一週間ください・・・(起)
by ・ LEON
某SM雑誌の読者欄に投稿し、パートナーを募集していた今から10数年前、
半ば、好奇心で送っていたのではあったが、独身でもあったので電話番号まで書いて投稿していた頃。
現在のように、パソコンもなければ、インターネットももちろんない時代、きっと出会いなどは、
編集者がかってに想像にまかせて作ったやらせに違いない・・・。
しかし、編集部の好意からか、何の縁であろうか。
まさか、自分の手紙が雑誌に載るなんて、そして、それに対して反応があるなんて、思いもしなかったあの若き日の頃。
世の中にこんなに自分がマゾの性で悩んでいる女性が本当にいるなんて。
驚きの連続の現実。
「SM雑誌で書かれている調教物語など所詮、夢物語りで書いているに決まっている」などと自分なりに納得させていた
まだ、30歳になろうとしていたあの頃。
しかし、本当に電話がかかり、「雑誌を見ました・・・」と言われたときの自分の胸の高鳴りはいまだに走馬灯のように
自分の脳裏を駆け巡るのである。
しかし、その多くは冷やかしや、最後まで話す勇気がないのか途中で電話を切られてしまう、日々の連続。
「ガチャン・・・」
突き詰めた質問をしようとすると、決まって向こうから電話が切れてしまう。
「駄目だ、こんな聞き方では相手は敬遠してしまう、聞き方を変えなければ」
「折角、自分宛に電話が掛かっても、最後まで話せず・・・」
「何のために、ここまで来ているんだ」
自分なりに、頭と感情を整理する日々。
自分で自分の不甲斐なさを責める日々。
もの心ついた頃からサディストに憧れて、マゾ女性を縛るという憧れをもってから数十年。
ようやく目の前に、チャンスが来たのに無駄にしている自分。
「なんとしてでも、一回は知り合わないと・・・」
「編集部の好意に対しても、なんとしても、知り合わなければ・・・」
そんな焦りにも似た、自分の感情の起伏を抑えながら、どの位の日々が過ぎていったのであろう。
梅雨も明け、季節はいちばん暑くなる7月の下旬のとある金曜の夜、10時ごろ。
汗がいつまでたっても引かない、エアコンのないアパートの一室。
「さて、そろそろ風呂にでも入って寝るか」
「明日は土曜で休みだし、何をしようか?」
などと、他愛ない事を考えながら時間の通り過ぎるのを見送っていたときであった。
「トッルルルーン、トッルルルーン」
「こんな時間なら、誰だろうか?」
「はい・・、もしもし」
何気なく出た電話の向こうからは、聞きなれない女性の声が聞こえてきたのであった。
「あっ、あのぉ・・・」
「あのぉ・・・、見たんですが」
思いのほか、明るくそして、快活な声が受話器の向こうから聞こえてきたのであった。
「見ましたか・・・、出会いコーナーですか?」
私は、過去数回の、声との出会いである程度、慣れてしまっていた。
「あっ、はい・・・。あっ、あのーっ私は東京の○○市に住みます、37歳の主婦ですが・・・」
「はい・・・、はじめまして、どうぞ」 私は、次の言葉を促すように返事を返した。
「あっ、はい、主人は○○企業で働いておりまして、今日は出張でおりません」
「そうですか」
私は、この女性の旦那の会社や、仕事ましては、旦那自身には何の興味もないのであったが、
当人は相当、緊張していたのであろうか、他愛ない会話でもしないといられなかったのだろう。
「お子さんは?」
「はぃ、おりますが・・・もう寝かせました」
「大人の時間というわけですね・・・、奥さん」
「そういう言い方もできるかもしれません」
「そうですか、それはよかったですね。で、奥様について教えてもらえますか?」
「身体のサイズとか・・・から、どうぞ」
夜の熱が引かないうちに、自分の相手への熱もあいまって、額から汗が滴り落ち、受話器を持つ手にも、
汗が落ちそしてなにより股間がみるみるうちに膨れ上がって来た。
「これは、なんとかものにしないと・・・」
自分に言い聞かせながら、しかし、言葉はゆっくり、自分の威厳を保つためにも・・・。
「軽く見られたら・・・、おしまいだからな」
自分との問答もしながら、相手も追い詰めていかないといかなかった。
「あぁ、はい。名前はY子といいます、私大きいです。よろしいでしょうか?」
「どうぞ・・・」
「背は、162で・・・、バストは95くらい、あります、ウエストとヒップもそれなりにあります・・・」
「ほぅ・・・素敵な身体じゃないですか?奥さん」
「いぃいえ、そんな・・・」
「下着は?」
「ベージュの上下です」
「下着はどんなのを、主に?」
「はい、やはり、ベージュや白系が多いです」
「黒や紫や、豹柄は?奥さん」
「そんな下着は、恥ずかしくて付けれません」
「なるほど・・・、しかし本来、奴隷には下着は必要ないはずだけれど?違いますか?奥さん?」
「そんな・・・」
「まぁ、いい。それで、本題ですが・・・、SMの経験は?」
「いえ、まるっきり御座いません」
会話にしてみれば、5分も経っていないのに、やたら時間が長く感じてしまっていた。
せっかちな自分がそこにいたのであった。
「なぜ・・・SMに?」
「結婚前の彼に、少しSMっぽいのをされて・・・、なんとなく」
「その前の彼とは?今は?」
「あっ、はい、ありません、主人ともそういう事はしたこともありません・・・」
比較的、声が高く、艶のある声、人妻の色香が伝わってこようかとするこの声にすっかり自分の受話器と反対の手は、
股間を押さえてしまっていた。
「な、・・・縄に少し興味があります」
「以前少し、軽く縛られて以来、熱くなってしまって」
「なるほど・・・」
「SM雑誌を買うなんて、勇気がいりませんでしたか?奥さん」
「は、はぃ、えぇものすごく恥ずかしかったです」
「上には普通の本を載せて、人気のいない時間に急いで買ってきました」
「家族や主人には見つからないように、こっそり隠れてみました、やはり凄いです」
「ずいぶん、がんばりやの方ですね、そこまでして買うとは・・・」
「感じましたか?」
「はぁ、あい・・・」
「どこが感じてしまいましたか?奥さん」
自分でも、勝負にでようと決意していたのであった。ものにできるか・・・。
「あそこ・・・です」
「あそこ?とは?なんというところですか?奥さん」
「あぁ、あのぉ・・・お○○こ・・・です」
「そこは、なにをするところですか?奥さん」
「あぅ、はぃ、男性のを入れるところです・・・」
「奥さんはそこに入れられるとどうなってしまうのですか?」
「はぁ、あ、凄くなってしまいます・・・」
「ご主人との交尾は?最近」
「あぅ、ぜんぜんありません、もう、夜はまるっきり・・・」
「寂しいじゃないですか・・・、そんな素敵な身体をもてあまして。オナニーで処理しているのかな?ならば」
「いぃ、いえ、そんな・・・」
「はっきり言いなさい、違うのか!奥さん」
消え入りそうな声で
「そうです・・・」
「どんなことを想像しながら、しているのかな?奥さんは」
「はぅ、あぁ、はい。縛られて、セックスされている格好とかを・・・」
「胸や尻も叩かれて、いる姿もだろ!・・・奥さん」
「そんな・・・」
「その大きな胸を叩かれるのが好きなんだろ!」
「は、はい・・・、好きです」
「今日はこれから、オナニーをさせてやるから・・・楽しみだろ?奥さん」
「そ、そんな・・・、そんなつもりでは」
「奥さんの理性では、拒否しても身体が「そうです」と言っているぞ・・・」
「今奥さんの手はどこにいっているのかな?」
「いや・・・」
「私の質問に答えろ!メス!」
「はぁ、あそこです。もう濡れてしまっています・・・」
「普通のセックスじゃ感じない、身体には縄と鞭がぴったしだな、奥さん」
「そっ、そんな・・・」
「乳首も立ってしかたないだろ、今」
「はい、物凄く立ってしまって、います。恥ずかしい」
「まだ、許可していないからな・・・、勝手に行くんじゃないぞ、奥さん」
「は、はい、でもいきたい・・・」
長年、抱いてきた夢を電話という小道具を使ってではあるが、実現できたのである。声も荒げるのも無理もない。
「あまり、大きな声を出すと、子供が起きてくるぞ、奥さん」
「ママ、どおかしたの?って・・・、どんな顔して答えるんだ?えぇ、奥さん」
「そっ、そんなこと言わないで下さい、お願いします、お願いいかせて下さい」
「だめ、いきそう・・・」
「私に会ってみたいだろ・・・、奥さん」
「まだ、わかりません。いきたい、お願いします、いかせてください」
私は、ひとつの掛けにでた。彼女をものにるすために。
「私に会うという決意があるならば、いくことを許可する、でなければ、いかせない。どうする?奥さん」
「あぁうぅぅ、いきたい。あぁぁいかせてください!」
「私の質問に答えていないだろ!メス!」
「もう、だめぇ・・・、わかりました!わかりましたからいかせてください!」
「Y子、うそはつかないな・・・」
私はあえて、彼女の言葉を信じて、こちらから相手の電話番号などは聞かずにおいた。
心の中では、騙されたかもしれないと思ってはいたが、やはり、こういう付き合いにはお互いの信頼関係が大切と考えていたのであるから、相手を信
じることがルールであると、でないと相手も自分への信頼を失すると考えていた。
「そうか・・・、なら十から逆に数えていけ・・・Y子」
「あっ、はい、十、九、八、七・・・」
「もっと、ゆっくり数えろ、八からもう一度だ!」
「そんなぁ・・・、いきたい!」
「なら、ちゃんと数えろ!メス、はーち、それから」
「はーち、なーな、ろーく、うぅうぅぅ、いきたい、もうだめ、もうだめ・・・、いかせてください!」
「今は、いくつまで数えた?八かそれとも七か?」
「いや!、六です、ごぉーお、よーん、さーん・・・」
「いいぞ・・・、発射間じかになってきたな・・・、いきたいだろ、早く」
「あぁ、もうだめ・・・、さーん、にぃーい、」
「そうだ、いい声になってきたな、一緒に数えてやる」
「さぁーん、にぃーい、いぃーち!」
「あぁ、もうだめぇぇ・・・、いく、いきます!許してぇええ!」
「よぉーし、いけ!、いい声だしていけ!」
「あぁぁぁん!、いくぅぅぅううう・・・、うぅううううう、いってますぅううう、凄い感じてますぅうううう」
これほど、オナニーで気を入れる女性とはどんなに、縛ったら乱れるか私も、鼓動が高鳴りっぱなしであった。
そして、なんとしてでも、このメスをものにしたいと思った。
30秒ほどの、沈黙というのか恍惚感のあと、再び声が聞こえてきたのであった。
「はぁあああ、あぁ、ありがとうございました・・・」
すっかり、声も落ち着き、もとの人妻にもどった声のうらには希望の第一歩を歩みでたような、
満足感と幸福感を受話器の向こうから感じ取っていた。
「よかったか?奥さん、ちゃんといけたのか?」
「はぁ、はい、物凄く気が行って・・・、久しぶりに感じてしまいました」
「そうか、よかったな。子供は起きてこなかったか?」
私はわざと意地悪く質問してやった。
「大丈夫でした・・・、でも、少し心配してましたが・・・」
「これから、どうするんだ?えぇ、Y子」
「はい、お風呂に入って寝ます。汗をいっぱいかきましたので・・・」
「とくに股間はいっぱい汗をかいただろ?」
「恥ずかしい・・・」
私は、次の約束に打ってでてみた。
「ところで、お前と私の家との間では、どこが近いかな?」
「はい・・・、うぅううん、○○駅が近いのでは?」
「そうか・・・、では、○○駅に来ることはできるか?奥さん」
「いつでしょうか?」
「来週の今日、金曜日はどうだ?」
「何時でしょうか?」
「仕事が終わってからだから、8時くらいはどうだ?」
「主人がいるかもしれないですが・・・、頑張ってみます、はい」
私は半信半疑で、思い切って日時を決めてしまった。こなければ、それまでだと、縁がなかったものだと、
諦めようと思っていたのであった。
「都合が悪くなったら、連絡しなさい、いいな。逢えるのを楽しみにしている、Y子」
「あ、はい、わかりました、今夜はありがとうございました」
「こちらこそ・・・楽しかった、Y子、又」
「はい、失礼します」
受話器を切った後、気がつけば夏の夜はすっかり深まり、隣の部屋から流れるテレビのバラエティだけが、
短い夏を謳歌する鈴虫のように鳴き続けてた。
それから、一週間を私は、待ち望んだ。長く暑い一週間を・・・。