魅くものと魅かれるものと、奇しき縁に結ばれた男と女

(3)


田沼 葵の手記 「愛奴への道」





2月○日 【調教第6日目】

 今日は編みタイツを履いてくるようにと命令されていたので、それが似合う

服をと考えた結果、赤いスーツにした。下着は黒。

 約束の時間より少し早く待ち合わせ場所へ着いた。しばらく待っていると、

やがて御主人様が到着。途中の道が混んでいたとのこと。私が乗り込むと

すぐ車は走り出した。

「編みタイツ、履いてきた?」

 そう言いながら御主人様は片手でコートの裾をまくって確認された。そして、

「目が覚めるなあ〜」

と御主人様。

 ん? 今まで寝ていたんですかあ。

 ホテルの部屋に入ってから、まず下着と編みタイツ姿をお見せした。

そして、壁際の鏡のところに連れていかれ、鏡の両サイドにある柱に、

鏡に向かって両手を広げて、それぞれをロープで縛られた。

上下の下着姿に編みタイツとガーター、鎖のついた首輪と黒い皮の

マスク姿の私が映っていた。

「自分のイヤらしい姿を、ちゃんと見なさい」

 御主人様は何度も言われた。

鈴のついた洗濯バサミが両方の乳首につけられた。体調のせいだろうか、

今日はいつもより数段痛かった。痛みで声が出てしまう。そのまま放置されて、

御主人様はお風呂へ入られた。

 やがて御主人様が戻られて、そのままで鞭をいただいた。

この前よりハードな鞭。

一打ちごとに痛みがジーンと染み込んできて気持ちよかった。

 そこで突然、御主人様が後ろからin。思いがけなくて驚いたけど、

御主人様が私の反応で興奮されたのかと思うと嬉しかった。

 やっと拘束を解かれたと思ったら、御主人様は首輪の鎖を引っ張って

玄関のほうへ。そのまま連れ出されるのかと思った。怖かった。

御主人様は玄関の扉に私を立たせて後ろからin。

「声を出せば聞こえてしまうよ」

 そう言われて手で口を押さえられたりもした。強姦されているようで、

よけいに感じてしまった。

今日は玄関までだったが、次は……?

 そう思うと少し怖い。

 ベッドに戻って再度in。凄く感じた。正常位やバックからや、上になったり

下になったり、いろいろな体位で、すいぶん長く愛してもらった。

上になったとき、洗濯バサミを自分で乳首に付けるように命じられた。

今日は特別痛いから、ちょっとためらってしまった。

おそるおそる乳首を挟む。

「ほら、こっちがちゃんと挟めてないよ」

 片方だけしっかり挟めてなかったので、やり直しを命じられた。

 少し休憩をしたあと、今度は赤い腰巻きをしていただいた。

そして後ろ手にきつく縛られ、胸にも縄が掛けられた。

御主人様は、縄尻を壁の柱に繋ぐと、その胸の縄に蝋燭を2本、

胸元で交差するように挟んだ。

蝋燭に火がつく。

 そのときはどんな状態だったのかわからなかった。蝋が落ちてくる

感じがしなかったことしか覚えていない。あとから聞いたら、

乳首と蝋燭の炎がほとんどくっついていたらしい。

 さらにそのうえから御主人様にたっぷりと垂らしてもらって、

初めて蝋燭だけでイッた。でも、このへんの記憶ははっきりしていない。

 少し休憩したあと、蝋を取ってもらってからシャワーで体をきれいにする。

 部屋へ戻ると、今度は両手を一つに縛られてベッドサイドの柱に

繋がれて、四つん這いになって、アナル調教。

アナルパールを何度か入れたり出したりしたあと、綿棒を2本入れて下さった。

頼りないけど入れられている感触ははっきりして、変な感じ。

少しずつアナル調教は進むようだ。

 そのあと仰向けになって剃毛。鼻まで隠れるアイマスクをして下さった。

いつもはそんなことされないのに不思議な気がした。

そんなことを考えているあいだに剃り終わった。

そこへいつものように「愛奴」と書いて下さるのだと思ってたら、

御主人様の持ったペンは乳首のまわりで動きはじめた。

突然で驚いた。何を書いていらっしゃるのかわからないが、

模様のような感じがした。当然、その後に起こることの予想はつく。

そして予想通り、乳首の回りにチクチクと痛みが起こった。

凄く痛くて声をあげた。

「気持ちいいの?」

 そう聞かれたとたん、痛いのに感じてしまった。

「痛いのに……こんなに痛いのに、どうして気持ちいいの?」

 夢中でそんなことを叫んでいたと思う。

「それは葵がマゾ奴隷だからだよ」

という御主人様の声がした。

 そのあとの休憩のとき、写真を見せてもらって、マニクラ投稿用のを

選んでもらった。御主人様は早く投稿したいらしく、最初は今日のは

送るつもりはなかったようだったが、私は今日のも送りたかったので、

お願いしてみた。それで結局、今日の腰巻き姿も仲間入りすることになった。

 そのとき、別の投稿紙に写真を送ったことを聞かされた。

送ったのは1番最初に撮ったうちの数枚だとか。

そして編集部から「掲載してもいいか?」と連絡があったとのこと。

ついに投稿紙デビュー決定!

 楽しみなようでもあり、恥ずかしいし、複雑な心境。

今度はマニクラへ投稿!

 手記も早く書かねば……

 そして最後は一緒にお風呂へ。

 御主人様がこのまえビデオで凄い責めを見たという話を聞いた。

「そのときは、まだ葵には無理だと思ったけど、今日のを見たら出来そうな

気がしてきた」

「どんな責め?」

 御主人様が話して下さったその内容は、まず両方の乳首に針を

下から上向きに刺して、乳首から出た針の先端に蝋燭を立てるという、

とても恐ろしい拷問だった。その女性はそのままイッてたって。

私にはとても出来ない。でも御主人様はきっぱりとおっしゃった。

「いや、大丈夫。葵なら出来る」

 御主人様の頭の中には、私にそんな拷問をしているシーンが

思い描かれているのだろうか。

 貸出調教にしても、野外調教・露出にしても、御主人様から何度か聞くうちに

少しずつその気になり始めている。

言ってみれば催眠術のようなものかもしれない。今は拒絶反応があっても、

いつかきっと出来るようになるような気がする。御主人様の上手な調教で、

きっと御主人様の思い通りの奴隷になれそう。

 今日は蝋燭の責めだけでイケて、とても嬉しかった。

今度は鞭だけでイキたいとお願いした。

御主人様は私がそういう奴隷になることを望んでおられる。だから、私が

そんなことを言ったから、とても喜んで下さった。

そしてきっとその願いを叶えて下さると約束して下さった。



3月×日 【調教第7日目】


 いつものところで待っていると、約束の時間ちょうどに御主人様到着。

「このあいだの写真、これから現像しに行こうか」

 並んで歩きだしたとたん、御主人様がそうおっしゃった。

「えっ、そのスタジオ、休みと違うのん?」

 このまえのメールでは、いつものスタジオが休みだから

当分は現像できないっておっしゃっていたのに……

「もう、やってると思うよ。電話して聞いてみる」

 先にとりあえず食事をしようということになった。

途中で今度買い換えた車のことを聞いた。後ろが広いから、葵を縛って

後ろに置いたままドライブできると嬉しそうにおっしゃった。

 食事の後、いつも御主人様が現像しに行くスタジオへTELすると、

営業はしているけど、今は混んでいるとか。

じゃあ後で行こうということになって、ホテルへ。

「でも、今日って平日の昼間だよね。こんな時間でも利用者がいるんだね」

「痛たたたたぁ〜。耳が痛いよ〜」

 自分の耳を押さえて戯ける御主人様だった。

 ホテルの部屋に入って、まずは御主人様の前に立って服を脱ぐ。

両手を後ろへまわさせられて、両足を少し開かされると、そのまま

動けなくなる。縛られないでこういう格好をするのは、とても恥ずかしくて、

とても感じてしまう。

今日は新しい皮の拘束具が登場した。

袋状になっているところに両手を入れて、紐で締めるものだ。

その続きにTバックがついていた。両手を後ろへまわし、その拘束具をつけて

いただいた。そこへ大好きなマスクと鎖をつけた首輪をしていただいたあと、

洗面所のところまで鎖を引かれて行く。そして洗面所の鏡の前へ立たされ、

両方の乳首にリングをつけて下さった。

「これからお風呂へ入ってくるから、そのあいだ、自分のいやらしい姿を

見ていなさい」

 そう言い残し、御主人様はお風呂場へ。

最近は放置調教に凝っていらっしゃる。御主人様が見てない放置は

寂しくて、つらい。

でも今日は鏡に写った自分の姿のせいか、乳首のリングのせいか、

それとも放置されている状況に少し慣れたせいか、軽くイッてしまった。

 やがて、お風呂から出てこられた御主人様に部屋へ連れ戻されると、

今度は壁際の柱に繋がれた。

御主人様は目の前に座ってしばらく私の姿を鑑賞されていた。

時折、首輪の鎖を引っ張られた。それで感じてしまった。

 そして鞭。いつもより沢山いただいて、いい気持ちだった。

強く打たれると痛みがジーンと拡がって体内に染み込んでいく。

あとからあとから次々に痛みが染み込む。その染み込んだ痛みが

脳にまで達すると、頭の中が徐々に真っ白になってしまう。

で、それから先は夢の中にいるようで、はっきりと覚えていられなくなる。

ちょっとだけイケた。

でも鞭でイクのは蝋燭よりも難しい。

 鞭の調教のあと、皮のアイマスク&マスクを久しぶりにセットでして下さった。

真っ暗闇の世界に閉じこめられて、皮の匂いに酔いしれている私。

「さあ、これで葵は、ただの肉の塊だよ」

 御主人様の声が聞こえた。

そのまま御主人様は私を後ろから支えて歩かせた。

どこへ行くの?と思ったら、窓が開く気配がした。そしてその開けた窓の所に

立たされた。目一杯、抵抗したけどダメだった。

時間的にはそんなに長くなかったと思う。

「ほら、みんなが集まってきたよ」

 後ろから私の体を支えながら御主人様がおっしゃった。とても恥ずかしかった。

逃げ出したかった。でも逃げられなかった。

この前は玄関まで行った。そして今日はホテルの窓から姿を晒した。

この前より一歩前進。さて、お次は?

露出調教も少しずつ進む。

 露出調教のあとは、今度は椅子に座らされて両足を開いて固定された。

棒状の口枷をして下さった。その棒の両端に蝋燭を立てられるように

なっていて、御主人様は細目の赤い蝋燭を2本、そこへ立てた。

そのまま御主人様は私の前にしゃがみ込んで秘部を責めはじめた。

指、舌、バイブ。それからアナルに指を入れられての拷問。

入った指は1本ではなかった事は確かだと思う。

きつかったけど感じていた。

「これからも露出調教をお願いしますって言ってごらん」

「……」

「言わない拷問を止めないよ」

 そのほうがいい、と思ってしまった。でも結局、命令通りに言う。

「おえあーお、おうよぅよぅお、おえあいいあう」

 口枷のせいで出てくるのは母音だけ。言い終わったとたん、

御主人様の指がアナルから出ていった。

 そのあと口枷に立てられた蝋燭に火がついた。蝋が落ちるように

角度を調整されたとたん、ポタポタポタッと乳首に蝋が落ちた。

「上手に乳首へ落とすなあ」

 御主人様が誉めて下さった。さらに御主人様も蝋燭を持たれて、

いっぱい蝋を垂らしていただいた。歓喜の声をあげてしまう。

もう私は蝋燭大好き奴隷。

 そのままの姿でin。そしてイケた。嬉しい。

御主人様のでイケるのが一番嬉しい。そのあとバイブをいただいた。

何回もイッた。

「堪忍してください」

 あんまりイキすぎて苦しくて、思わず言ってしまった。

「ん? 何も我慢しなくていいんだよ」

 御主人様のその言葉を聞いた途端、心の力が抜けて激しくイッた。

それでも失神しなかった。一度してみたいなぁ、失神。

 ベッドで少し休憩。

「お風呂へ入って綺麗にしてから、今度は御主人様に御奉仕して」

 御主人様はそう言って、まず私の体についた蝋燭を剥がして下さった。

綺麗に剥がれたから、お土産に持って帰ることにした。

それから二人でお風呂へ。

 今度は私が御奉仕する番。

「好きなように舐めてごらん」

 御主人様のお許しをいただいて、御主人様の体中に舌を這わす。

アナルまで丁寧に舐めた。もちろん前も。そして可愛い乳首も。

ときどき声をあげて下さるので、感じて下さっているんだと思うと嬉しくなる。

もっともっと感じて下さい。イッて下さい。そう心の中で呟きながら

御奉仕していた。

 テレクラへ電話させられそうになった。

御主人様がダイヤルして、受話器を持たされた。繋がったけど、

黙ってたら切れた。そう報告したら、御主人様は笑ってた。

しょうがない子だなあっていうような感じ。

 熱いの・痛いの系は大丈夫だし、多少の自信はあるけど、

こういうのはまだダメだ。でも、そのほうが調教のしがいがあるだろうと、

自分で勝手に思っている。

 今日は剃毛してもらえず。

「そろそろ一本ずつ抜いて、永久脱毛しなあかんあぁ」

 そう言って撫でて貰っただけ。

 帰り際、ラビアと乳首にリングをしたまま帰るように命令された。

「こんなの、歩けないよ〜」

 そう駄々をこねてみたが、ダメだった。

 ホテルを出てから、御主人様がレンタルラボのスタジオへ電話すると、

今度は大丈夫だとのこと。思ったよりちゃんと歩けたけど、座ったら痛かった。

 玄関で声をかけると、女の人が出てきて、すぐ隣の部屋に通された。

御主人様のあとについて部屋に入ると、そこには男の人が二人居た。

一人はオーナーらしくて、もう一人はお客さんらしかった。

御主人様がフイルムを渡す。そして勧められるままソファーに腰を下ろす。

私は御主人様の隣で小さくなっていた。

いろんなグッズが置いてあったり、壁には女の人の写真がいっぱい

張ってあったりして、そんな刺激的な雰囲気にドキドキしていた。

オーナーと男性客は私達のことを気にもとめず話をしている。

 やがてフイルムの現像が出来て、今度はプリント。ここから自分で

できるようだ。オーナーが御主人様に操作方法を説明しはじめた。

大きな機械にネガを差し込み、画面を見ながら、明るさとか色合いを

一つずつ調整していく。結構大変な作業のようだ。

ネガの中の自分の姿を見るのは、できあがった写真とは、また違う

感じがした。写真に完成されてしまうより、こっちの方が生々しい。

で、調整作業が終わると、いよいよプリント。

御主人様は料金の精算をしている。やがて、できあがった写真が出てきた。

暖かい。ほっかほか写真。

「綺麗に写ってました?」

 女の人が声をかけてきた。とても綺麗に写っていた。

その場にいる人にも見てもらいたいような気がしたから不思議。

「ほかに人がいたから、恥ずかしかったやろ?」

 外に出るなり、御主人様が聞いてきた。

「うん。と〜っても恥ずかしかったよぉ〜」

 御主人様の腕にしがみつきながら、ちょっと甘えてみる。

「人前に出ることも少しずつ慣らしていかんとあかんしなぁ。ちょうど良かった」

 思わぬところで調教が出来たと御主人様は喜んでいる。

 そのあとの食事のとき、運ばれてきた料理に手を伸ばしたとたん、

下の方に痛みが走った。思わず「痛っ!」と声をあげてしまう。

「どっち?」

「下の方……」

 ヒソヒソとそんな会話をする。その後も何度か痛がった私を見て、

その度に御主人様は喜ぶ。次々に運ばれてくる料理を平らげながら、

その合間に、さっき現像した写真を見た。

テーブルの下で、こっそり見る。赤い腰巻き姿の私がいっぱい居た。

急にウェイターさんがやって来て、その度にさっと隠す。

スリル満点で結構楽しかった。でも見られたかもしれない。

 悩んだ末、マニクラ投稿用に4枚を選んだ。この写真は

是非とも送りたかったので嬉しい。我ながら、結構インパクトあると思う。

掲載されるのが楽しみ、もう採用されるに決まっているような気になっている。

 いつものように駅のホームまで送ってもらった。

途中で座ったのがいけなかったのか、どうしようもないほど痛くなってきて、

家に着いて外すときは強烈に痛かった。

今度はゴメンナサイしよう。


 

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