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11 ・ 騎乗位 | |
この事件があってから、紫織の精神構造は一変した。 それまで抱いていた旧道徳、つまり中学生が援助交際するのはいけないことだとか、 近親相姦はタブーだと言った感覚から解放されて、自分で責任が持てれば何をやっても 恥ずかしいことではないと言う自立心が芽生えたのである。その意味で、うわべだけ 格好つけても親に頼るしか何も出来ない高校生などよりよほどしっかりしていたと言えよう。 もちろん、本当の父親と肉体関係を持ったり、母親がご主人様と呼ばれる男に惚れて、 まるで犬のような生活をしていることを認めるのは異常だということくらいは十分に 承知している。 だが世間には、もっと異常で背徳的なことがいくらでもあるのではないか。今日もテレビの ニュースで、わが子に三日も食事を与えずに餓死させてしまった母親の事件が報道されて いたが、そんなのにくらべたら、父ちゃんに抱かれるのはこれ以上気持ちの良いことはないし、 最高の愛情表現だし、親孝行だと紫織は考えていた。 娘にすべてを知られてしまった絹枝は、ご主人様のところに行くのにもう遠慮はしなくなった。 相手も妻帯者なので同棲するわけには行かなかったが、団地に戻ってくるのは、ご主人様の 都合で奥様のいる家庭に帰ったときだけであった。 父の伝次郎は、紫織の若鹿のような肉体がよほど気に入ったのか、月に一度か二度は必ず訪ねて くれるようになった。現在同居中の妻にはまだ話していないらしいが、そんなことはどうだって 良いことであった。 紫織にとっては父に抱かれることだけで充分に満足だったのである。それ以上の贅沢や わがままを望むつもりもなかった。 回数から言えば、暴走族の健とセックスすることが一番多い。まだほとんど話をしたこともない キネ子への興味が続いていたし、この姉弟がいったいどんな生活をしているのか、知りたいという 好奇心でいっぱいであった。携帯で呼ばれればすぐに飛んで行ったが、健のマンションでキネ子に あったことは一度もなかった。とうやら健が紫織を呼ぶのは、キネ子が戻ってこないのが判っている ときだけらしいのである。 「ねぇ、お姉ちゃんはいつもどこに行っているのさ。いつだっていないじゃない」 「そうかな、俺は別に気にしちゃいねぇよ」 「恋人のところ? 彼氏がいるの?」 「いねぇんじゃねぇか、あいつはレズだ」 「あそうか、それじゃ可愛がっている女の子のところにでも遊びに行っているのかなァ」 部屋は二つある。いわゆる2LDKの小型マンションだが、姉弟が一部屋ずつというのではなく、 寝室が奥の部屋でベッドもセミダブルがひとつ、紫織が健とセックスするのもこのベッドだった。 シーツや枕にキネ子の匂いが染み込んでいて、これが紫織を何ともいえない雰囲気に させるのである。 健は同じベッドの上で、キネ子姉ちゃんとどんなことをやっているんだろう・・・ それは嫌でも紫織の妄想を掻き立てる、甘美な謎であった。とくに、父と身体をあわせたあの日から 紫織の好奇心はいっそう強くなった。 何をやっているのかはわからないが、姉と関係がありそうな部屋に紫織を呼んで、平然と性欲を 満たそうとする健の神経も、決して尋常なものではなかった。 「おい、そんなもん早く脱げよ。暖房はついてるだろう」 パンティーを穿いたまま、ボンヤリとキネ子のことを考えていると、素っ裸になった健がベッドに ひっくり返りながら言った。 「あッ、ゴメン・・・」 慌ててパンティーを脱ぎ捨てると、紫織は猫の子がじゃれるようにベッドに飛び込んでいった。 「わぁん、ここ、虐めてよゥ」 ガバッと覆いかぶさると、まだ立っていない健の男根に、シャリシャリと陰毛をこすりつけた。 「ねぇ健ちゃん、いいこと、教えちゃおうか?」 「何だよ、またどっかの親父から10万も巻き上げた話しか」 「違うん、そんなんじゃないよ。フフッ、あのねぇ私・・・」 紫織はちょっと言葉を切った。あのことを話せば、健もキネ子との秘密を教えてくれるかも 知れない。 「けっ、勿体つけんじゃねぇよ」 健が、上に乗っている紫織の膝を開かせて、馬乗りの形を作りながら言った。真ん中で、男根が もう天井を向いている。 「早く話せ、ハメながら話せるだろ」 「ウフフ、健ちゃんのより大きかったな」 若くてすぐにカチカチになる。紫織は新鮮な男の肉棒を摘まんで、慣れた手つきで穴の中心に 当てながら言った。 「この間ねぇ。わたし、お父さんとヤッちゃったのよ。どうしてもって言われて・・・」 言いながら腰を沈めて、グスッ、グスッと男根を飲み込んでいった。 「お前、親父とは別れたんじゃねぇのか」 「それはお母さんとは離婚したけど、わたしのお父さんだもんね」 「まぁそりゃそうだけど・・・、あっそんなに急に動かすな」 「早くイカないでね。わたし遅い方だから」 上半身を直角に立てて、膝と足首を使ってゆっくりと腰を上下する。女は相手が満足するまで 楽しませて奉仕するのがセックスの責任。先に夢中になってしまうようでは駄目というのが、 男に抱かれるときの紫織が身につけた哲学であった。だから、伝次郎との一夜は例外中の例外、 そのことを健に話さずにはいられないのも無理はなかった。 「へぇ、それで、本当にハメちゃったのかい」 父の感触を思い出すように、ゆっくりと腰を上下しながら話していると、じわじわと濡れ方も多くなる。 下から調子を合わせて、健は不思議そうに言った。 「親父って言えば、もう年なんだろ。よくそんなに体力が持つな」 「ううん、まだ40才になったばっかり・・・」 紫織は得意そうに言った。 「お父さんにはね、今の奥さんの他に女の人が三人もいるのよ」 それが紫織の自慢なのである。ちんちんは誰よりもデカいし、女のご機嫌を取ったりしないし、 紫織にとっては理想の男性像なのであった。 「ふうん、モテるんだな」 「そりゃそうよ、わたしのお父さんだもん」 他愛もない話をしながら、ともすればイキそうになる健の男根を操るのは、何よりの優越感が あった。紫織は胸を張って腰を伸ばし、息も乱さずにリズミカルな上下動を続けた。 「あとでおふくろさんにドヤされなかったか。よくバレないで済んだもんだな」 「お母ちゃんはマゾだから平気よ。犬と同じなんだから・・・」 「なにぃ? おめぇのおふくろ、マゾなのかよ」 「うん、だからわたしみたいな女を産んだのよ」 マゾという言葉の正確な意味は、紫織にはまだ良くは判っていない。ただ、普通の人間より一枚も 二枚も格下の差別人種だといった程度に理解していた。 「本当か、嘘じゃねぇんだろうな」 紫織の母親がマゾだと聞くと、何を思ったのか、健はそれきり黙ってしまった。 「何やってんのよゥ、しっかりしなさいよ。ホラ、もうイッても良いわよ」 肌と肌をほとんど接触させないで、性器だけが結びつき、舐めるような感覚で絶頂に導く。 十四才の紫織が誰に教えられるともなく覚えた特技だった。 「あぁうん、イクぜ・・・」 健が全身から力を抜いて、性器の一点に神経を集中する。やがて、快感のマグマが尻の穴の 奥のほうから盛り上がってきて、ギリギリまで耐えたシャンパンの栓が飛ぶように、紫織の淫穴で はじけ飛んだ。 「アッアッ、わかるッ」 思うさま胸をそらして、扁平になった乳房を両手で掴みながら、紫織は陶然として精液が肉の襞に ぶつかる感触を味わっていた。 一回のセックスに30分以上かけて、満たされた紫織が服を着ようとしているときであった。 先刻から何か考えていたらしい健が思い切ったように言った。 「なぁ、紫織、ちょっと相談があるんだけどよ」 「なに? 健ちゃんのためだったら何でもするよ」 「うふふ、そう言ってくれるとありがてぇんだけど・・・」 「お金? なにか欲しいものあるの」 「そんなんじゃねぇ、さっきの話だけどよ」 「えッ、なんだっけ・・・」 「紫織のおふくろ、マゾだって言ったろう。それ本物なのか」 「よく知らないんだけど、ご主人様がいるからそうなんじゃないの」 「ふぅん、じつはなぁ俺、キネ子に頼まれているんだけど・・・」 「えッ、何を・・・?」 「マゾの女を一人、紹介してくれって、お前のおふくろじゃ駄目かなぁ」 言ってから、健はニヤニヤと笑った。姉弟で母娘を犯すという奇妙な取り合わせが可笑しかった のだろう。 「お母さんか良いと言えば、わたしは構わないけど・・・」 紫織にもそれ以上は答えようがなかった。 「頼むよ、キネ子の奴レズだから、俺じゃどうしても駄目だって言うんだ」 健は、二人の姉弟愛をもてあましているような口ぶりで言った。もともと健の性欲というのは、 開けっぴろげで輪姦や強姦は平気なのだが、SMとか近親相姦といった変態にはあまり興味を 示すタイプではなかった。だが頼まれてみれば断る気持ちにはなれない。紫織は熱心な口調で 言った。 「話してみるね、もし駄目だったら、わたしが代わって上げてもいいわ」 「やめてくれ。キネ子はすんげぇ変態だから、お前なんか行ったら絞め殺されちまうよ」 どうやら、健が紫織とキネ子を逢わせたがらないのは、そのためでもあるらしかった。 12 ・ メス犬の交換 毎日ロクに顔も合わせていない母親に、どうやって話をしたら良いのか、紫織は途方にくれた。 健は別れ際に、もう一度念を押すように言った。 「なぁ頼んだぜ。今夜キネ子に話をしておくからよ」 「嫌だっていうかも知れないじゃん。そうしたらどうするのよ」 「本物のマゾなんだろ。だったら心配ねぇ」 そのときはまた違う女を捜すからいいさ、とにかく話だけしてくれ、と健は言った。引き受けては みたものの、紫織には全く自信がなかった。 あの晩母ちゃんが犬みたいになったのは、お父さんがいてくれたからだと思う。紫織が一人で 説得してみたところで、若い女のレズの相手役など、母が承知する筈もなかった。 その夜は援助交際のアクセスもなく、紫織はコンビニで買ってきた弁当と即席の味噌汁で 夕食を終わると、そうそうに布団を敷いて潜り込んでしまった。母は相変わらずご主人様のところに 入り浸って戻ってこない。 ご主人様って、いったいどんな人なんだろう・・・ 母ちゃんがあれほど夢中になるんだから、お父さんよりもっと凄いのかな。そんなことを考えながら 性器に指を当てて快感を楽しむように揉み解す。昼間したたかに中出しで気をやった健の精液が、 今頃になってドロドロと流れ出して、紫織は慌ててティッシュで指先から手の甲まで拭いた。 いつの間に眠ってしまったのか、ハッと気がついて眼を開くと、台所で微かに水を流す音がする。 ウソ・・・、お母さん・・・? 泥棒に入られても、盗まれるもののない家だ。紫織はノロノロと起き上がって、無言で境の襖を開けた。 「あんた、こんなに寝坊して、学校はどうするのよ」 「ふわぁ・・・あ、今日は休む」 大きなあくびと一緒に紫織が言った。 「母ちゃん、どうしたの。こんなに早く、朝から何かあったの?」 「別に、なんにもないわ」 取ってつけたように、絹枝は背中を見せたまま言った。 そんな筈はない・・・ これは紫織の第六感である。 きっと私に用事があるんだ。それでなければ、母ちゃんがこんなに早く家に戻ってくるわけがない・・・ そんな考えが、くるくると覚めきらない頭の中で回った。紫織が学校に行く前に母が戻ってきた ということは、それなりの理由がある筈である。 でも今日は学校に行く気にもなれないので、ゆっくりと顔を洗う。それを咎めるでもなく、絹枝が パンを焼いて、簡単な朝食を作ってくれた。 「ねぇ、紫織・・・」 娘の旺盛な食欲を見つめながら、絹枝は穴の中から怖いものを覗くような声で言った。 「この前の、お父さんとのことだけど・・・」 「ああ、わたしべつに、気になんかしていないよ」 紫織は、何の屈託もなくパンを頬張りながら言った。 「お母ちゃんが犬だっていうことが解かったから、自分でそう言ってくれたから、わたしは良いの」 「そうなの? それだったら良いんだけど・・・」 「いまさら、そんなこと言ったって仕様がないじゃん。それより、お母ちゃん何の話があるの?」 「あぁそう、そうだねぇ・・・」 明らかに狼狽を示して、絹枝は視線を逸らしながら言った。 「お母さんねぇ。あのとき、ご主人様にお願いしてここに来たものだから・・・」 「だからどうしたって言うの。まさか、ご主人様っていう人に叱られて、追い出されちゃったんじゃ ないでしょうね」 「違いますよ、そんなことするような人じゃないけど・・・」 否定はしても、何となく奥歯にものが挟まったような感じである。紫織はイライラした調子で言った。 「言ってよ。ご主人様には関係がないことでしょう」 「それはそうなんだけど・・・」 母親として、言ってはならないことを言わなければならない。それが絹枝の怯えの原因であった。 「ご主人様に、何をやってきたんだと問い詰められて、お母さんね、隠せなくて話してしまったのよ」 「わたしと、お父さんのこと?」 「それもあるけど、紫織がとてもいい子だってご主人様に話をしたら、ぜひ、連れて来いって・・・」 「お母さん、それ本気? オーケーしたの?」 「いえ、紫織が嫌なら仕方がないんだけど、やっぱり、いけなかったのかねぇ」 「そういう意味じゃなくて、お母さん、わたしを売ったんでしょう」 「そんなつもりじゃないわ。ごめんね、母さんの大事な方だから、言われたら断れなかったの」 「ふうん、ご主人様ってそんなに偉い人?」 「普通のサラリーマンよ。変わった人ではないの」 絹枝は、初めから半分諦めていたように言った。 「もういいわ、お母さんが謝って、お仕置きを受ければ良いんだから、ごめんね、嫌な思いさせて」 「待ってよ。お母さん、ご主人様に言われて、そのためにわざわざ帰ってきたんでしょう?」 「でも、こんなこと、紫織に頼めることじゃないから・・・」 「良いじゃない。金で売られるんなら死んだって嫌だけど、 貢ぎ物にならなってあげるわよ」 「えぇッ、でも・・・、ご主人様はお母さんの・・・」 「母娘どんぶりだって良いじゃない。ご主人様は、だから 娘を差し出せと言ったんでしょう」 絹枝は圧倒されたように、黙ってうつむいてしまった。 いつの間に、娘がこんなことを言えるようになったのか、 信じられなかった。 その反面、紫織には母の態度を見て、とっさに頭に ひらめいたことがある。 「貢ぎ物になってあげるから、その代わり、お母さんだってわたしのいうこと聞いて」 「お母さんにも出来ることだったら、いいわ」 「わたしの友達の姉さんなんだけど、レズで、マゾの女を欲しがっている子がいるのよ」 「えッ、女の人・・・?」 「母ちゃん、犬なんでしょう。レズぐらいへっちゃらじゃない」 ズバリと言ってのけて、紫織はヘヘヘ・・・、と笑った。 「でもねぇ、ご主人様が何とおっしゃるかしら・・・」 「男に抱かれろと言ってるんじゃないんだよ。わたしにはご主人様を押し付けておいて・・・」 「あッそう、そうね」 話の主導権は、完全に紫織のほうにあった。 ご主人様のご機嫌を取ることだけに夢中になっている絹枝には、紫織が持ち出した条件が どんなものか、判断がつかない。それよりも絹枝の頭の中でいっぱいになっているのは、 自分の情夫に娘を差し出すことを承知してしまった弱みである。世間の常識からいえば、 母親失格というより、けだものと呼ばれても仕方がない行為だった。 「私がご主人様のところに行く代わりに、母ちゃんが女同士で愛し合ってくるの。だったら 良いんじゃない?」 「ああそうね。お母さんレズってやったことないけど、やってみる」 けだものの道から抜け出すためには、いっそうけだものになるより他に方法がない。絹枝は 唯々諾々として紫織の条件をのんだ。 棚からボタ餅のようにことがうまく運んだのは、むしろ紫織である。純潔だの世間体だの、 古い道徳を知らない中学生にとっては、ご主人様も援助交際の小父さんも同じだった。 目的は、セックスに狂った母をキネ子という変態女に紹介して、健へのメンツが立てば良い。 思っていたより簡単に話が一段落すると、紫織はウキウキとした調子で言った。 「早くお父さんが来ないかな。わたし、お父さんの愛人だもんね、お母さんには悪いけど・・・」 |