大好きなご主人さま
プレリュード
行きの新幹線の中では ずっと緊張していた。
周りはサラリーマンばかりだったが、その誰もが私が何のために
ここにいるのか知っているような感じがしたりして その度に膝が
きゅっとしまった。ご主人さまにお会いしたら初めどうすればいいのだろう、
想像すると跪きそうになるけれども、そんな突飛なことを公衆の面前で
やって喜んでいただけるわけがない。
許可なく自分から話してもいいのだろうか ここまで来たんだどうにでも
なれだ。
それにきっとご主人さまがリードしてくださるからお任せして
私はあまり考えた行動はしない方がいい。
会った時の最初の命令は決めてあると仰っていた、いきなりトイレで
下着を取って来なさいとか言われたらどうしようか、もちろん私は従うに
決まっているけれど、そう考えたらもう濡れて来てるのがわかった。
とりあえず、ご主人さまがお着きになるまでの時間を、大阪駅で
義理の妹夫婦と会うからと言うことにして、パソ通仲間の啓ちゃんと
その彼女につきあってもらうことにした。会うのが2回目とは思えないほど
うち解け会えるのがパソ通仲間の強みだなって実感する。
高層ビルの上にある展望レストランで白ワイン飲みながら バイキングの
ランチを摂った。荷物を持ったり椅子を引いたり とても気を使ってくれる。
たぶんこれまで知り合った女性にはいつもこうしてきたんだろうなと思った。
だから特に感謝する気持ちにはならない。女はいつも特別に扱って
もらわなければ感動できない動物なんだと思う。
ワインでいい気分になったからか話題もついついHになっていく。
そういう話にはPATIOでお互い遠慮がなくなっているせいもある。
いつの間にか啓ちゃんも視線を逸らさずに話すようになっていた。
あんまりそういう話して期待させても申し訳ないから 時々啓ちゃんの彼女に
話題を振って牽制する。
会えた記念にプレゼントしたいと言うから冗談のつもりで赤いガーター
欲しいなって言うと「よしわかった」なんて言うから、恥ずかしがりの啓ちゃんに
買えるわけないやんと言うと「そういうこと言うか、下着位買えるで」と
反論してきたけど 私は信じてなかった。
3月OFFの時はピアスくれるって言ったけどくれなかった。車で街を流しながら
観光案内もなかなかうまい。ラブホ街の話もでたんでSMホテルもあるのか
聞いてみた。だって ひょっとしたらご主人さまと行けるかもしれない。
「あるけど覚えてない、そんじゃ美恵ちゃんのリクエストでラブホ街見に行こか」
と車走らせるから、
「リクエストなんかしてないよ、行っても入らないからね」
「ちょっとワインの酔い醒ますのに風呂に入るだけや なんもせん」
「なんもせんなんて嘘ばっか、お酒飲んでるし絶対してしまうに決まってるやん、
啓ちゃんがせん言うても私がしたくなるからダメ。私 ご主人さまにH禁止
されてるし…」
なんて全然色っぽくない妙竹林なやりとりがあってラブホ街を流して
通り抜けた。
大阪駅近くの駐車場に止めて歩いて大阪駅へ向かった。啓ちゃんが肩とか
腰に手を回してくるんだけど 私は親戚に見つかるとヤバイからとか
イイながら、本当はご主人さまに見つかったらとんでもないことだと
そればかり考えていた。
商店街の中程で「ここで買ってやろ」看板には”世界の下着”
「嘘ぉ〜 えー! 本当??」
とか言いながら店内は見てみたいし買って貰えたらラッキーかな? なんて
思って入った。そこはなんと言うか私が知らない形の下着やコスプレ衣装も
あって 結構おもしろかった。下着はどれも結構な値段が付いていたけど
なんか安物に見えてしまった。
啓ちゃんはド派手なピンクや豹柄のTバックなんか勧めてくれた。
結局なるべくシンプルな赤のガーターとひもパンも履いたことが無かったので
それにした。あーあ、ご主人さまに会う前にこんな男にこんなもの買ってもらって
悪い子だなぁ〜と一応思った。
駅が見えた、ますますご主人さまとどこで出くわすかわからない。
啓ちゃんに もうここでいいからと言っても わかりやすいとこまで連れていくと
言われて 親戚に見られると大変だからと誤魔化していたら ご主人様から
電話がきた。
ああん、もう啓ちゃんのバカ〜 早くお会いしたいですって伝えたいのに
言えないじゃないか。とか思ってしまう。
利用するだけして勝手な女だなぁ私って・・でもそんな様子は隠したまま
今からここに来てくれるから 今日は本当にどうもありがとう。博多に来たら
案内するからねと言って別れた。
ときめき
啓ちゃんが見えなくなると 私の頭の中は完全にご主人さまのことだけ
になった。あれだけ親切にしてくれたのに啓ちゃんの事はすっかり
ぬぐい去られている。それどころかこんなぎりぎりの時間まで一緒だった
事が恨めしくさえある。心の準備ができないままにお会いするんだもん。
せっかく買った本も読んでいないし、化粧直しもしてないし 風が強くて
髪もきっとぐちゃぐちゃだろうし、こんな女を気に入っていただけるはずないよ。
でもご主人さまはテレクラなんかで 予想と違うとか言うのはきっと経験して
いるだろうから、それほど重要視してらっしゃらないかもしれない。
どんな顔して立っていようか 待ち合わせらしい他の女性が皆 私よりも
すてきに見えてしまう。
ご主人さまに みつかる前に帰ってしまおうかな。会うことがとてつもなく
恐ろしくて大胆に思える。
ご主人さまから 何度かPHSが入る。この辺を通ったのに気づかなかった
らしい・・・それはきっと私をもっといい女と勘違いしていらっしゃるからに
違いないと思った。
私は阪急百貨店の前にいますって言ったから、ほんとにその出入り口の
真ん前にいたんだ。他の待ち合わせらしい人は正面はさけて側の壁際
なんかに寄り添っているけれど、私は入り口の前にいるって言ったから
言葉通りにそこにいないと見つけて貰えない気がしていたんだ。
万一他の女の子に声掛けられたら私はもう、立ち直れない気がしたから。
突然 背後から声を掛けて頂いた。
「なんてとこに立ってんだよ、人の迷惑だろ」
ご主人さまだ。あぁ、どうしよう…!
まともにお顔がみれない。実物がこんな女というのが見られてしまって
逃げ出したいほど恥ずかしい。
この方に私は 数々の恥ずかしいメールを書き告白し電話口でいやらしい
声までお聞かせしたのだ。恥ずかしくて座り込みたい。どうしていいのか
完全にパニクった。
ほんとはもっと奴隷らしくきちんとお迎えしたかったのに、なんだか変に
なっちゃったよぉ、
ご主人さまは 美恵子の事どう思われたのかな・・・
あまり話さずに歩いてゆかれるのが 幸いでもあるし怖くもある。
やっぱり、がっかりなさってるのじゃないかしら。
聞きたいけど聞けない。途中のホテルのラウンジにちょっと寄って
お茶を飲む。いつもコーヒーしか頼まない私が何故かミルクティーなんて…
ここ数年、外では飲んだこと無いもの注文したりしている。
ああ、やっぱり私はオカシイ。
ご主人さまの手はとてもきれいだな。白くて細くてとてもSMするような
感じがしない、だけどきれいなものの方が残酷で冷たい気がする。
そこまで考えたらまたオマンコが熱くなった。
恥ずかしい。こんな明るい場所でそんな事考えてるなんて。
ちゃんとご挨拶したいな。でもどういえば良いのだろう。
ご主人さまは あまり私を見ようとしない。
やっぱり気に入って頂けなかったのだろうか。
それとも啓ちゃんみたいに そういう癖があるんだろうか?
そう思って見ているとふいに視線が合って見つめられてしまった。
恥ずかしいけれど逸らせなかった。とてもきれいな目をしておいでだった。
私のことどう思って見ておいでなんだろう。瞳にはイヤな色は写って
いなかった。少し安心した。外へでた。安心したせいかご主人様と
腕を組んで歩きたいなと思った。
でもそれはあまりに図々しいお願いだと思って口にできなかった。
予約したホテルがなかなか見つから無い、そんな様子のご主人さまを
見てるうちに 神様みたいだったご主人様がとても人間ぽくなったのに
気づいてとっても嬉しくなった。
会って初めて、怖いよりも好きだって気持ちが大きくなった。
ホテルの部屋の前、すごく緊張した。
ここまで来てしまった。
ご主人様と奴隷として初めての夜を過ごす部屋なんだ。
またパニクらないように注意したけれど やはり考える余裕が無い。
どうすればいいんだろう。頭の中は真っ白。
部屋はWとしては ごく普通の部屋だった。
けれども 漠然と“特別”を意識してたので そのあまりの普通さに
感覚も少し普通になった。
「私はさっき初めて会った男と部屋にいるんだ」
と脳味噌が言った。ソファーにご主人様が座られて隣に私も座った。
馬鹿な美恵子。ここでちゃんと跪かなければいけないのに
ずっとずっとそうしたかったはずなのに。まだ頭が回らない。
ご主人様に促されて 前に跪いた。
嬉しかった。そうするように命じてくださったことも嬉しかった。
そしてテスト受ける子供のように緊張した。今こそ面接されて
品定めされているような気持ちだった。
ご主人さまが満足するような態度や言葉が言えたらいいのに・・・・・。
「どうしたの?初めて会った人にはなんと言うの?」
「はじめまして。」
「そう、ほらそれから?美恵子は何を言いたかったんだっけ?」
「あの、奴隷として宜しくお願いしますって・・言いたかったんです。」
「誰の?」
「宏信さまの・・。」
「ちゃんと言ってごらん」
「はじめまして・・美恵子です・・宏信さまの奴隷として・・宜しくお願いします。」
自分の不勉強を呪った。
けれどたぶん勉強して練習してもやっぱりこの場に来たら頭の中が
真っ白になって誘導して頂かないと私はできないのだろう。
ほんとに奴隷としては落ちこぼれだな。そのまま足下から見上げていたら
「キスしてごらん」
と言われた。
え? 突然そんなお許し頂いていいのだろうかと思った。
初めてふれるのが手でも足でもなくて唇なんて。
後から伺うと美恵子は今にも逃げ出しそうに怯えていたらしい、
だからあまり見ないようにして部屋まで連れて来たんだって、
きっと初めにキスさせるなんてのは予定外だったのかもしれない。
「ご挨拶を言うあいだ震えていたね」
と あとでおっしゃったから、怯えてる私を落ち着かせる為に
そうしてくれたんだと思う。
「僕がしてあげるんじゃないよ、美恵子がするんだよ。膝に乗っていいから」
膝の上に横抱きにして頂く格好で首に腕をからませる。
お顔にそっと近づいていく。
いいの? いいの? ほんとに触れてもいいの?
ためらいがちにそっと口づける、それから上唇だけ軽く吸って今度は
下唇だけ・・そうして顔をもう少し傾けてから舌を割入れて行く。
もう此処までで私は半分イきそうな気分だった。
舌を絡ませて歯列をなぞる。突然GFのキスがすごく良かったと
話されていたの思い出して悔しくなった。
最初のご奉仕がキスなら、キスだけで勃起してもらいたい。
でも結局いつの間にかリードされてキスされてしまった。
ご主人様のキスは優しくてちょっと技巧的だった。
体がどんどん欲しがってくるのを感じながら このやり方が
GFに教わった方法なのかなとか思った。
唇が離れると手は自然とご主人様のシャツのボタンに掛かった。
私のオマンコが早く欲しい早く欲しいと泣き叫んでいるようだった。
お許しも得ないでイケナイと頭のどこかが囁いたけれど触れたい気持ちが
先立ってしまって 案の定ご主人様に咎められてしまった。
「何やってんだよ。美恵子が脱いで見せるんだろ?」
「え・・あ・・はい」
半分放心状態でご主人様の膝から降りるとスカートのベルトをゆるめた、
ご主人様の腕がすっと伸びてベルトの端をつかむとシュル音をさせて
抜き取った。ビクンとした。
「淫神に捧げる歌」では、ヒロインはいきなりベルトで打ちのめされたのだ。
期待と恐怖が一瞬かすめる。ご主人様はそんな私には頓着せずに
二つ折りにしたベルトで 軽くはじいて私をせかした。
ソファーに座った男性の前で裸になって一回りして身体を見せるなんて
小説や漫画で想像した以上に恥ずかしいことだった。
それに美恵子は若くも綺麗でもないしおまけにやせっぽちで
おなかには大きな傷跡があるし 思わずぐずぐず言い訳してると
「そんなの関係ないんだよ!」
ポンと吐き出すように言われて 覚悟決めて全部脱いだ。
そーだ奴隷はぐずぐず言っちゃいけないんだ。
それに、ご主人様の目の前で自分から全裸になることは、たぶん私が
したかったことなんだ。ほんとに恥ずかしいのだけど、どこかがそれを
喜んでいるから。