応を見て、御主人様が悦んで下さっているのが判る。
御主人様も私も誰でもいいというわけじゃない。お互いがお互いを
必要としているのだ。心からそう思う。
ソファに座って蝋燭をくわえる。蝋がなかなか落ちてこなかった。やっと
落ちたと思ったら、予想通りピリッと熱い。その熱さに体がビクッと動いて、
それでまた蝋が落ちる。顔を少しずつ動かして、蝋の落ちる場所を変えてみる。
「上手、上手」
御主人様が誉めて下さった。御褒美に、そのままin。そのうえ、
乳首には洗濯バサミが……
「もっとお願いします。もっとお願いします。」
何度か言って、洗濯バサミを引っ張っていただいた。御主人様に
満足していただくのが私の勤め。御主人様は2本目の蝋燭に火を
つけて私の体の上にかざして下さって、たっぷり垂らしていただいた。
最後、蝋燭を取ってもらってから一緒にお風呂へ。そこで鞭の跡を発見!
左足の付け根のあたりがアザになってた。何となく嬉しい。
ホテルを出てから、食事に入った店で、何となく他のお客さんの視線が
気になった。今日の私はブラジャー丸見えだもの。
「みんな、葵のいやらしい格好を見てるよ」
などと御主人様に言われると、顔が上げられないほど恥ずかしい。
でも、少しだけ誇らしいような気持ちにもなってきた。御主人様の愛奴で
あるという誇り?
家に帰ってからシャワーを浴びたあと、鏡で体のチェック。左足の
付け根のあたりのアザは大きめで3×5cmほどになっていた。おへその
約10cm下にも1cmほどの小さなアザ、その5cmほど横にもちっちゃな
アザができていた。あと、ほんのりピンク色に残っているのは蝋燭の跡?
それから、シャワーのお湯があたると右の乳首が痛かった。
お土産をもらって帰ったようで嬉しかった。
6月◎日 【調教第13日目】
待ち合わせ場所へ行ったときには、もう既に御主人様は待っていて
下さった。地下街を歩きながら、インターネットの話になる。画像の話もでた。
御主人様はデジカメを買う計画を立てておられるようだ。二人でホームページを
作ろうかともおっしゃった。
ホテルの部屋に落ち着くと、いつものように服を脱がせていただき、
下着だけになって立ったまま、後ろから乳首を愛撫された。気持ち良くて
体がガクガクした。後ろ手に縛られたあと、何本ものロープが縦横に
かかっていく。額も縛られてその縄尻を引っ張り気味に背中のロープに
つながれ、頭が動かせない状態になった。ロープが口や目にも巻きつけ
られた。とてもきつい緊縛。足も縛られた。軽く開いたままで、左右それぞれ
足の付け根から太股、ふくらはぎから足首とくるくる巻いて締めあげられる。
全身ロープで飾られた人形みたい。身動きできずに悶えていた。
ベッドまで移動して俯けに寝転ぶと、両足を揃えて縛られ手首の辺りに
繋がれた。そのまま持ち上げられてベッドの頭側まで荷物のように
運ばれた。ベッド上10センチほど体が浮く。その時の反応で思いつかれた
のだろうか、
「そろそろ、吊りも経験させんとあかんな」
そうおっしゃって、改めてもう少し高く持ち上げられた。20〜30センチは
浮いただろうか。怖くはなかった。自分の体重にロープがくいこむ痛みを
感じた。何とも言えない痛さだった。すぐに体が震えてきた。体の中から
突き上げてくるような震えだった。降ろされてからしばらくも震えは
止まらなかった。
そのまま引っ繰り返されて、鞭を受けた。乳首もアソコも、いっぱい
叩いて下さった。そのたびに痛くて身を捩って逃れてしまった。次に
振りおろされるのが少し怖かった。でも待っている気持ちもあった。
やがて手が痺れてきた。
これだけきつく縛られたあとだと、ロープを解いてもらうときも快感だった。
冷凍食品が解凍されるときってこんな感じなのかなって思った。凍りついた
体が徐々に溶けてくるような、そんな感じ。きつい緊縛に固まった体が
徐々に緩んでいく。それが快感!
その後、休憩&ご奉仕&in。今日のご奉仕は御主人様の匂いの
するままのにご奉仕されていただいた。
「葵のために汚れたままにしておいたんだよ。御主人様の汚れたものを
きれいにするのが愛奴の勤めだからね」
御主人様はそうおっしゃった。乳首もおしゃぶりさせていただいた。
そのあとピアスと刺青の本を見せていただいた。いろいろなピアスを
している人がたくさん載っていた、男の人も女の人も……
中には何個もしている人がいる。実際にこうして見るのは、やはり刺激的。
刺青もそう。いろいろな場所にいろいろな刺青。中にはユニークなものも
あったが、やはり日本的な刺青という感じのものが素敵だと思った。
俯せになって刺青の体験手記を読みながら、inしていただいた。
「今、どこを読んでいる?」
ときどきそう聞かれて、読んでいる箇所を指さす。御主人様の動きに
あわせてこみあげてくる快感に、文字を追い掛ける速度が落ちてしまう。
何度も本から目を離してしまい、そのたびにちゃんと読むようにと
注意された。
「葵はどこに刺青をして欲しい?」
「全身に……」
「スゴイね」
そう誉めて下さった。
再び緊縛。その前に褌をしていただいた。恥ずかしい。今度は座ったままで
亀甲縛り。両足を胡坐を組むような格好で縛られ、首と足首を繋がれた。
そのうえで乳首にクリップをつけて下さった。強烈に痛かった。我慢できない
ほど痛かった。そのあと洗濯バサミもつけて下さったが、今日はとても痛く
感じた。どうしてだろう。洗濯バサミでさえ、いつもと感じる痛さが違っていた。
鞭での責めをたくさん受けたあとだからだろうか。私がいつもより痛がったので、
すぐに乳首から外して下さった。
どのまま御主人様は私の足の拘束だけを解くと仰向け転がし、両足を
高く掲げた格好で足首を縛り直し、そのロープを首にまわして結ばれた。
そして宙に浮いている片方の足の指に蝋燭を挟んでロープでグルグル巻きに
された。蝋燭に火が付く。いつもと違ったポーズで蝋燭をいただく。いつもと
違うところにも蝋が落ちた。今日のは白い蝋燭。やがて、そのうえから
御主人様にinしていただいた。御主人様の動きにあわせて蝋が落ちる。
蝋燭を縛られた足の指までもが感じていた。
拘束を解いてもらってから、しばらくベッドに並んで寝転んでいた。
心地よい睡魔が襲ってきて、いつのまにか眠ってしまった。
「気持ちよさそうに寝てたね」
目が覚めた私に御主人様がおっしゃった。
蝋燭をとってもらって、お風呂へ。 ホテルを出てから、その近くの店で食事。
いろいろな話をした。インターネットの話もした。御主人様は画像に興味を
持っておられる。御主人様がデジカメを買われたらたら画像もできる。
私がインターネットで調教日記を公開することについて、御主人様が
喜んで下さったのでホッとした。そんなに一人歩きするなって言われたら
どうしようかと思っていたから……
御主人様の中には、マネージャーやプロデューサーのような感覚が
あるそうだ。愛奴葵のプロデューサーとして、常に私の背後に控えている、
そんな感覚らしい。私がSM雑誌への投稿やインターネットなどで名前を
知られるようになっても、そんな私の御主人様として必ず私の後ろに居る。
そうおっしゃっていた。
また、私には同じ嗜好をもつカップルとの交流の取りまとめ役や、
その嗜好ゆえに悩んでいる人達の相談役のような立場に立てる素質も
あるとおっしゃった。私自身では思ってもみなかったことだけど、いつかは
そういう存在になれればいいと思う。
そして、二人だけの関係だけにこだわらずに、いろいろな人達との交流が
あれば、煮詰まらなくていいともおっしゃった。二人だけの閉鎖的な、
自分たちを追い込んでいくような関係にはなりたくないから、と。
その通りだと思う。頑張って御主人様の期待に添えるようになりたい。
「もう半年たつのね」
「うん、明日でね」
あっという間の半年だったような気がする。
「生後6ヶ月ね」
私がそう言って笑うと、
「そのわりには、足腰がずいぶんしっかりしている」
と、御主人様は笑いながらおっしゃった。
あっという間の半年だったような気がする。御主人様の愛奴として
生まれ変われて、今、こうして育てていただける喜び、幸せ。今まで何度も
噛みしめてきたそれを、また新たな気持ちで噛みしめていた。
今日は大切な日になった。これからの二人のことについての御主人様の
考えも教えていただけた。熱っぽく語る御主人様をとても頼もしく感じた。
何より私のことを大切に考えていて下さる御主人様の気持ちが伝わってきて、
とても嬉しかった。
御主人様と一緒に居ると、本当に楽だ。何も考えずに、ただ御主人様の
後をついて行くだけでいいのだから。思えば、ずうっと昔から、そういう人の
存在を求めていたような気がする。身も心も、自分のすべてを託せる、
そういう人の存在を……
本当に御主人様と出逢えて良かった。本当に私は幸せものだ。