作・秋山 真之
発端
昭和50年代に入って、急速に発展してきた鹿島臨海工業地帯。
此処では裏社会での縄張りがまだ確定しておらず、しかも今後有力な資金源となることが
予想されるとあって、目下渡辺組、安藤組の2大勢力が覇権をめぐってつば迫り合いを演じていた。
渡辺組の組長には香織という 結婚して間もない20歳以上も若い類まれな美人の妻が居り、
それは文字どおり溺愛といっても
良い可愛がり方であった。 ようやく女の悦びを知った香織は、すれ違う者が皆振り返るような
色気を全身から発散させていた。
安藤組の幹部・落合は困り果てていた。 渡辺組の勢力が日の出の勢いで上り坂なのに対して、
安藤組は一方的に押され気味である。 このまま抗争を続けても、勝ち目が有るとは思えない。
あてもなくマーケットをぶらついていると、ちんぴらの篤と弘が近寄ってきた。
落合は小遣いを与えて、二人を小間使いに使っていたのだ。 篤と弘の二人は17歳。
上野で知り合い、生きるために悪事を重ねていた。
「兄貴、面白いことないすか」
ニキビだらけの顔に笑いを浮かべて、篤は声を掛けてきた。
「おう、お前たちに話が有る。そこまで付き合え」
二人を喫茶店に誘った落合は或ることを
計画していた。 出されたソーダ水に手を付けぬまま額を寄せるようにして、落合は二人の若者に話しかけた。
「渡辺組の組長の女房を知っているか?」
「二、三度見かけたことがあります。
綺麗な女ですよね。 渡辺組長は20歳も年下の若い女房を盲愛だという噂ですよ」
屈託のない笑いを浮かべて弘が答えた。
「だから、あの女を手に入れたいのだ」
「え、なんで?」 篤の質問に、落合は抗争の事情を
話してから二人に命令を下した。
「あの女のことを暫く見張ってくれ。 どのような日課で
行動しているか、すべてを調べてくれ」
「いいけど..それで終わりじゃないですよね?」
感の鋭い弘が犯罪の臭いを嗅ぎ付け、
不安な表情を浮かべた。 落合は言うしかなかった。
「ああ、あの女を誘拐して、
渡辺組を潰す材料にしたいのだ。 その下調べだ。 やってくれるな」
二人はうなづいた。
落合のお陰で生きて来られている彼らに、拒否は有りえなかった。
奸計
その日から、篤たちの尾行が始まった。 そして3日が過ぎた日曜日の夕刻、女中が夕食の
買い物に出掛けている留守中に、香織の住むマンションの一室に侵入した二人は、扉の陰から
中の様子を伺った。 危険が身近に迫っているとは露知らずの香織は、くつろいだ姿でテレビに見入っている。
二人のチンピラは一気に室内になだれ込んだ。 不意を突かれて、何が起こったのかも判らずに
息をのんでいる香織の後ろに回り込んだ篤が、素早く羽交い締めにすると、弘は香織の鼻と口を
クロロホルムをしみ込ませたハンカチで押さえた。 香織の身体からはあっけないほど簡単に力が抜け、
間もなく前後不覚となって床の上に崩れ落ちてしまった。 篤と弘が落合の元に電話を入れると、
落合は勢い込んで尋ねる。
「よう、どうだった」
「眠っています。 完全に意識不明です」
「よし、俺も乗り込むぞ」
眠りこけている香織を確認した落合は、ゆっくりと室内を見回している。「長居は無用だ。
香織は袋に詰めて運べ。 後は何もいらないぞ」
麻の袋に詰められても、香織は目を覚まさなかった。 その間、わずか数分程の早業であった。
監禁
香織が連れ込まれたのは、古ぼけたビルの5階だった。 安藤組が改装中のビルの、最上階にあたる。
5階には事務所スペースと実演スターの控室にするつもりで、バスとトイレも完備していた。
落合は、その控室に香織を監禁し調教することにした。
麻袋から出された香織は、まだ正体なく眠りこけている。 片隅には四畳半分の広さの、鉄格子
に囲まれた部屋があり、その中には、囚われた女を調教するための柱と台と、さらに天井には
滑車が備え付けられていた。
「縛り上げろ」 落合に命令された二人は、中身の無い人形のようになっている香織の着衣の前を
はだけて胸を剥き出しにし、縄で厳しく後ろ手に縛り上げていく。 まだ初々しさの消えない
女体から発散する新鮮な色気に、男達皆がズボンの前を膨らませていた。
「起きろよ」 男の声と頬の痛みを感じて、香織はようやく目を覚ました。 頭が異様に重い。
焦点が定まらない視界の中に、にきび面の若者の顔が浮かんできた。
もう一度、若者に頬を
打たれて香織は意識が覚醒した。
「ここはどこなの。 あっ、何これ」 その時、初めて
自分が縛り上げられている事に気付いた香織は、驚きの声を上げた。 縄に締め付けられて
格好良く盛り上がったたわわな乳房に、篤は思わず顔を近付けた。
「おっと、しゃぶりつきたいぜ」
余った縄が天井の滑車に掛けられ、香織の身体は、爪先立ちの不安定な姿勢になっていた。
「篤、穿いているものを脱がせろ」 椅子に座ってタバコを吸っていた落合の指令を受けて、
ニヤニヤした篤が顔を近づいて来ると、香織は恐怖に表情を歪めた。
「じゃあ、奥さん。 下の方も涼しくなってもらおうか?」
「ば、馬鹿なことは止めて」
香織は狼狽気味な声を上げたが、篤はすばやくパンツのゴムに手を掛けた。
「それ」
「あッ、」
パンツを一気に引き落そうとした篤に対して、香織は両脚を開いて必死になって守り抜こうと
したが、落合が隠し持っていたナイフでゴムを切断したので、支えを失なった布は下に落下
していく。
「ゆ、ゆるして」
進退極まった香織は、うろたえながら遂に哀願した。 いつのまにか香織の股間に絡みつく
布はだらりと垂れ下がり、ついに漆黒の繊毛がその姿を現していた。
「見てみろ香織」
篤に頭を動かされ、その事実を確認した香織は、諦めたように瞳を閉ざした。
「もう手遅れだよ。 ほら、足の力を抜いて」
篤に促された香織は、もうどうにもならない諦めの気持ちで足の力を抜いた。 パンツが
足もとに落下すると、男たちの嘲笑が沸いた。
落合は香織の着衣を全て剥ぎ取り、別の縄を取り出し香織の腰骨の上に巻きつけ、さらに
その縄を香織の股の間を通し、双臀の割れ目に食い込むように上に引き絞った。 香織は、
女の部分に食い込む縦縄のおぞましい感覚に、引きつった悲鳴を上げた。
剥き卵のような全身をブルブルと震わせ、身を捻じらせ男達の視線から逃れようとして
いる香織の姿は、男たちにとって官能の芯を刺激するに十分な風情を持っていた。
その時、二人の男女が姿を現わした。
男の名前を源三と言い、年のころ35・6で、
小柄だが精悍な身体付きをしている男だった。 女は源三の内妻の峰子と名乗った。
二人は関西のエロ事師として、この業界では名が知られている。
「わし等が面倒見るおなごは、どこですかのう」
香織は見知らぬ男女を発見して、身体を固くした。
「黙っていないでご挨拶しないか、お前の先生になる人たちだ」
落合に先生と言われても、香織には理解できない。 しかし二人の発する異様な不気味さに、
言い知れぬ恐怖を覚えていた。 香織に近付いた源三は感嘆の声を上げた。
「落合はん。 えらい別嬪を手に入れたな。 これはええわ」
全身を舐めるように見回されて、香織は、思わず身震いするほどの嫌悪感を覚えた。
「それにしても、いい身体でしょう」
肩を震わせて嗚咽する香織の全裸像を落合は自慢げ眺め、源三も感心したように目を
瞠っていた。
落合の合図を受けた篤が、滑車の縄を緩めて香織を床に降ろし、両足首に縄を掛けて、
殆んど垂直に天井に向かって伸びるまで高々と吊り上げた。
「あ・・」
香織は固く閉じていた唇から悲鳴を洩らした。 股間を縦に割っている縄が外されると、
むっちりとした双臀の谷間は大きく開花し、羞恥の姿を居並ぶ悪鬼たちの前にあますとこと
なく曝すことになった。 中央に位置する秘裂はあくまでも慎ましげで、色素の沈着も少ない。
その下に控える肛門の菊紋状に広がったセピア色の皺も全く崩れておらず、綺麗なピンク色の
中心部さえも露呈して男達の目をくぎ付けにした。
「いい格好だぜ、香織さん。 やはり、若いから綺麗だね」
篤が震える双臀の真近に近寄りからかうと、香織は唇を強く噛み締めて、胸も張り裂けん
ばかりの屈辱に耐えていた。
「どれ、早速最初の調教と行くか」
二人の男女が腰を上げたので、香織は思わず引きつった声をあげた。
「ち、近寄らないで」
傍らにかがみ込んだ峰子の手が香織の尻に伸びてきた。
「い、いやあっ」
香織は悲鳴をあげて、狂ったように身体を振りたてた。
だが、手足を縛った縄には寸分の
緩みも生じない。
(男達に拉致され監禁され、行き着く先は犯される) その恐怖に震えていた香織だが、
こともあろうに女に嬲られるとは。
犯される以上の、信じられない恐怖と屈辱感が湧き
上がって来た。
「いやあっ、だめえっ! だれか助けてえ」
「何を言っているの、香織さん。 誰も助けに来るはずはないでしょ。
いくらでも泣き
わめくがいいわ」
峰子は、ぐいと香織のたくましいばかりに豊かな双臀を押し拡げた。 神秘的なまでに白い
香織の尻の、割れ目が無惨に割り裂かれ秘裂の内部が隠しようもなくさらけ出された。
恥ずかしさのあまり少しでも男達の視線を逃れようと、臀の筋肉を必死にすぼめているのが
いじらしい。
双臀の谷間に顔を近づけた峰子は、香織にも聞こえるように大きな音を立てて匂いを
嗅ぎ始めた。
「んー、臭いがかなり強いようね。
ウンチの臭いがね。 用をたした後はもっと丁寧に
始末をしなければ駄目よ」
その言葉は女の口から出たものであるだけに、香織の心には一層強烈な羞恥責めとなって
突き刺さるのだった。
「ひっ、ひどいっ!」
香織の顔は、耳まで真っ赤に染まった。
まずはこのように言葉でいたぶりながら、女としての誇りや自尊心を剥ぎ取るのが、
エロ事師たちによる調教の常套手段であった。
肉体の微妙な変化を見逃さない峰子は、その隣りに位置する、幾重にも折畳まれた官能の
蕾の開花を促し始めた。
「おや、もう感じているね。
ふふふ、お前さんのこれって、少し大きくなって来たんじゃ
ないかい」
峰子にその証拠を看破された香織は、行き場のない恥ずかしさに身をよじった。
露わに広げられ襞の上端に顔を覗かせる愛くるしい突起を、峰子は意地悪く指で押したり
弾いたりして喜んでいる。 刺激に堪えかねて身体の芯から火照りが始まった自分を感じて、
香織は狼狽した。
充分に揉みほぐし香織が喘ぎ声を洩らすようになると、峰子が男性性器の形を模した
筒具を手に取った。 それは幾人もの女の愛液を吸い込んだためであろう、先端が変色して
しまっていて、すごい迫力である。
「ああ、何をするの」
「さあ、お待ちかねのものだよ。
これで往生するんだよ」
峰子によって筒具が捩じ込まれるように秘部の中心に侵入して来ると、香織の下半身が
ぎくしゃくとした動きを始め、香織は、身体の奥底に加えられる攻撃に身を震わせて
応え始めていた。 それまで苦しげに眉を寄せ、迫り来る快感の波と必死に格闘していた
香織だったが、激しく頭を打ち振ると、うめくように口を開いた。
「あぁ、もう、許して」
「別嬪はん、往生か? 遠慮することはない。
大往生するとこをみなはんにお見せするのや」
「い、嫌。止めて」
峰子は、女の急所を心得た、女ならではのテクニックで責め具を操作して、香織を一気に
頂点に向かって追い上げていく。 しかし、香織の身悶えが露わになると、峰子は責めを
中断して六・七合目まで落として行き、そこからまた責めを再開して追い上げて行く。
香織が、最後の恥態をさらけ出すまいと歯を食いしばって耐えようとした瞬間、突然攻撃が
中断されるのだった。 それは香織にとって初めて味わう、辛い悔しい感覚であった。
「い、意地悪!」
じらし抜かれた香織は、乱れた髪を震わせて口惜し泣きを始めた。
「お、お願い。 止めないで、早く終わらせて」
自分自身ではもう止められない状態が近付いていることを感じた香織は、狂乱したように
首を振り哀願するのだった。
「きれいな顔をして、見掛けによらず好きなのね。
じゃ、苦しみを解いてあげるよ」
峰子の声を耳にしながら、最早懊悩する香織に逃れるべき術は無い。 目がくらみ、
背筋に冷たいものが走った。 香織の太腿に小きざみな痙攣が起こり、峰子の手にする
筒具にも律動が伝わって来た。
「く---っ」
絶息するような呻き声で頂点に達したことを示した香織の、身体中の血が熱くなり、どっと
噴き上げてくるものは、もはや抑えることができなかった。
「見なはれ、往生や」
源三が得意げに落合に伝えた。
これがプロの色事師のテクニックというものであろう。 夫との交わりの中でも経験して
いない、強烈な感覚であった。
香織は、自分の身体がこのような行為に反応を示したことに
衝撃を受け、呆然としていた。
心身ともに痺れ切り口を半開きにして自失している香織は、源三が
「えろう長い間がんばり続けたな」
と声を掛けても、未だに妖しい夢の中をさまよっているような朦朧とした視線を、取り囲んだ
男女の顔に向けているだけだった。