15、綾子の寝室
乳房の谷間にバスタオルの端を挟んで、香代は浴室を出た。
「おいでよ。ベッドが一つしかないけど仕方がないわね」
綾子が寝室のドアを開けると、6帖ほどの洋間の半分近くを
ダブルベッドが占領して、ベッドカバーの下に枕がふたつ並んでいる。
このベットに綾子と寝ているのは、いったい誰なのだろう…。
ふと、淫らな妄想が浮かんだ。
もしかしたら男ではなく、数え切れないほどの女が、このベッドで
シーツを汚していったのではないだろうか…。
「香代ちゃん…」
綾子が後ろから裸の肩を抱いて、耳もとに囁くように言った。
「お願い、今夜は私のものになって…」
「え…?」
「一緒に寝よう。ね、いいでしょ?」
予期していたことだが、香代は恥ずかしさで身体がすくんだ。
「男なんてけだものよ、こんなに可愛い身体に平気で穴をあけちゃつて…」
何と返事をしてよいのか、うつむいていると、湯ぶねで火照った身体を
ベッドに押し倒して、綾子が胸に巻いたタオルを取りはずしながら言った。
「痛かったでしょ、可哀そうに…」
「で、でも我慢できたから…」
「ばかねぇ」
綾子は腹立たしそうに言った。
「いくらマゾだからって、セックスは痛いのを辛抱するだけじゃないのッ」
「でも私、何にもわからなくて…」
「私が可愛がってあげる。もっと気持ちよくなれる方法だってあるのよ」
だが同性から愛撫を受けるという倒錯した行為に、どう報いたら良いのか
見当もつかない。香代は急に不安そうな眼をした。
「いいから、私に任せて…」
綾子が寄り添って、覆いかぶさるように乳首に唇を当てた。
「可愛いわ。私、こんな魅力的な身体はじめて…」
「えッ、ウゥ…ゥ」
乳首に舌を巻きつけて滑らかにしごきながら吸われると、身をよじるような
快感が子宮の奥につながってジンジンと痺れる。
香代は無意識に背筋をそらせて、胸から腰にかけて弓なりになった。
処女膜は太鼓の皮を破るように引き裂かれていたが、唇も乳首も
まだ処女なのである。
「ほらごらん、感じるでしょ?」
「ど、どうすれば良いのッ」
男のたくましい筋肉に犯されるのなら、どんなに虐待されても
耐えているだけで良かった。それが心の支えになって、本能的に受け入れる
ことができる。だが、綾子にはそれがなかった。変態の甲羅を経た女の肉体から
発散しているのは、ひたすら甘く、爛れるような淫欲の香りのみなのである。
「痛くないようにしてあげるからね、怖くないのよ」
壊れた人形を愛しむように、綾子が浮き上がった太腿の合わせ目に指を入れた。
「アァ…ッ」
スルッと、指が奥のほうに潜り込んでくるのがわかった。
舌で絞るように乳首を吸い上げられると、神経がクリトリスに連動して、
灼けるような快感が起こる。
香代は、夢中で綾子の背中に腕をまわした。
「ホラ締まってくるでしょ、女の身体は女でなきゃわかんないのよ」
ただ太いものを入れれば良いというわけではなかった。指は一本だけだが、
クネクネと動くたびに身体の中で淫らな魚が泳いでいるような気がする。
「ア、アッ、ウゥム…」
眼を閉じて、香代はこれまでとは違った淫美な感覚の世界に
のめり込んでいった。
「快いの? 快いの?」
「ウッ、ウゥ…ン」
クリトリスの裏側を愛撫されると、汚れを洗い流してきたばかりの肉唇が
たちまち蜂蜜を塗ったようになった。
過激な衝撃に痛めつけられた粘膜から痛みが消え、代わりに麻薬を
擦り込まれるようなエクスタシーを感じる。イクのではなく、その一歩手前で
性欲が煮えたっているような状態である。
「待って、もっといいことしてあげる…」
耳もとに息を吹きかけられると、全身に鳥肌がたった。綾子が身体をズラして、
しっかりと太腿を抱えた。
とっさに何をされるのか察して、香代は、あわてて腰を引こうとした。だが
上半身がのしかかって身動きすることができない。
薄い陰毛を鼻で掻きわけて、綾子が太腿のつけ根に無造作に顔を埋めた。
「ウハッ」
ビリビリと電気に打たれたようなショックが脳天にきた。
腫れた肉ベラに舌が絡みついて、まるで、身体中の快感がクリトリスに
吸い寄せられてゆくような気がする。
焦点のない視線をあげると、眼の前に密生した陰毛が卑猥な肉の
膨らみを覆っていた。香代は何のためらいもなく、一抱えもありそうな
綾子の腰にしがみついていった。
プゥンと石鹸の匂いがして、唇の周りがいっぺんにヌルヌルになる。
とたんに、それは淫靡な肉の匂いに変わった。
ナメクジをくわえたように、柔らかくて生臭い感触が口の中いっぱいに広がる。
香代が初めて知った女性器の味であった。
それは決して快いものではないが、身震いするような独特の猥褻感がある。
女が女の性器を舐めるという行為は、生殖という本能を超えた妖しい性欲の
世界である。
もっと変態にして…!
鼻と唇をべったりと塞がれて香代は一挙に淫楽の淵にのめり込んでいった。
き、気持ちいい…!
昼間、名前も知らない男たちに続けざまに犯された穴の中から、ブクブクと
快感の泡が吹き出してくる。快感は綾子の子宮を循環して、柔らかい肉ベラの
間から再び香代の体内に戻ってくるような気がした。
アアッ、駄目…ッ
いつの間にか、指が肛門の奥深く侵入している。あの不思議な感覚が、
肉体の最深部でクネクネと動いていた。クリトリスの裏側を刺激されると、
足の爪先まで痺れたようになって、オナニーの数倍強い快感が今にも
爆発しそうなのである。
あ、いく…ッ
だが唇が覆われているので、声を出すことができない。
「ウッ、クゥゥ…」
切羽詰まった感覚を伝えようとして、香代は呻くように咽喉を鳴らした。
いく、いっちゃう…ッ
無意識に股を広げると、ビクビクと筋肉が痙攣する。それに応えるように、
綾子が太股でギュッと香代の頬を締めた。
そのとき、ガタッと音がして、突然寝室のドアが開いた。
「何だ、もうヤッているのか」
ひぇぇぇ…ッ
綾子の下敷きになったまま、恐怖につり上がった眼で香代は男の顔を見上げた。
「スキだな。今夜くらい休ませてやらなきゃ可哀そうじゃないか」
口ほどにもなく、面白そうに笑っているのは監督の神谷吾郎である。
「あら、お帰んなさい」
綾子が吸い付いていたクリトリスから唇を放して、意外に落ち着いた声で言った。
「早かったじゃないの。お仕事はもう終わったんですか?」
「うむ、ナマ撮りだから編集は楽だ」
神谷がブレザーを脱ぎ、ワイシャツのボタンをはずしながら言った。
「お前が連れて帰ったから、どうせこんなことだろうと思って早めに
切り上げてきたよ」
「フフ、ゆっくりでも良かったのに…」
相変わらず、身体は香代の上に乗ったままである。
「お風呂沸いてますよ。私たちの後で良かったら…」
「そうかい、それじゃ久し振りで俺も仲間に入るか」
盛り上がった尻の間から顔の上半分だけ出して呆然としている香代を
見下ろしながら、神谷はニヤニヤと笑った。
「どうだい、このおばさん面白いだろう。これでなかなかの変態だぜ」
「なに言ってるんですか、みんなあなたが仕込んだんじゃないの」
綾子がようやく離れて、汚れた唇でキスしながら言った。
「せっかく良いところだったのに、香代ちゃんちょっとお休みしようね」
ベッドに両手足を広げて、腹を上に向けたまま香代は身体を縮めることが
できなかった。この二人が夫婦だということは想像もしていなかったのである。
「香代、お前初恋の彼氏に犯されたいと言っていたな」
ズボンを脱ぎ、靴下を取りながら、神谷がふと思い出したように言った。
それはビデオのインタビューのとき、嫌応なしに告白させられた。香代が
心に秘めた想いである。
「勇気を出して逢ってみろ。願いが叶うように仕込んでやるぜ」
16、メスへの変貌
「お前、そんなに彼氏とヤリたいのか?」
ベッドに上半身を起こして股間を綾子にしゃぶらせながら、神谷吾郎は
ゆっくりとタバコに火をつけた。口の中いっぱいに亭主の男根を頬ばった綾子が、
流し目でじっと香代の様子をうかがっている。男にも女にも通用する奇妙な
マゾの淫乱女である。
「まあ、こっちへ来て、お前もおまんこ舐めてもらえ。良い方法を考えてみよう」
神谷が腰で合図を送ると、綾子がすぐに向きを変えて、尻のほうから
亭主の男根を入れた。
「香代ちゃん、こっちに来て…」
唇のまわりを唾液でベタベタにしたまま、綾子は淫美な微笑を浮かべた。
「そんなところで固くなっていなくても良いのよ。ふたりでも平気だから…」
「えッはい…」
一日中男たちの視線に晒されて、恥かしさの神経が麻痺してしまったように
香代は綾子の目の前に股を広げた。同じベッドの上で、はばかりもなく
絡み合っている夫婦の前で目のヤリ場に困っているより、そのほうが
よほど気が楽なのである。
部屋の半分を占領しているダブルベッドには、まだ十分な余裕があった。
神谷とつながったまま、綾子が両手で太腿を抱え込むように、香代の腹に
顔を乗せた。
「どうしてそんなにヤラせたいんだ」
タバコの煙を天井に吹き上げながら、神谷が気持ち良さそうに言った。
「バージン捨てたら、あとは誰とヤッても同じじゃねえか」
「で、でも、約束だったから…」
舌が動くたびにクリトリスに吸い寄せられてくる快感に耐えながら、香代は
ともすれば途切れそうになる声で言った。
「あの人きっと、今でも楽しみにしているんです…、ウゥッ」
「本当かよ。そんなに愛し合っていたのか?」
「い、いえ、それは分からないけど…」
幼いころ虐められていたというだけで、竜太が変態だという証拠は
どこにもないのだ。だが、オナニーするとき心に描いてきた妄想はいつも
竜太のことばかりである。それは香代が一方的に決めたマゾの女の慕情に
すぎなかったのかも知れない。
「それじゃ、今日撮ったビデオを彼氏にも見せてやったらどうだ?」
「えッ…?」
ズキンと胸の奥が鳴った。
「それでも彼が喜ぶようなら、お前にとってかけがえのない男の筈だぜ」
「アァッ、はい…」
あのビデオには、本音で吐いた竜太へのメッセージと、処女を破られた瞬間の
無惨な情景が余すところなく記録されている。
竜太があれを見たら、いったい何と思うだろう…。
「送っても良いんだな?」
神谷が、念を押すように言った。
「お前の正体がバレたら、普通の男だったらいっぺんにお終いだぜ」
「ウッ、ウゥ…ッ」
何故か、突然これまで感じたことのない快感が盛り上がってきて、
クリトリスが火を吹くように熱くなった。
「ハ、ハ、ハイ…」
頭の中で明滅していた竜太の逞しい顔が、スゥッと遠ざかっていった。
「竜ちゃん…ッ」
うわ言のように叫んで、香代は幻を掴み取ろうとするかのように
手を宙に延ばした。
「おい、あとで住所を聞いて送っておいてやれ。差出人はお前の名前で良い」
神谷が、タバコの火を枕もとの灰皿にこすりつけながら言った。
綾子が、男根の上で腰をまわしながらうなずく。同時に、クリトリスを
周辺の肉ベラと一緒にキュウッと吸った。
「ウゥ…ンッ」
とたんに溜まっていた快感の塊がドッと溢れだして、香代は激しく
全身を硬直させた。
捨てられる快感…、というものがあるとすれば、それは真性マゾの女だけに
与えられた屈折した被虐の衝動である。
「いッ、いくゥッ」
香代が初めて発した快美の瞬間を告げる嬌声であった。
「あ、綾子さんッ、いっちゃう…ッ」
返事をする代わりに、綾子が乳房を握りつぶすように掴んだ。
「アァァァッ」
のけ反って次の瞬間ガクッと腰を落とす。異様な快感があとからあとから
込み上げてきて、香代はたちまち打ち返す大波に捲き込まれていった。
数にすれば、およそ七・八回。朦朧とした視線をあげると、目の前で
綾子が四ッン這いになって、神谷にガッシリと腰を抱えられていた。
「あんたッ、ハ、早く後ろに入れて…ェ」
「フフ、好きな女だな。中身はちゃんと出してあるのか?」
「ダ、大丈夫だから…ッ」
「よしよし、あせるんじゃねえ」
狙いをつけて、神谷が腰骨をグイと手前に引いた。
「ウワッ、快い…」
綾子は、麻薬に酔ったような眼を香代に向けた。
「香代ちゃん見てェ、お、お尻に入ってるのよッ」
夢中で四ッン這いになった腹の下にもぐりこむと、眼の上10センチほどの
ところに、真っ黒な陰毛の奥に鉈で割ったような肉の裂け目が露出していた。
何も埋まっていない穴が小さな洞窟のように口をあけて、全体が動くたびに
僅かに開閉している。干柿に似た肉のたるみが、まるで風鈴の短冊のように
揺れていた。
すこし上の濃茶色のホールに深々と突き刺さっているのは、初めて見る
神谷の男根である。香代は衝動的に、目の前に垂れ下がっている綾子の
肉片を唇で挟んで、舌をからっぽの洞窟に挿し込もうとした。
「カッ、香代ちゃんじょうず…!」
綾子がうわずった声で言った。
「もっとやってェ、嬉しいわッ」
口の中いっぱいに、ナマ肉の味とにおいが広がる。男が射精したあとのような
虚脱感は少しもなかった。ますます、全身に性欲が燃え盛ってくるような気がする。
竜太にも見てほしい…。
あのビデオには無意識に吐いた竜太へのメッセージと、男たちに入れかわり
立ち代わり処女を破られたときの実況が、余すところなく描き出されている。
本当は、竜太に見られることは羞恥や不安というより、恐怖のレベルに近い。
だが何故か、そのことを考えただけで香代は全身が引きつるような異常な
性欲に溺れるのである。
昨日まで男を知らなかった身体が、突然、異次元の世界にワープしてしまった。
香代は夢中で、流れ出してくる薄い塩気のある粘液を啜った。
「ウゥッ、いく…」
綾子がけだもののような声をあげたのは、それから10分ほど経ってからである。
「香代ちゃんッ、強く吸ってェ…ッ」
そのとき、肛門を不思議と滑らかに出没していた赤黒い肉塊がヌルッという
感じで抜けた。アッと思うまもなく、先端が香代の鼻と額をこすって、ドボッと
白濁した液体が噴出した。
「アプゥ」
何を考える余裕もなく、香代は反射的に大きく口を開けた。微かな糞臭の
漂う肉塊が、不自然な角度で上顎を圧迫する。苦くてナマ臭い液体が、
直接ドロドロと咽喉の奥に流れ込んでいった。
「げふッ、げほ…ッ」
とたんに、七・八回はイッている筈のクリトリスが激しく膨張して、猛烈な快感が
霧のように全身に散った。何のたすけも借りず、クリトリスだけがひとりでに
イキ続ける。それは間違いなく、真性マゾの女だけが持っている異常な
感覚の世界である。
それから…、
香代はいつの間にかウトウトと眠ってしまったようだ。身体の中に
まだイッている感じが残っていたが、昼間からの疲れが極限に達していた。
一晩中、綾子の指先が陰毛をまさぐっていたが、それさえ快いゆりかごで
愛撫されているような気がした。
翌日…、香代は何の抵抗もなく学校を休んだ。次の日も、論文の提出が
あったが行く気になれなくて、綾子に性器を舐められながら過ごした。
この日、綾子に勧められて、陰毛をキレイに剃り落としてしまった。
毛が生えたら抱かせろと言った竜太の言葉が甦みがえってきたが、
ツルツルになったところを撫ぜまわしていると、何となく甘えた気持ちに
なって新しい性欲が沸いてくる。
一日中綾子に抱かれて、香代は断続的に20回以上イッた。
「ま、またイクゥ…ッ」
「強いわねェ。いいのよ香代ちゃん、イケるだけイキなさいよ」
綾子が舌なめずりをして、満足そうに言った。
粘膜の腫れと痛みは、もうほとんど回復していた。処女喪失の直後から
思えば、凄まじい肉体の変貌である。