小説・<不倫鬼の子の出産>
先生はリアルな春画を描かれる人をきっとご存知でしょう。 もしこの作品がおきに召したら、春画をかかれる方に、 この作品の挿絵を描いてただきたいのです。 劇画にしていただければもっといいのですが。 お金をお支払いしても構いません。 どなたかお願いします。 ナオミ ![]() 昭和初期、日本は近代国家へと変貌をとげようとしていたが、地方の山間部の村落は まだまだ古い因習から解き放たれることはなかった。 山陰の深い緑に閉ざされたこの集落も例外ではない。山間に隠れるように集まった 数十件のあばら家が社を取り囲むようにポツリポツリと点在する。家屋から登る煙で、 人間が生活していることが伺える程度で、村はひっそりとしている。 その生涯をほとんど村から出ることなく終える村人たちが最も忌諱するもの。それは 近親性交と村外の人間との交流だった。 少ない人間の間で交わされる性交により自然血が濃くなり、奇形が産まれる率は高くなる。 村人はそれを防ぐため、村長が定めたもの同士のみが婚姻をとりおこなう。 かび臭い因習と不条理な偏見が支配する村はずれの洞穴で、二人の男女が絡まり、 歓喜の声を揚げている。女の腹は、デップリと膨らみ、乳房には血管が浮きだし、乳輪が 赤黒く変色していた。 “に、兄ちゃん。や、やや子が動くぅ。ダメー。” 白い肌と褐色の肌が絡み合う。兄と妹は禁断の交わりにわれを忘れていた。 “うわっ” 四つん這いになった女に覆い被さるようにのしかかっていた男が、横に吹きとんだ。 我に返り、とっさに着物を手繰り寄せる女。 “しの。嫁に貰ったときから、なんかおかしいと思っていたら” “あ、あんた……..。” “お前のその腹ん中にいる赤ん坊もそいつの胤か” “……….” “血を分けた実の兄と交わって、孕むなんざぁ……天女みたいな綺麗な顔して、 恐ろしい女だ” 怒りに震えたしのの夫は、半裸のしのを洞穴から引きずりだした。 “しのぉー” “うるせぇ。” 罵声とともに、鎌を振り下ろした。 “ぎゃぁ” “兄ちゃんっ” 端整な顔がゆがみ、首筋から血飛沫をあげながら、男は倒れこんだ。 “しのっ。来いっ” “いやぁああ。兄ちゃーーーん” 泣き叫ぶ女を転がすように、男は山を降りる。 “人殺し。兄ちゃんを返せー” “なんだとっ。兄弟で乳繰りあうようなおめえが何言うかっ” 怒りに任せ、ごつい手でしのの美しい顔を何度も平手打ちする。 “お前みたいなメス豚、母屋に入れるわけにはいかねぇ。今日からお前はここにいろ” 村長の広大な敷地のはずれに建てられた土蔵の二階に臨月のしのを放り込み、 男は母屋に戻っていった。 薄暗い土蔵の中、しのは一人、座り込んだ。兄ちゃんが死んだ。涙が頬をつたう。 殴られた頬にしみた。胎の赤ん坊が元気よく蹴るのがわかる。 “兄ちゃん、………。兄ちゃんとあたいのややだよ…….。” 愛し気に破裂しそうな、腹部をさすった。 暫くし、女中が夕飯を運んできた。何も言わず、米と味噌汁だけの質素な食事を置き、 出て行った。 ガチャリ、非情にも鍵がかけられる音が響く。 それまで“若奥様”と呼んでいたしのを侮蔑の表情で見つめる女中の目がしのを絶望 の淵へと誘った。 ボソボソと米を口に運ぶ。自分のためではない、赤ん坊のためだと思いながら、 冷たい飯を食べつづける。胎の子のことを思うと、不安は安らぎ、最愛の兄の死が 遠いものに思われた。 “兄ちゃん……う‾ん、あぁ、いい、いいよぉ‾。い、イクゥ‾” 深夜、しのは一人の寂しさを紛らわすように、自分を慰めた。兄との蜜愛の日々を 思いながら。臨月の乳房を揉みしだき、膨れ上がった腹の下に手を差し入れ局部を 攻める。絶頂を迎え、放心し、手足を投げ出す。しのが絶頂を迎える度、それに 応えるかのように胎の子も激しく動いた。乳首にはねっとりした乳汁が滲んだ。 2週間が過ぎた。臨月の腹が更に膨らみを増したようだ。背中から腰が重だるい。 太鼓腹を抱えて、起きるのもままならない。薄い布団の上にどっしりと大きな腹を抱えて 横たわる。いつものように女中が、食事を運んできた。布団からゴロリと転がるように 身を起こそうとした瞬間、下腹部に鈍い痛みが走った。 “うぅっ” 半身を起こしたまま、下腹部を押える。ポタリ、股間から生暖かい一筋が流れ落ちる のがわかった。白い布団の上に小さな赤い染みが点々と浮き出す。 “う、産まれる。さ、産婆を……” しのの異変に気が付いた女中が急いで母屋にとって返す。 “兄ちゃん…….。産ま……れ…….” しのは倒れこみ、下腹部をさすっていた。 ガガッ。 勢いよく土蔵の扉が開いた。白髪の老婆を伴いしのの夫が入ってきた。 “あ、あんた……。” 殺される。 しのは咄嗟に腹をかばう。 “とうとう産気づきやがった。殺しゃしねぇ。兄妹で乳繰りあってできた赤ん坊何ざぁ ろくなもんじゃねぇ、苦しみぬけっ” 言うや否や、しのの両足を大きく開き、格子状になっている柵に縛り付けた。 “さぁ、やれ” 白髪の老婆がしのの股間に腰をおろした。手には針が光っている。 “悪く思わないでおくれよ” 左右にパックリと割れたしのの秘密の花弁を縫い合わせ始めた。 “ぎゃぁーーーーーーーーーー” 陣痛の痛みとは違う激痛が敏感な部分に広がる。糸が皮膚を通り抜ける感触がわかった。 縫い終わると、どぶろくを口にふくみ、シュバァと局部に吹きかけた。 傷口にしみる。 “きゃあああああっ” 自由を奪われた両肢をばたつかせる。柵がきしむ。消毒が終ると、老婆はしのの腹部と 局部に真っ白なさらしを巻き始めた。ふんどし状に幾重にも巻かれたさらしは、局部を 完璧に覆い隠した。 “な、何する!” “しの、頑張って、ひりだすんだな。” 冷酷な笑みを浮かべ、男は出て行った。 二人だけになると老婆は、しのの両足を解き、布団に寝かせた。 股間がズキズキと痛んだ。骨盤をグイと押し開かれるような痛みが走る。 “くぅ……” 老婆が、しのの背中をさすった。 陣痛の波はまだやさしく、おしては引きをゆっくりと繰り返すだけだ。 “ほれ、お食べ。今のうちに食べとかないといけないよ” “い、いらない。お願い、さらしを解いて、糸を解いて。赤ちゃんを産ませて。” しのの懇願には応えず、しのの口に米を押し込む。観念し、老婆が進めるまま、 飯を平らげる。何度か鈍痛に顔をゆがめた。 しのはさらしでぐるぐる巻きにされ、さらに巨大になった腹を突き出し、全裸のまま、 陣痛に耐えていた。 “うっ、はっ、はっ、はぁっ、つあぁぁっ” うめき、腹をさする。陣痛の間隔が5分おきになり鈍痛ははっきりとした痛みに 変わっていた。背骨を引っ張り抜かれるような激痛だった。数分の痛みが、永遠に続く ように思えた。 “あああっ、あぁぁぁぁ。い、いたっっ。ひあぁああああーーー” “初めてのお産は誰でも重いもんさ。特にあんたのは、鬼の子だ。しっかりきばるんだよ” 手ぬぐいでしのの額に浮かぶ汗をふき取りながら、老婆が話し掛ける。 “この村は呪われてる。みーーんな近親で乳繰りあって、鬼の子が産まれる。あんた だけじゃない。” “ど、どういう…..はぁ、はぁ” “あんたの旦那の母親も、実の父親と乳繰りあって、結局流れちまったがね。 いやぁ、あれは自分で堕ろしたんだ。彼岸花の茎でねぇ” “そ、そん、うっ、うぐぅっ” 短い苦悶のうめきがあがる。痛みの間隔が大分短くなったようだ。 “あんたも、あんたの兄の三郎も美しいねぇ。でも、赤ん坊もそうだと思っちゃいけないよ。 濃すぎる血は、呪われる。” 苦悶に顔をしかめ、身をよじり、陣痛に耐える。 “ああぁ、い、い、つーーっ。あぁ、い….たい。くぉあああ” 一本のろうそくが美しいしのの顔をほんのりと照らす。 “むかーし、お前さんと同じように兄妹で交わった男と女がいた。腹が目立ち始めると 妹は山奥深くに隠れたさ。そして山の中で産んだ。産婆もいない、兄と二人だけで。 つらいお産だったねぇ。3日3晩苦しんでやっと産まれた赤ん坊は…….。” “はぁ、はぁ” 苦しそうな喘ぎ声がろうそくの炎をゆらす。陣痛に耐えながらもしのは老婆の話に 耳を傾けていた。陣痛の波に飲まれそうになりながら、老婆の話に自分を重ね合わせた。 “あ、あかんぼぅ、うぅぅっ。ど、どうし……はあぁぁーー” “ほら、しっかりおし。まだまだこれからだよ。” しのの額に浮かぶ脂汗を丁寧にふき取る。 “そう、その女が産んだ赤ん坊はねぇ、一つ目だったんだよ。二人はその赤ん坊の 口をふさいで、土に返したんだ。一つ目の赤ん坊。鬼の子だよ。” “ちゃんと母乳が出てる。” 老婆は乳首から滲む母乳をふき取り、満足そうな笑みを浮かべた。 “鬼の子はね、流れちまうか、奇形と決まってる。あんたの胎の子も鬼の子さ、出口を 縫い合わせたところで、ひり出てくる。安心おし。” “さ、さらしを……” しのの最後の言葉は痛みに飲み込まれ、声もなく身をよじった。 “あぁ、解いてやるよ。そこまでひり出てきたらね。鬼の子は3日3晩かけて産まれて来る。 それでも生きてるのさ。人間のこどもじゃぁそうはいかない。それだけかけて出てきたら、 あんたのさらしを解いて赤ん坊を取り上げてやるよ。” 鬼の子、そうかも知れない。美しかった兄。物心ついた時から惹かれていた。 美しいものが引き合うように、二人は一対のメスとオスになった。同じ胎内から 産まれでた男と女。 神に見放されたこの村で。鬼の棲むこの村。鬼の子が似合っている。苦しい息を あげながら、胎内に宿る赤ん坊を思った。 “ううううぅぅぅっ。くぅーーーー、あああああーーーーーーー。ああああ あーーーーー。” 激痛がしのを襲う。下腹部が凶器となってしのを苦しめた。骨を、肉を砕かれるような 激痛が背骨から脳天に突き抜ける。 “くおおおおおおおおおおおおおおっ。あぁっ、あぁっ、あぁっ。おあああ あーーー。 いいいーーーー、だーーーーー、ああああああーーーー“ 腹を抱え、転げまわる。 “しっかりきばるんだよ。こんなもんじゃないよ。” “くぅううーーーーああああああーーーーーーーーーーー。ああああーーーー だーーーずうーーーげーーーーーーおあああああーーーー” 股間から棒を突き入れられ、子宮口を、内臓を引っ掻き回されているようだ。 辺り構わず絶叫する。 “いだーーーーーーーーーーーーーー、おおおおおおおおーーーーー” “あぁ、あっ、あぁ、はぁはぁはぁ…..い、いたい。あぁ” 両肢を投げ出し土蔵の壁に寄りかかり、下腹部を押える。乳房から母乳がしたたっていた。 “苦しいだろう。まだまだ、あと二晩だよ。” 無意識に腹をさする。 “い、いたい、だして、や、やや…..を。はぁはぁ。あぁっ” “何言ってるんだい。お前さんがひりだすんだよ。” 黒髪がねっとりとしのの白い顔にへばりついている。 “あううぅぅっ、ま、またっ。うおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーお あ、おお、おあああーーーーーーー“ 大きな腹を抱えて転げまわる。だが激痛は増すばかりだった。 “ひぃぃぃーーーーーー。ふあああーーーー。は、はぁ、腹があああああーーー。 ひやああああーーーーーー” 美しかったはずのしのの顔は苦悶にゆがみ、激痛に泣き叫ぶ。硬く閉じられた瞳からは 涙が伝う。全身汗まみれになり、のけぞり、転げまわる。 乳房がいっそう張り、ろうそくの炎に白く浮かび上がる。その先の赤黒い乳輪は、 白い分泌物でベットリしていた。 びゅっ しのがのけぞると乳首から母乳が飛び散り、土蔵の床に撒き散らされた。 “ぎゃああああああっ、ぐあああああああーーーーーーーーーーーーーーーー。 だーーーーーずうーーーーーげーーーーーーあおおおおおおおおおおおおおっ” 白目を剥き、悶絶する。白い肌が妖しく浮かび上がる。絶叫し、悶絶する。 いつ果てることのない、激痛に翻弄され、泣き叫ぶ女の顔は鬼の形相へと 変わっていった。絶叫は獣の咆哮と変わる。 “誰も代わってはやれないんだ。” 老婆は深い溜息をはく。 “兄ちゃーーーーー。たっだーーーーずうううーーーーげっーーーぎゃああああああ あーーーーーーーー” 産気づいてからいったいどれほどの時がたったのか、老婆は相変わらず、 泣き叫ぶしのを片隅で見守る。 と、仰向けになったまま大きく開いた両肢をふんばり、両目をカッと見開いたしのの 口から人間のものとは思えない咆哮があがった。 “むぐああああーーーーーーーーー、あぎゃあーーーーーーーーーーぐおおおお おーーーーーーーー、あああああああああああ。おあぁ、あああああ あーーーーーーー” ぐいと上をむいた股間に巻き上げられたさらしにじんわりと羊水が染み広がっていく。 股間と下腹部に手をあて、破水したのを確かめた老婆は、天井のはりに腰紐をくくりつけ、 階段の柵のところに青竹をしばりつけた。 “ほら、これにつかまって、しっかりきばるんだよ” 腰紐の下に座らされたしのは、夢中で腰紐にしがみついた。 “くおおおおおおおおおーーーーーーーーーー。うむううううああああああーーーー ひぎゃああああーーーー” “きばるんだよ。下っはらに力を入れて、ひりだすんだよ” “きぃいいいやああああーーーー。だーーーずうううーーーーぎゃあああ” 悶絶し、仰向けに倒れるしの。産婆は、しのの両手に柵にくくりつけた青竹を握らせる。 “もっときばるんだ” “むぐぉおおおおおおおおおお。おおおおおおおおおおおお、ぎゃあああああ あーーーー” 青竹を握り、のけぞる。腹部が大きくゆがみ、変形する。ほとばしり出る母乳。 “ほら、赤ん坊が降りてきた” 股間の白いさらしに鮮血が滲んだ。 “じ、じぬうううーーーーーー。ひぎゃぁあああああああああーーーー” バキッ、青竹が握りつぶされ、破片がしのの白い手に突き刺さった。そんなことには 気づかず、青竹を握り直す。しのの両手は血にまみれた。 “ぐおおおおおおおおーーーーーーーーーーーぎゃあああああああ あーーーーーーーーーーっ” ブチブチッ 局部を縫い合わせていた糸がはじけ飛ぶのがわかった。 股間のさらしは既に真っ赤に染まっていた。 “だしてぇえええええーーー。あああああああーーーーーー。むぎゃあああああ” 夢中で下腹部に力をいれるが、思うようにいきめない。下腹部に力を入れると さらなる激痛が股間から下腹部を貫くのだ。 “しっかりおし” 仰向けにのけぞり絶叫するしのを起こし、ひもにつかまらせる。 “い、いだいっ。ああああああああ。あおおおおおおおおおーーーーーっ” ひもにぶらさがる状態で必死のいきみを続ける。 汗と母乳にまみれ咆哮をあげる。下腹部が大きく盛り上がり、赤ん坊が降りてくる 感覚がわかる。 “産むうぅーー、う、うませてぇえええあああああああああああああーーーーーー” 産道を降りてきた赤ん坊が途中でつかえる。脳天まで激痛が突き抜ける。 股間から鉄棒を突き刺されるような激痛。 “うぎゃああああああああああああ。おあああああああああああああーーーー。 むぐうううーーーーー“ “むぐぅうううううっ、うがっ、ああああっ、うぐうううううう。うむううううう、 ぐぐっ、ぐおおおおおおお” 必死のいきみを繰り返す。赤ん坊は産道で止まったまま、いっこうに動かない。 限界まで拡大した子宮口を押し広げたまま、留まる。 “こ、ころしいいいいーーぎゃああああああ、し、じぬーーうううううううおおおお おおおおおおおおおおあああああああああああああ。兄ちゃあーーーーーーーおおお おおおああああああっ” 鮮血に染まったさらしがむにゅっと押し上げられた。 老婆が盥を股間の下に置き、局部にふたをしていたさらしを切り始めた。 “もう少しだ。ややこが出てきた。” バシャバシャバシャッ 鮮血の混ざった羊水が盥に流れ出す。糸がはじけた局部から、赤い肉の塊が覗いていた。 “むおおおおおおおおっ。むぐおおおおーーーー” “足だよ。思いっきりきばるんだよ” “むんんんっ、ぐああああああっ。ぐむうううううーーーん” ゆっくりと胎児が動き出し、止まる。 “むぎゃああああああーーーー 激痛が下腹部を貫く。 “だぁ、だし、ぎゃああああああっ。はぁはぁはぁ。だ、だし……て。ああっ、はぁはぁ、 うごおおおあああああぁぁぁっぁーっああぁ、ああぁっ” 股間がさらに盛り上がる。 ひもにしがみつき、最後の力を振り絞りいきむ “むぐおおおおおおおおおっ。うぐううううううーーーーーー。も、もう、だ、 だーーーーめーーーーーー。だぁーーーーーずうううううううげーーーーー でーーーーーーぎゃあああああああーーーーー” 白目を剥いてのけぞる。盛り上がった股間から血と粘膜にまみれた胎児がにゅるりと 娩出された。 ほぎゃぁ、ほぎゃぁ、ほぎゃぁ 大きな産声が土蔵に響き渡った。 “もう、一人いるよ。さ、もう一度” “ぐおおおああああああああーーーーー。ぎえええええええええぇぇぇっぇぇぇっ” 一人目の胎児と同じくらいの肉の塊がボトリと股間からひり出された。 娩出と同時に仰向けに倒れこんだ汗まみれのしのの顔に安堵の表情が浮かぶ。 “う、産まれた…..に、兄ちゃん、産まれたぁ” “ほら、女の子だよ。五体満足だ” 羊水で粘膜を洗い落とされ、綺麗になった赤ん坊がしのの胸におしい抱かされた。 産声をあげたばかりの赤ん坊はしのの母乳を痛いほど吸っている。 “もう一人は…..。声が、声が聞こえない….” “見ない方がいい。死んで産まれた。” 3日3晩の悶絶と苦悶の果てに産み落とされた赤ん坊は玉のような女の赤ん坊だった。 しのは産後の肥立ちが悪く、出産3日目に息を引き取った。 その後、老婆は村から姿を消した。見たものの話によると、その腕には美しい赤ん坊を 抱いていたという。その赤ん坊の美しさは、禍々しいほどだったということだ。 |
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