淫虐ショー
香織が生まれて初めて経験した壮絶な責めも、実は、落合が計画しているプログラムの
序幕にすぎないものであった。
翌日、関西の大物・浜谷親分とその身内を迎えての歓迎の宴会が行われることになり、
落合は丁度手に入った香織を責めて、加虐性の変態性欲者である浜谷の機嫌を取り結ぶ
ことにした。
香織は夜来全裸に剥かれ、大股開きの姿で檻の中の柱に縛りつけられていた。 苦しい
姿勢ながら、激しい責めの疲れから何時の間にか眠りに落ちていた香織は、人が近付く
気配にハッと目を覚ました。
「香織さん。朝だよ」
名前を呼ばれた香織が目を上げると、鉄格子の向こうで峰子が笑って中を覗いている。
「なんとも凄まじい姿だね。
目の遣り場に困ってしまうよ」
(ああ、朝だ。 また地獄の一日が始まるのか・・) 香織は暗澹とした気持ちになるのだった。
しかし、この日の衝撃と屈辱が前の日の比でない事を、香織はまだ知る由もなかった。
会場の準備を終えた落合は、檻の中の香織の様子を覗きに来た。
全裸で後ろ手に縛り上げられたままの香織は、峰子に化粧を施されている最中であった。
傍らには、束にまとめられた縄と浣腸器が置かれ、厭でもそれらが目に入ってくる香織は、
不安におびえた顔を背けている。
落合は、並べられた大小様々な浣腸器を半ば呆れ顔で眺めていた。
落合の顔を見つけて源三が近寄ってきた。
「別嬪はんかなり疲れてる様子やけど、どないします ?」
「相当きつい責めなのか」
「はい、ただの責めとはわけが違います。 途中で失神することもあるかもしれません」
「構わない。 水を掛けてでもやらせろ。 何しろ、変態親分を喜ばせるにはこれしかない。
今日は香織に、色責めというのはどんなものかをよく教えてやることにしよう」
「へい、わかりました」
悪鬼たちの計画を知らない香織は、峰子にからかわれながら化粧を終えた。
昨日はあれほど檻から出たがった香織であったが、一夜明けた今冷静になると、檻の
外には恐ろしい地獄が待っていることが分かり、「お願い。外へ行くのはいや」と峰子に
すがりつくように頭を下げている。 しかし、必死の懇願が受け入れられるはずもなく、
股縄を掛けられ、峰子に追い立てられるようにして大広間へ連れ出されて行く香織は、
さすがに疲労の色が隠せないのか、縄尻を取られたままがっくりと首を垂れていた。
(幾度恥を曝らせば終わるのだろう) 縄が堅くくい込んだ豊かな双臀を揺らして階段を
上りながら、香織はそんな事を考えていた。
宴会場となった大広間の一角には、特設の舞台が作られ幕が引かれている。 そこへ浜谷
親分を先頭に、身内衆が入場して来た。
「本日は、遠路はるばるおいでいただいた浜谷一家さんのために、特別の趣向を用意しました」 落合が短い挨拶を終えて舞台の幕をサッと開くと、現われた光景に皆「おっ」と声を上げた。
そこには鴨居に逆吊りにされた、朝の光を跳ね返すように肉付きの良い香織の全裸体があった。 股間には結び玉付きの縦縄が食い込んでいる。 香織の口からは、苦痛を告げる小さな喘ぎが
断続的に漏れていた。 長い髪が垂れ落ち、脂汗をねっとりと滲ませてせつなげに目を閉じて
いる香織の顔には、苦痛に耐えている女の壮絶な美しさが現われていた。
演技ではない異様な雰囲気と香織の全身から発散する色気に圧倒されて、浜谷は無言で
見とれていたが、はっと我に返って「今朝は何を見せて貰えるんでっか?」と淫猥な笑いを
浮かべた。
「今日は浣腸責めを見せますよ」
「浣腸って、糞をこの場でぶちまけさせるのでっか?」
呆気にとられたような顔の浜谷に、
「女を責めるには苦しさも恥ずかしさも最高の方法です。
もっとも、見たくなかったら
見なくてもいいですよ」
「とんでもない、あの女の全てが見たいですわ。
とことん、付き合わせてもらいます」
「親分さん、その後にもまた別の趣向がありますぜ。
今日は外人とのからみをお見せします」
その間にも頭に血が逆流して、苦し気なうめき声をあげている香織を横目に見ながら、
落合は満足げに笑うのだった。
しばらくして逆吊りから降ろされた香織は、部屋の正面にある柱を背にして厳重に縛り
あげられた。 さらに足首を縛った縄の一方が天井の滑車に掛けられ、香織の片脚は水平に
なるまで引き上げられた。 自分の肉体がこれから汚辱にまみれることを覚悟しているのか、
股間に観衆の視線が集中するのを感じながら、香織はもはや羞恥に悶えたり取り乱すことも
なかった。
とにかく悪鬼たちの望む姿を露呈して、この屈辱の時間を一刻も早く終わらせることだけを
考えていた。 しかしこの柱が安藤組では「地獄柱」と呼ばれ、今までにここへ縛りつけられた
女たちが、想像を絶する羞恥と苦痛にのたうち廻ったことを知らない香織は、やがて自分の
考えがいかに甘かったかを知らされることになる。
源三が香織の前にどっかりと腰を下ろし、怪しげな薬を股間に丁寧に塗付け始めた。 肉の芽、菊の花そして二つの穴の内部にも、器用な指捌きで塗り込んでいく。「これはな、中国から
取り寄せた特別な薬や。 どんな効き目が現われるか、楽しみなことや」 さらに源三は、
卵形の小振りなローターを、後ろから香織の体内に埋没させ、コードでつながったスイッチ
ボックスを峰子に持たせた。
香織は、源三が塗りこめた薬によって滑らかになった肛門に、
ローターがヌルッと侵入して来る感触に、思わず大きく顔をのけぞらせるのだった。
突然、香織の両脚が震え始めた。 薬を塗り付けられた部分に痒ゆみが走り、そこから
全身に、甘美でいたたまれない感覚が広がってきた。 やがてそれが陶酔感となり、
体内で止めどなく膨れあがって来ると、香織は自分の感情を制することが出来なくなり、
何もせずに眺めている源三にたまらない歯痒ゆさを感じるのであった。
「ああ、どうしよう」
「この薬の効き目はな、一度気を遣らなければ消えんのや」
香織は、ほんのりと紅潮した全身を汗で光らせながら、鼻を鳴らしたような声で訴えた。
「源三先生、お願い。何とかして」
源三の合図を受けた峰子がスイッチを入れると、香織の裸身がピクンと痙攣した。
ローターの微妙な振動が、身体の内部から情感を煽り始めたのだ。 ゆるやかに美しい
曲線を描いた腹部から腰にかけての筋肉がうねり、時々じれたように身体を上下に揺すって、
香織はまさに狂おしい状況に追い込まれて行った。
香織の身悶えに応えるかのように、源三は男根を型どった筒状の責め具を、まるで
匕首が脇腹をえぐるような見事な手捌きで、股間へ一気に挿入した。
「ひーっ」と香織が息を呑む。 観客席からは、どっと歓声が上がった。
源三の緩急自在の責め具の操作に合わせて、香織も懸命に腰を動かし始めた。
身体の内の二ケ所から、女体の仕組みを十分に計算に入れた振動とうねりが伝わってくる。
筒具の突起が、肉芽を微妙なリズムで攻撃する。
追い上げては引き戻しまた追い上げる
源三独特のテクニックによって、脳天に突き上げてくるこの世のものとは思えない感覚に、
香織は無我夢中で「あぁっ、先生っ!」と口走るのだった。
頃合はよしと峰子がローターのスイッチを強にし、源三が秘部を責める筒具の操作の
ピッチを上げると、じらし抜かれていた香織の身体は直ぐに反応を示した。 人妻として
性の悦びを既に知っている成熟した肉体は、一旦登り始めたらもう引き返すことは出来ない。
汗みどろになりながら、みじめな姿を曝すまいと懸命に自分自身と格闘していたが、
突然「うぅっ!」と息を詰める気配とともに下半身に断続的な痙攣が始まり、全身の細かい
震えが急速に強まって、筋肉の硬直が錐もみ状態に頂点まで達したと見るや、秘部が数回
規則的な収縮を繰り返した。
そして、香織の全身から一度に力が抜けると、ガクッと膝が
折れてしまった。
「先ずは一回目の往生や」
薄れ行く意識の中で聞いた「一回目」の意味を、やがて香織は思い知らされることになる。
半開きの香織の口からはよだれが垂れ落ち、内腿には一筋の光ったものが流れている。
柱を背にした裸身は汗にまみれて、絶頂感の余韻にひくひくと痙攣を繰り返していた。
プロのテクニックに責められては、組長の妻としての意地などひとたまりもなく粉砕される
のは当然のことである。 香織のすさまじい狂態を眺めていた観客からは、一斉にフーッと
ため息が漏れた。
「なるほど源三さん、今日の責めは最初から違うね」
落合が感心したように声を掛けた。
浣腸ショー
しばらくして篤は、失神状態の香織の脚を吊り上げていた縄を解き、次の責めの準備に
取り掛かった。 香織の両腕が背中の中程までねじ曲げられるように縄で縛りあげられ、
縄尻が天井の滑車に繋がれた。
ギリギリと一つに重ねて縛られた手首と、ゆるやかな曲線を
描くもり上がった臀に観衆達は息を殺して視線を注いでいる。 冷たい水を顔に浴びせられた
香織は身体を震わせて意識を回復したが、その目はまだ虚ろであった。
放心状態からなかなか醒めない香織の前に、峰子が進み出てガラス浣腸器をつきつけた。
香織の顔に緊張感が戻り、頬にサッと赤味がさす。 (あぁ、やはり今日も浣腸される・・)
「いや! それだけはいや」
意識がはっきりして来るとともに身体の奥底から浣腸責めの記憶が蘇って、
香織は冷静さを
失ない思わず取り乱した。 前の日に受けた中でも、浣腸は最も辛い責めだった。
堪らない恥ずかしさと嫌悪感に苛なまれながら注入され、引き続いて始まる生理的な苦痛との
絶望的な戦いの末に、慎しみも誇りも何もかもかなぐり棄てて許しを乞う。 そして、自分の
身体から出たものの臭気からの逃げ場がない屈辱感。 全てが女としてだけではなく、
人間としての尊厳を完全に粉砕する想像を絶する衝撃であった。
それを知っている峰子は余計に嗜虐趣味が刺激されるのか、盛んに香織にまといつく。
「初めてじゃないんだろ。
そんなに慌てなさんな」
香織の狼狽する姿を見た峰子は、豊満な臀の肉をわしづかみにしてさらに言葉責めを続けた。
「今日はどんな色のウンチを出すのか、わたしゃ今から楽しみなんだよ」
「ど、どうしてもそれを・・、此処でしなければならないの」
(
野卑な男達の前で恥ずかしい絶頂を極めさせられただけでなく、宴席の余興に浣腸され、
女として最も見られたくない姿を曝さなければならないとは・・)。
「いまさら、何を言っているの」
峰子の叱咤にもはや逃れられないことを悟った香織は、顔を伏せてただ一心に、この
いまわしい時間が早く終わるようにと祈りつづけた。
必死に閉じている両腿が、小刻みに
震えている。 肛門に油を塗り込められながら、香織は非情に進められていく浣腸の準備に
絶望感をつのらせるのだった。
「ちょっと待て、8ミリに撮っておこう。 これほどの美人のフィルムなら、高値が付く
こと間違いなしだ」
浜谷組の幹部達は、今日のために用意してきた8ミリの撮影機や三脚などを並べ、ライトの
調節を手際よく進めた。
(浣腸される・・)、 考えるだけでも身の毛がよだつことなのに、それを刻明に記録した
フィルムが世の中にばらまかれる事を思うと、いっそ死んだほうがよいとの考えが香織の
頭をよぎった。
「今日は、自分の口から浣腸して下さいとお頼み。 そうしないと、いつまで待っても
終わらないよ」 熱っぽく喘ぐ香織の乳房を揺らして、峰子は催促した。
(屈辱の浣腸を、自ら乞い求めなければならないとは)
しかし、この地獄の時間を一刻も早く終わらせるためには、そのおぞましい行為を懇願
しなければならない。 再開された源三の筒具責めに、またぞろ身体の奥からはがゆい
感覚が生じてきた香織は、引きつった声をあげた。
「せ、先生。 香織に浣腸を・・、浣腸をして下さい」
「よっしゃ。 待たせて悪かったな。
女に頼まれちゃ、嫌とは言えんわ」
観客を笑わせた源三は、グリセリン溶液をたっぷりと吸い込んだ浣腸器を一同に示した。
「皆で手分けしてご馳走してやりましょう。
この目盛の一つ分ずつ送りこんでやるのや。
ええか別嬪さん、礼儀正しく一人一人にお願いするんやぞ」
むっちりとした臀を叩かれた香織は、必死の瞳を向けてうなづくのだった。
「どうなの、香織さん。 浣腸液の量はこれくらいでいいかな。
足りなければもっと
大きな浣腸器も有るのよ」
源三から受け取った浣腸器を峰子が突き付けると、香織はそれに目を向けたが、「あぁ」と
打ちのめされたように目を堅く閉じてしまった。
床の上に俯せに押し倒された香織の全身に、ライトが煌々と照らされカメラが回り始める。
「さあ、お待ち兼ねの浣腸よ。
しっかり楽しむのね」
峰子が後ろにまわって豊かな膨らみを拡げ、その奥にある菊の花にそっと矛先をあてがうと、
香織はその感触に双臀をブルッと震わせた。
「いやっ!」
「あれっ、お願いをするのではなかったの、香織さん」
「か、浣腸して下さい」
「そんな蚊の鳴くような声では、よく分からないわ。
もっと丁寧にお願いするのね」
「峰子さん。 香織に・・、どうぞ浣腸して下さい。」
血を吐くような悲痛な思いで、香織は屈辱の言葉を口にするのだった。
「そら」
香織は力一杯引き締めて侵入を拒んだが、峰子の突き出す浣腸器の先端は、油で滑らかに
なった肛門に何の抵抗もなくすべり込んだ。
「あ、待って、峰子さん。
お願い。 そ、それだけは・・、 浣腸するのだけは許して。
・・あっ、いやーっ! 」
峰子がほくそ笑みながら、ポンプを押し始めたのだ。
「自分の口で頼んでおきながら、何を言っているの。 往生際が悪いのね」
「さあ、どんな気持ち? 香織さん」
グリセリン溶液特有の浸透感がズーンと体内に広がり、香織は美しい眉を八の字に寄せ、
目を堅く閉じてこの狂おしい感覚に耐えている。
「あぁ、もうやめて!」
香織はカチカチと歯を噛み鳴らし、哀願の声を上げた。 しかし、峰子はそんな訴えを
無視するかのように、ゆっくりと溶液を送りこんで行く。
「素晴らしいことをしてもらっているのだ。
もっとうれしそうな顔をしなければ駄目じゃ
ないか」
落合は、哀れな姿の香織のあごに手を掛けると、恥ずかしさに赤く染まった顔をぐっと
正面に上げさせ、浜谷の機嫌をとるのだった。
「さあ、次は浜谷の親分さんよ」
峰子は、腰を左右に振って逃れようとする香織に業を煮やして、無気味なゴム管を
浣腸器に取り付けた。 それを手渡されると、浜谷は照れたような笑いを浮かべて香織に
にじり寄ってきた。
「わし、こんなものするのは初めてやで」
「なーに。 簡単ですわ」
源三にコーチされた浜谷は、先端を乱暴に押し込もうとする。 香織は疲れ切った身体を
震わせ矛先を逃れようとするが、変形自在のゴム管が外れるわけもない。 香織の肛門が
深々と貫かれたことを確認した源三は、香織の尻を平手で打った。
「さあ、お願いしな」
「浜谷の親分さん、香織に浣腸して下さい」
何も言わずに浜谷がポンプを押すと、腸内に勢いよく流れ込むグリセリン溶液の感触に、
香織が思わず息を呑む。
「駄目よ親分さん、そんなに一度に入れては駄目。
少しずつ時間を掛けて楽しみましょうよ」
浣腸器が引き抜かれると香織は大きな溜息を漏らしたが、ほっとするいとまは無かった。
浜谷の身内衆が、香織の肛門に荒っぽく挿し込んではグリセリン溶液の一目盛り分を
送り込み、ゆっくりと抜き取るということを次から次に繰り返す。
浣腸器が空になると、
あらためて液を一杯に吸い込んで同じことを繰り返した。
この攻撃に肩を震わせ泣きじゃくっていた香織は、突然「うっ」とうめいて悲痛な表情を
浮かべた。 浣腸液の注入が全部終わらないうちに、別の苦しみが沸きあがって来たのだ。
体内に侵入した液体が、残酷なほど正確にその効果を発揮し始めたからだ。
「お、お願い ! 早く済ませて」
しかし悪鬼達は、じらすように少しずつ液の注入を続けるのだった。
香織は顔に細かい汗の玉を浮かべ、幾度もうなじをのけぞらせるようにして、うめき
続けている。 峰子は、香織の苦しむ姿を複雑な表情で見物していた浜谷の方を見て、
「さあ、最後は浜谷の親分にやってもらいましょう。
今日の客人ですからね」
浜谷が浣腸器を構えて後ろに廻った時、香織は激しく首を左右に打ち振った。
「や、止めて。 もう我慢出来ない」
追い討ちを掛けさせようとする源三に、香織は必死に訴えた。 しかし、そんなことには
おかまいなしに、
「親分は大層ご満足されているようだが、もっと色気を振りまいてお願いするのや。
全部入れてもらわんと、浣腸責めは終わらんのや」
と迫る源三。 香織は、強まってきた腹痛に急き立てられるように、
「ああ、親分さん。 あぁ早く・・・、早く、入れて下さい」
と、心ならずも口ばしるのだった。
浜谷が残りの液を全て送り込むと、香織は打ちのめされたように 歯をくいしばってうめき、
頭の芯まで痺れるような悔しさと情けなさに、大声をあげて泣きだした。
「浣腸させといて泣き出すなんて、礼儀知らずだよ」
峰子に頬の肉を思いきりつねられて悲鳴を上げた香織は、この言語に絶する責めが、自分の
羞恥と苦痛の感覚を麻痺させてくれることを祈るしかなかった。
こうして、用意してあった浣腸液を使いきった悪鬼たちは、香織の苦しむ姿を眺めながら
酒を酌み交わし始めた。 厳しく縄がけされて汗に光った裸体、形のよい豊かな乳房、量感の
ある見事な双臀、そして柔らかく優美な太ももなどが、苦痛に歪んだ顔とうめき声とともに
うねり舞っているのだ。
今の香織には、こみ上げてくる便意を何とかやり過ごして苦痛との戦いに一息つくことが
最優先であった。 そのためにも下腹に負担を掛けないように浅い呼吸を繰り返し、肛門を
懸命に引き締めていた。 一瞬激しかった攻撃の波がすっと退いて、香織は肛門に集中して
いた力を緩めることが出来た。 しかしこれは一時の休息に過ぎないことを、前の日に厭と
いうほど知らされている。 次に襲って来る嵐が、何回かの便意との戦いに体力を消耗して
いる身には一層過酷な攻撃となって現われることを、香織自身が一番よく知っていた。
「さて、皆様に浣腸された香織は、間もなく恥ずかしい排泄行為を演じることになりますが、いかに美人であってもこればかりは見苦しい上に臭気が伴ないます。
御覧になりたくない方は、今のうちにこの場からお引き取り下さい」
いい気分になって落合が口上を述べたが、誰も席を立とうとはしない。
「ほんとに美人は得だわね。
お客さんは一人残らず、香織さんがウンチをするところ見て
下さるそうよ」
(やはり落合達は衆人環視の前で、自分にそのような行為をさせようとしているのだ。)
香織は絶望感に打ちひしがれた。
浜谷は何かに憑かれたように、香織の裸身を凝視していた。
「あ、ああ」 一際大きな声で喘いだ香織は、しきりに上半身を捻じ曲げた。
便意が限界に近付いていると感じた落合は、その脂汗に濡れた顔を覗き込んだ。
「我慢、出来ないのか?」
落合の声に救われたように、香織は気弱に瞳を開いた。
「おねがい、トイレに行かせて」
恥ずかしそうに訴える香織を、落合は嘲笑った。
「これは浣腸ショーだぜ。 噴き出すとこまで見せなきゃ、ショーにならねえよ」
しかし落合は、排便の羞恥図を展開させる前に、さらに香織に地獄の苦しみを与える計画を
持っていたのだ。
突然肛門に何か挿入され、それが柔らかく膨らむ異様な感覚に香織は、
「あぁ、な、何をするの」と悲鳴を上げた。
それは俗にバルーンと呼ばれる、肛門を内外から圧迫して蓋をするゴム製の道具で、峰子が
球形をしたポンプを繰り返し握りつぶして、空気を送り込んでいる。
「粗相するとみっとも
ないから蓋をしてやってんだよ。
おとなしくしな」 膨らんだバルーンが肛門を裂けん
ばかりに押し拡げ、香織はその痛さに悲鳴を上げた。 しかしこのバルーンには、もっと
恐ろしい狙いがあることを香織は知らなかった。
しばらくすると香織の腹部から腹鳴が響き、激しい身悶えが始まった。 瓢箪形に膨らんだ
バルーンは肛門を内外からピッタリと締め付けて、いくら力んでも、前にも後ろにも微動だに
しない。
「ああ、苦しい」
出口を探して迷走するおぞましい奔流が香織を苦しめ始めると、落合は最後の因果を含める
ために近づいてきた。
「苦しいだろう。 栓がしてあるから出せないんだ」
脂汗が浮かぶ顔を覗き込んだ落合に対して、香織は気弱な瞳をしばたかせた。
「お願い。 外して・・、トイレに行かせて」
「気分はどうなの。 香織さん」
峰子が笑いながら、香織の双臀を平手で叩いた。
前の日の経験から、浣腸の後の生理的現象は次第に激しくなるばかりで、最後まで
我慢し通すことが出来ないことを知っている香織は、恥ずかしさを気にするより排便して
早く楽になりたいのだが、今は肛門を塞いでいるバルーンがそれを許さない。 香織は
全身を震わせて、悲痛な叫び声を上げた。
「お願い。 なんでもするから助けて」
儚い要求を伝えても、峰子は笑って取り合わない。
悪鬼たちが、責めを止めようと決めて
くれるまでは、この苦しみから逃れる術はないのだ。 容赦なく便意は突き上げて来る。
「ああ、お願いよ。 縄を解いて」
無駄とは知りつつ哀願する香織の髪の毛を乱暴に掴み上げて、落合は
「まだ我慢だ。 許してもらえるまでは、この苦しみは終わらないんだ」
「お願い、もう許して。 お終いにして」
「甘ったれるな」
香織の髪の毛から手を離した落合は、淫微な笑いを浮かべながらバルーンの管をゆすって、
香織の肛門を弄んでいる。
香織は、再び込み上ってきた前にも増して強烈な便意と排出できない
苦痛を、身悶えしながら耐えるしかなかった。
汗まみれの裸身を震わせている香織を見ながら、酒を飲んでいる浜谷の隣に座った落合は 「どうです。 いいでしょう」
「こんなに興奮する事はありませんな。
けど、責められる香織は哀れですな」
浜谷は上機嫌で酒を飲み干すと立ちあがり、何とか排泄しようと上体をくねらせて喘いでる
香織の顔を覗き込んだ。
「随分、我慢が続きますな。」
浜谷の言葉も耳には入らず、香織は絶望的なうめき声を発しながら苦しみ喘いでいる。
出口を求める圧力と、それを抑えられた逆流現象が容赦なく繰り返えされているうちに、突然
大波が押し寄せて、身体の芯からは苦痛と陶酔感が並行的にではなく、全く一体となって突き
上げてきた。
「ひーっ、あぁっ、うぅ・・」
息も絶え絶えに悲鳴を上げ歯を噛みしめて身悶えても、非情なバルーンは、香織がこの地獄の
責めから逃れることを許さない。 香織の肉体は、生理的狂乱状態となってしまった。
頃合を見計らった 落合が
「この後続いて、お前は外人の相手をしてお見せすることになっているのだ。」
驚愕の表情を見せる香織に
「諦めろ、香織。 悔しいだろうが外人と絡むのだ」
「ああ・・、もう、許して。
早く、出させて」
「外人と絡むのを承知するんだな?」
落合は、荒い呼吸を繰り返す香織の顔を覗き込んだ。 一刻も早くこの生理的苦痛から
逃れることしか意識になく、思考能力を完全に失なってしまっている香織は、絶望の
呻き声を上げて口を開いた。
「分かったわ。 ・・好きにして。 香織は外人のものになるわ。 だから早く、お願い」
息も絶え絶えに屈服の言葉を洩らした香織に、悪鬼の群れが纏わり付いた。
源三がバルーンの空気を抜くと、ようやく出口を見付けた激流が勢いよく噴き出した。
観客席から、どっとどよめきが起こる。
香織の肛門からは汚辱の排出物が、峰子の差し出す便器の中に勢いよく流れ出して行く。
長時間に亘って我慢させられたためか、随分大量のドロドロの液状になった便が出て、
最後はなりふり構わぬ腹の中を絞り尽くすような排便となった。
「こりゃ、凄い」
泣きじゃくり、わけのわからない言葉を叫びながら、香織は悪鬼達の軍門に下ったのである。
「まあ、いやーね。 部屋が臭くなってはこまるから、誰か窓を開けて」
峰子はキャッキャッと笑いこけた。
死ぬほど恥ずかしい姿を曝してしまったショックのためか、あるいは便意との壮絶な戦いに
よる疲労困憊からか、香織は嗚咽することも忘れて肩で大きく息を突いている。
「もうお仕舞いかい?」
峰子にタオルで下半身を拭われても、呆然とした表情のままであった。
「こんな凄いのは初めてや。
モデルは美人やし、超迫力でしたわ」
撮影を受け持っていた浜谷の子分が、感きわまった声を上げた。