4・飾り窓の戯画 |
一、裸女のいる風景 都心から一時間、国道十六号線を越えるとまわりの風景が明らかに変化を見せる。 整備された道幅だけが広く、新式の照明に鮮やかに浮かび上がっているのだが、 加奈子はその道路横に車を停めて、先刻からジッと前方の店の明かりを見詰めていた。 表の看板のネオンはもう消えていたが、窓越しに見える店内にはまだ明かりが 客の姿はなかった。つまり、店は営業を終わって一日の後片付けをしているのである。 もうすぐだわ… と思うと、急に胸がドキドキと鳴りはじめた。二週間ぶりに恋しい男を求めて 夫の勝彦が泊り勤務の夜を狙って幼い子供を寝かしつけ、大急ぎでシャワーを やがて、従業員専用らしい裏口の扉が開いて、男と女が下りてきた。 加奈子の携帯電話に着信があったのはその直後である。 「ハイッ、わたしです」 「もう着いているの?」 「えぇ、ついさっき…」 「言っておいたとおりの格好で来れたのか」 「はい」 「それじゃ、車を駐車場に入れな」 「もう、大丈夫なんですか」 「駐車場に入れたら、そのまま店に入れ」 「えッ、えぇッ」 それきり、電話が切れた。 店にいるのは、ご主人様の徹也が一人だけだ。従業員を帰してしまった後の、 エンジンを切っていたので、車の中は冷え切っていた。徹也に言われたとおり、 これで良く一時間以上も車を走らせてきたものだと思うが、事故と交通違反さえ 駐車場には、見慣れたご主人様の車が店から一番はなれた場所にポツンと置かれて 深夜とはいえ、街道筋の車の往来は頻繁である。グズグズしていると、裸で空き地を 何も考えずに、車のドアを開ける。冷えた夜の空気が裸の全身に触れた。 スルリと車から出ると、正面からヘッドライトの光が猛スピードで近づいてくる。 わずか数秒の間だったが、階段に取りつくまでの距離の長かったこと、加奈子が 「ご主人さま…ッ」 思わず声を出して入り口の取っ手を握る。無造作に手前に引こうとしたのだが、 「ごッご主人さま、私ッ、私です…ッ」 立往生している加奈子の横を、猛烈なスピードで車が二・三台走り抜けていった。 二、厨房の細い溝 「何だよ、遅かったじゃないか」 遅かったどころではない。一時間も待ち続けてようやく辿り着いた入り口である。 「こんなところで、誰かに見られたらどうするんだ。中に入れ」 髪の毛を掴んで引かれると、よろめくように上りかまちに膝をつく。そこはタイルも それでも必死に両手で腰を抱いていると、ドアを閉めて立ったままの姿勢で徹也が言った。 「どうしたのそんな格好して、もう舐めたいのかい」 「は、はい…」 「すっけべぇだなぁ。こんなことをするために、わざわざ車飛ばして来たのかよ」 「そうなんです。ご主人さま…」 「それじゃあここで舐めな。素っ裸でも誰も来ねぇよ」 震える指で、男のズボンのファスナーを探す。それを見下ろしながら、徹也は 重なり合った布を掻き分けて中からようやく膨らみかけた肉塊を掘り出すと、加奈子は 「ウゥゥ…」 口の中でグッグッとボリュームを増してくる感触がたまらないのだ。加奈子は素肌が コンクリートに直接擦れる膝がビリビリと痛い。姿勢を変えてしゃがみ込んだ形になると、 ゲフ、ゲフ…ッ 唇の端から、涎が糸を引いて剥き出しの乳房の上に垂れた。 「お、お願いです…」 やっとの思いで男根を吐き出すと、濡れた肉棒に頬ずりしながら、加奈子は 「あの…、お、おトイレに…」 「なにぃ?」 「さっきからずっと、我慢していたんですけど、もう苦しくて…」 家を出るときからコート一枚の裸である。途中で用を足すわけにも行かず、生理的な 「ちっ、しょんべんかよ」 「すいません、おトイレを貸して…」 無人の店内には、もちろん客用のトイレがある筈であった。 「それじゃ靴を脱いで、こっちに来な」 えッ… 言われたとおり、出入口の扉の前に靴を脱いで裸足になると、徹也が乳首を 「アヒイッ」 「こっちだ。狭いから滑らないように気をつけな」 脳天が痺れるような痛みに耐えて、牽かれるままに奥に入ると、そこは加奈子が 大きな冷蔵庫が二つ、調理用のレンジと皿洗いの水槽が並んでいる。一日の仕事を 「ここでやんな。こっち向いて、溝を跨ぐんだ」 見ると、調理台の横から冷蔵庫の下に直接水を流して清掃できるように、二十センチほどの 「は、はい…」 立ち竦んだように、加奈子は息を止めた。 「早くやれ。もう遅いんだ、グズグズしてるんじゃねぇよ」 こうなったら裸足で溝を跨ぐより他になかった。片手を冷蔵庫で支えて腰を落とす。 「も、申し訳けありません」 ご主人さまが働いている仕事場で、おしっこなんて… 緊張しているせいか、溜まっている筈なのになかなか出てこない。始めはポタポタと、 三、窓越しの構図 「おうおう、すんげぇ量だな」 正面で見ていた徹也が面白そうに言った。 「お前、ふつうより膀胱がでかいんじゃねぇのか?」 何を言われても、徹也の前では家畜同然の玩具である。加奈子は子供のように 「はい、ご主人さまの奴隷ですから…」 「そうか、いつも俺の小便を呑んでいるからそのせいかな」 「はい、きっとそうです」 「それじゃ今夜も呑むか?」 「あッ下さい。お願いしますぅ」 しゃがんだまま顔だけ上に向けて、加奈子は口を開けた。その唇に亀頭を乗せると、 ゴクッと咽喉仏を上下させて、加奈子はそれをいっぺんに呑んだ。今では慣れて出来るように ひと息に嚥み下してすぐに口を開ける。そこにまたシュゥゥッと次の噴流が 「もう終わりだ。お前ほどは出ないよ」 「はい、有難うございました…」 加奈子は、胃袋が一杯になって小便のゲップが出そうになるのを堪えながら言った。 「嬉しいです、ご主人さまが私の身体の中に入って…」 どういう経路をたどるのか判らないが、徹也の排泄物が自分の肉体を通過して出てゆくのが 「こっちに来い、ハメてやるよ」 「はいッ」 思わず声が弾んだ。導かれるままに湿った厨房を出て、カウンターの横を抜けると おそらく、外から見れば窓越しに裸の女がチラチラと動いていることはスグに 「さてっと、今日はどっちに入れて欲しいんだ?」 脱いだズボンを客席のテーブルの上に放りながら、徹也はこともなげに言った。こんなとき、 「どっちなんだよ。後か前か」 「あの、う、後のほうへ…」 「相変わらず、好っきなんだねぇ」 笑いながら、片手に握った男根をブルンブルンと上下に振って見せる。 「むこうを向いて、ケツをこっちに出しな」 「えッ、はい…」 「そこのテーブルだよ。後で拭いておけばわかりゃしねぇから」 むこうというのは道路側である。テーブルに上半身を伏せて腰を立てれば、 「こ、こうですか」 「もっとケツを上げろ。それじゃハメられねぇよ」 「はい…」 三十女のタップリと脂肪がのった尻タブを掴むと、徹也がグイと左右に広げた。 「うぐ、ぐうぅ…」 思わず加奈子が呻き声をあげる。 「よいしょっと…!」 「ぐえぇッ」 痛いのではなかった。突然身体中の臓物が一杯になったような膨満感、肛門の括約筋が 「いぃぃ、いぃぃ…ッ」 窓の外を、ヘッドライトが真正面から近づいてきて、さあっと流れ去っていった。 徹也が腰を突く度に、テーブルに伏せた乳房がグニグニと前後にゆれる。 「いッ、イキます。もう…」 加奈子が最後の許しを請うような悲鳴をあげるまで、五分とはかからなかった。 「イッくぅぅッ」 「ふん、淫乱なメスだな。ケツの穴でもイケルのか」 「はッ、はいッ、ご主人さまァァ」 窓の外から見れば、それは一匹の牝犬となり果てた女の、淫らなうつし絵であった。 |