セックスを貢いだ女(2

野良猫いじめ





    一、待っていた女

 約束の二日目はアッという間にきたが、結局、私はその場所に

行かなかった。

 というより、その日はまた新しい女が釣れて、淳子のことは

すっかり忘れてしまったのである。

 女は23才のOLだったが、部屋に入れると自分からスカートを

脱いで股を広げるようなタイプで、もちろん処女ではなかった。

一晩中、堪能するまでカラミあったが、それほど変わったことを

やったわけでもない。

 こんなことなら淳子のほうが面白かったと思ったのだが、

もう後の祭り…。住所も聞いておかなかったので、それきり糸は

プツンと切れてしまったように思えた。

 惜しいことをしたな…、

 そしてまた三日ほど経った。

 その日も、私は女を物色して新宿の街をうろついていたが、

何故か不漁で引っ掛かってくる女もいない。

 西口のマーケット街から国鉄(当時そう呼ばれていた)の

大ガードをくぐって、東口のほうにブラブラと歩いてゆく。途中

二三人の女に声を掛けてみたが、めぼしい反応はなかった。

 ん……?

 思いがけなく、約束していた場所に、それらしい女が立っている。

 近寄ってみると、改札口に向かう人の流れから外れて、柱の陰に

寄り掛かるように俯いてただずんでいるのは、間違いなく加納淳子だった。

「おい」 近寄って声をかけると、女はハッと顔を上げた。

「何やってるんだ?」

 みるみるうちに、淳子は泣き出しそうな顔になった。

「遅かったじゃない…」

 かりそめの約束の日から三日目、強姦同様に犯して、突き放すように

別れてから数えれば五日目の出来事である。

「てめえ、ずっと待ってたのかよ」

「もう来てもらえないのかと思った」

 涙が溢れそうになるのを必死にこらえて、淳子は呟くように言った。

私がこの女にふと愛情のようなものを感じたのは、このときである。

「バカ野郎、そんなところに立っていないで一緒に来い」

 ぶっきらぼうに言って歩きだすと、遅れまいとして、淳子は

小走りについてきた。

 歩きながら聞くと、あれから毎日勤め帰りの6時から9時まで、

あそこに立って私を待っていたのだという。

「もし逢えなかったら、どうするつもりだったんだ」

「そんなこと、ないでしょう?」

 淳子は少し息を切らしながら言った。

「いつかは来てくれると思ってたから…」

 何か異様な執念のようなものを感じて、私はわざと残酷に言った。

「今日はつき合ってやるが、いつ捨てられても文句を

言うんじゃねえぞ」

 一瞬立ち止まって、淳子はすがりつくように私の腕を握った。



    二、野良猫いじめ


 当時の新宿は、表通りを外れると急に人影が薄くなる。

現在のようにネオンが華やかな明るい街ではなかった。

 このまま温泉マークに連れ込んで弄ぶだけでは面白くない。

ふと思いついて、私は裏道の電柱の陰に淳子を呼んだ。

「おい、パンツを脱げよ。おまんこがどうなってるか見せてみろ」

「こ、ここで…?」

「変な顔すんじゃねえ。早くしろ、人がくるぜ」

 付近は逆さクラゲの旅館街である。いつアベックが角を曲がって

こないとも限らない。

 構わず上着に手をかけると、淳子は二三歩後ずさりして

低い声で言った。

「ど、どうするの…?」

「スカートを持ってろ」

 まだミニがない頃で淳子は膝の下まであるフレヤの多い

スカートを穿いていた。呆然と立ちすくんでいるのを、

電柱に押しつけてスカートを捲る。

「ヒ…ッ」

 パンティをズルッと膝の下まで下げると、夜目にも白い

太腿がムキ出しになった。

「アッ、いやァ…」

 股の間に手首を突っ込んで抉ると、淳子は押し殺したような

声を上げたが、指がニュルッと抵抗なく入った。なかは自然の

ヌメリが滲み出して意外に熱い。初めての時のような痛みは

ないようであった。

「ぜんぶ取れ。これじゃヤリ難いよ」

「エッ、エェッ」

 怯えたように後ろを振り返ったが、幸か不幸かどこにも

人の姿はなかった。

「マッ待って、自分でするから…」

 覚悟を決めたように、淳子は腰を屈めて脚に引っ掛かって

いるパンティとストッキングを剥いだ。自然に靴まで脱げて

アスファルトの上に素足である。

「後ろ向いて、こっちにケツを出せ」

 強引に電柱を抱かせて、腰骨を引き寄せるとヨタヨタと

脚を踏ん張る。

「もう少し股を広げてみな」

 いきなり突き刺そうとしたが、これは無理であった。

こちらはズボンを穿いている上、角度が違って先端が

穴に届かないのである。

「ちぇっ、もっとケツを立てろ」

 だが焦っているので、うまく納めることが出来ない。ようやく

半分ほど入ったと思ったときであった。

「わ、わッ」

 すぐ横の路地から、温泉マークから出てきたらしい男と女が

こちらに向かって歩いてくるのを見て、淳子は電柱に

しがみついたまま呻くように咽喉を鳴らした。

「動くな!」

 アベックは人目をはばかるように急ぎ足で近づいてくる。

 暗いし、道が狭いので、ほんの3メートルくらいになったところで、

女が淳子の異様な格好に気づいた。

「キャッ」

 鋭い叫び声を上げて男に取りすがる。男もすぐに気がついた

ようだが、彼等の方でも顔を見られてはまずいのである。

そのまま女を抱えて逃げるように行ってしまった。



    三、変態の開花


 一瞬の緊張がすぎると、淳子はヘタヘタとその場に

しゃがみ込んで、あえぐように言った。

「どうしよう、見られちゃった…」

 それから地べたに膝をついたまま、泣き笑いのような顔で

私を見上げた。

「わ、私、コーフンして…」

 えっ…と聞きかえす間もなく、淳子が行き場所のなくなった股間の

肉塊にむしゃぶりついてきた。これまでの怯えと違って、

何か強烈な刺激を受けていなければいられないといった

感じである。

「一緒に来い、帰るぜ」

 しばらく舐めさせたあと、そろそろイキそうになってきた肉塊を

口から抜いて、私はズボンのファスナーを上げた。

「温泉マークより、俺の部屋に連れてってやる。そのほうが

遠慮いらねえからな」

「ほんと…?」

 欲情でトロンとした視線を上げて、淳子は嬉しそうに言った。

 この女、虐待すればするほど俺についてくるんじゃないか…。

 本人は自覚していないが、淳子は虐められることに本能的な

性の衝動を持っているようであった。

 アパートは新宿の南口から5分、今ではオフィスビルのド真ん中だが、

その頃はこんなところにもまだ人が住むスペースが残っていた。

 部屋に入るとすぐ、私は60ワットの裸電球を点けながら言った。

「おまんこを洗え、さっき臭かったぞ」

「ごめん…、恥ずかしい」

 銭湯にやるわけにもゆかないので、洗面器にお湯を沸かして、

淳子はビシャビシャとタオルで汚れた性器を洗った。だが初めての

ときと違って、どこかいそいそとしている。

「お前、もう痛くねえのか?」

「えぇ、すぐに治ったみたい」

 独り者の部屋に、裸になった若い女が動いている様子は

奇妙に性欲をそそる。

 私は肘枕でチラチラと見え隠れする淳子の陰毛を飽きずに

眺めていた。

「終わったら、こっちに来い」

「はい」

 裸のまま、淳子は素直に私の足もとに横座りになった。

「さっき、凄く興奮していたな」

「えッ、そうですか…?」

「他人に見られると興奮するのか?」

「さぁ私、よくわかんないけど…」

 自分でもまだ良く理解していないらしい。何しろ、処女を失って

これが2回目の経験なのである。

「てめえ、相当な変態だぜ」

 私は、淳子の目をじっと見据えながら言った。

「これから、もっと変態に仕込まれても良いのか?」

「さぁ…」

 ちょっと困ったような顔で、淳子はうつむきがちに小さな声で言った。

「私、どっちみちあんたの女だから…」




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